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トランプ自動車関税を徹底分析。インパクトは3兆円超
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2025年4月16日

25%の自動車関税が4月3日より発動された。今後、見直しの可能性はあるのか?自動車各社の生産体制と利益にどの程度影響を与えるのか?自動車アナリストの中西孝樹氏に徹底分析してもらった。 <ゲスト> 中西孝樹|自動車アナリスト オレゴン大学卒。山一證券、メリルリンチ証券、JPモルガン証券株式調査部長等...
トランプの自動車関税、最も影響を受けるのは日産とマツダ?メーカー別の原産率分析から見えてくる競争力の明暗
トランプ政権が発表した自動車関税の影響について、専門家が詳細な分析を行った。関税の仕組みから各メーカーへの影響、そして今後の対応戦略まで、自動車業界が直面する課題の本質に迫る。

「自動車関税は2階建て構造、すでに4月3日から施行されている」
Q: トランプ政権が発表した自動車関税は具体的にどのような仕組みになっているのでしょうか?
自動車関税は2階建て構造になっている。従来、乗用車は2.5%、ピックアップは25%の関税だったが、新たな関税ではこれに25%が追加される。例えば海外から輸入される乗用車は計27.5%の関税がかかることになる。
重要なのは、アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則に適合する車両についても、一定の関税がかかる点だ。これらの車両は、米国の原産価値を除いた部分に関税がかかる仕組みになっている。
この自動車関税はすでに4月3日から施行されており、自動車メーカーは既に税金を払っている状況だ。まだルールが確定していないのは部品への関税で、こちらは5月3日から施行予定となっている。
「部品の原産地比率で見ると、ホンダの現地調達率が最も高い」
Q: 各メーカーの現地生産や部品調達の状況はどうなっていますか?
各メーカーのアメリカ市場での原産地比率を分析したところ、興味深い結果が出た。テスラは米国・カナダの原産比率が70%程度だが、意外にもメキシコ部品への依存度が高い。GMとフォードで明暗が分かれており、フォードはアメリカの構成比が高いのに対し、GMはアメリカの構成比が26%しかなく、メキシコ15%、韓国22%と海外依存度が高い。
日本メーカーでは、ホンダが米国・カナダのコンテンツが57%と現地調達率が非常に高く、メキシコや日本からの調達も少ない。一方、トヨタとスバルは日本からの輸入比率が高い構造になっている。課題を抱えているのが日産とマツダで、アメリカの調達率が低いだけでなく、メキシコへの依存度が高い。
メキシコで生産されるマツダ3やCX-30、日産のセントラなどはほとんどアメリカのコンテンツがない状態だ。これは関税が実質的に20%以上かかることを意味し、メキシコでの生産が大きな打撃を受ける可能性がある。

「関税による利益への影響、トヨタとホンダは30%程度だが日産とマツダは100%超」
Q: 自動車関税はメーカーの利益にどの程度影響するのでしょうか?
具体的な影響を試算すると、トヨタは約1.45兆円の関税コストがかかる可能性があり、4.7兆円の利益計画に対して約30%の押し下げ要因となる。ホンダも同様に30%程度の影響だ。
一方、日産やマツダへの影響は甚大で、利益に対する感応度は100%を超える。例えば日産の場合、4900億円以上の関税コストがかかる可能性があり、これは日産がターンアラウンドプランで目指している4000億円の営業利益を上回る。つまり、現状のプランでは利益が出ない会社になってしまう危険性がある。
関税に対してはいくつかの対応策が考えられる。価格への転嫁や固定費・変動費の削減などだ。しかし、価格効果は市場次第である点に注意が必要だ。全体として、関税コストの約半分程度は対策で打ち返せる可能性があるが、初年度は大きな影響が避けられないだろう。

「メキシコ工場は自然縮小、日本の生産体制も見直しの可能性」
Q: 今後、各メーカーはどのような対応を迫られるでしょうか?
メキシコでの生産については自然縮小が予測される。特にマツダは厳しい立場にあり、メキシコ工場の規模を現在の22万台から10万台程度に縮小し、一部のモデルを日本に戻す可能性がある。究極的にはメキシコからの撤退という選択肢もあり得る。
日産についても生産体制の見直しが不可避だろう。すでに日産は九州で生産しているローグをアメリカに移す計画を発表しているが、これだけでは関税軽減効果は限定的だ。現在の「ターンアラウンドプラン」は今の状況に対応しておらず、大幅な見直しが必要となる。国内工場の統廃合も視野に入れる必要があるだろう。
全体として、日本の国内生産からアメリカへの移行は40万台程度と予測される。これは日本の貿易収支にも影響を与える規模だ。
「危機はチャンス、企業間連携が加速する可能性」
Q: この危機は日本の自動車産業全体にどのような変化をもたらすでしょうか?
この関税危機は、日本の自動車業界にとって再編の契機となる可能性がある。競争条件の変化により、トヨタやホンダは相対的に有利な立場になる一方、日産やマツダは厳しい状況に追い込まれる。
特に規模の小さいメーカーは単独での存続が難しくなる可能性があり、企業間の連携が加速するだろう。例えば日産は、ハイブリッド技術などでホンダとの協力関係を模索する可能性がある。完全な経営統合ではなく、生き残りのための戦略的提携が進むと予測される。
過去にも円高などの危機はあったが、それを乗り越えることで日本の自動車産業は強くなってきた。今回も厳しい状況ではあるが、この危機を契機に各社が自らの価値を再定義し、新たな競争力を獲得する可能性もある。