PIVOT TALK BUSINESS
6月までは株価乱高下。米国株よりは日本株が優位
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2025年4月10日

トランプ関税ショックに揺れる世界。今後の株式マーケットはどう推移するのか?米国株と日本株のどちらが優位なのか?新NISAで投資した個人はどう動くべきか?ピクテ・ジャパンの糸島孝俊シニア・ストラテジストに聞いた。 <ゲスト> 糸島孝俊|ピクテ・ジャパン シニア・ストラテジスト 証券系シンクタンクの企...
トランプ関税ショックで日本株はどうなる?投資家のための市場分析Q&A
2024年4月に収録された市場展望では、トランプ前大統領による関税政策の影響と今後の見通しについて、ピクテ・ジャパンの糸島孝俊シニア・ストラテジストに話を聞いた。世界経済の枠組みが大きく変わる中、投資家はどう対応すべきか解説する。

Q. トランプ関税ショックによる市場への影響をどう分析すべきか?
「関税は美しい」というトランプ前大統領の考え方は、従来の自由貿易主義とは根本的に異なる。彼は、特に中国に対して累積で100%を超える関税を課そうとしている。マーケットはトランプ氏が「ディールをする人」であることを理解しているため、最終的に関税を延期するか金額を減らすという期待があった。しかし実際に関税が始まると市場は下落した。
世界経済の基本ルールが変わってしまったことが重要だ。従来の自由主義的な資本主義とは異なり、トランプ氏は「関税が美しい」と考え、アメリカ国内の製造業復活を目指している。マーケットがこの新しいルールをまだ消化できていないことが、現在の不安定さの一因だ。

Q. この市場混乱はいつまで続くと予想されるか?
最短で落ち着くとしても6月頃になるだろう。トランプ氏と習近平国家主席が直接会談することが鍵となる。両者の誕生日が6月14日と15日に近いことから「バースデーサミット」と呼ばれる会談が期待されている。
しかし、両国の対立が深まれば、市場の不安定さは2025年春頃まで1年近く続く可能性もある。習近平氏の側近にはアメリカに留学経験のある人物がほとんどおらず、コミュニケーションチャネルが限られていることも解決を難しくしている。
Q. 日本株のレンジ見通しはどうなるか?
今後1年間は「戻り売り」が基本戦略になるだろう。日本株は全体的に割安だが、アメリカ株に引きずられるため、アメリカ株が下落すれば日本株も下がる傾向がある。
レンジとしては、4万円台は見込めず、3万8000円から3万円が基本的なレンジになると予想される。米中関係がさらに悪化すれば3万円を割り込む可能性もある。年内の最安値は2万7000円程度で、これはPBR(株価純資産倍率)が1倍になるレベルだ。このレベルまで下がれば「目をつぶって買い」、さらに下がれば買い増しを検討してもよい。
Q. 為替の見通しはどうなるか?
「マールアラーゴ合意」(第二のプラザ合意)と呼ばれる為替調整の可能性については、多くのアナリストはその確率を10%以下と見ている。しかし、関税の効果を相殺するために各国が自国通貨安に誘導することをアメリカは警戒している。
日本円については、現在の140円台から150円を超えることは難しいだろう。円高にするには日本が金利を上げるか、協調介入するかの選択肢があるが、現在の経済状況では金利引き上げは難しい。今年前半の円安進行は困難で、なんらかの形で円高方向への対応が求められると予想される。
Q. 日本経済にとってこの混乱はチャンスになり得るか?
日本にとって「ラストチャンス」に近い状況だ。アメリカが製造業の復活を目指す中、日本も空洞化した製造業の国内回帰のチャンスとなる。農業分野でも改革の機会になる可能性がある。
日本には製造業の人材がまだ残っており、技術力もある。関税によって保護されてきた農業も、この機会に若い人材を呼び込み、AIなどの技術も活用して高付加価値化を図るチャンスだ。
外圧によって日本が変化し成功してきた歴史を考えれば、今回の関税ショックも日本にとって大きなチャンスとなる可能性がある。
Q. 個人投資家はこの状況でどう対応すべきか?
三つの観点が重要だ。まず、自分の「リスク許容度」を理解すること。どれくらいの損失で胸が痛むのかを考え、その範囲内で投資する。日本株は年間で上下20%程度変動すると想定し、その金額が耐えられるかを逆算して投資額を決めるべきだ。
次に、将来的に上がる見込みのない資産に投資しないこと。「長期投資だから」と言って下落し続ける資産を持ち続けるのは誤りだ。
最後に、いつそのお金が必要になるかを考えること。資金が必要な時期に合わせた投資計画を立てるべきだ。
これまでの「自由貿易主義の下で世界経済は成長し続ける」という前提が崩れつつある今、自分の国や理解できる資産に投資することの重要性が増している。場合によっては一時的に現金比率を高めることも選択肢となる。