PIVOT TALK BUSINESS
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2025年4月22日

延々と議論されながら、打開策が見えてこない「少子化」。その問題の本質はどこにあり、どんな対策を施せば、少子化を緩和することができるのか?独身研究家の荒川和久氏に聞いた。 <ゲスト> 荒川和久|独身研究家 早稲田大学を卒業後、博報堂へ入社。数多くの企業のマーケティング戦略の立案やクリエイティブ実務を...
結婚や出産が「贅沢品」になってしまった現代社会。経済的な問題だけでなく、若者の自己肯定感の低下が少子化の大きな要因になっていると専門家は指摘します。少子化対策の本質とは何か、真の解決策を探ります。
手取りを増やすだけでは不十分です。手取りが増えても、将来への不安から「貯金しよう」となってしまいます。手取りを増やすと同時に「お金を使っても、貯金がなくても大丈夫」だと思える社会の雰囲気が必要です。現状では、若者の意識が「インフレ」しており、結婚するには年収500万円以上必要と思われています。これは未婚者の上位3割程度しか該当しない額です。実際には結婚にそれほどのお金がかかるわけではないのに、若者の意識だけが高くなってしまっています。

「結婚すれば幸せになれる」という言葉は誤りです。元々幸福だから結婚しているのです。未婚と既婚を比較すると、既婚者の方が圧倒的に幸福度が高いですが、これは幸福な人が結婚して既婚者側に移行したからです。未婚の幸福人口は20代から50代にかけて下がっていきますが、それは幸福な人が結婚して既婚者になったからで、不幸な未婚者の割合はあまり変わりません。つまり、幸福な人が結婚する傾向にあるのです。
子育て支援は少子化対策にはなりません。子育て支援は子どもが生まれた後の話であり、そもそも結婚して子どもを持つかどうかという部分に影響しないからです。厚労省の調査によると、子育て支援があれば「もう一人子どもを産む」と答えた人は2割未満です。また、教育の無償化も同様に、現在子どもがいる人を助けるだけで、子どもの数を増やす効果はほとんどありません。
マッチングアプリを導入しても結婚が増える因果関係はありません。マッチングアプリは「恋愛強者のナンパのデジタル版」であり、モテる人がより多くの選択肢を得るだけのツールになっています。中間層の人たちを救うツールにはなりにくいのです。ただし、工夫している自治体もあります。例えばAIによる性格診断でマッチングした後、昔ながらのお見合いのような仕組みを組み合わせるハイブリッド型の取り組みは効果が期待できます。

少子化問題の本質は「中間層の空洞化」です。経済的にも、恋愛的にも、社会的役割においても、かつて社会の中心だった中間層が今空洞化していることが問題です。結婚したくてもできない「真ん中の層」にこそ支援が必要です。彼らの自己肯定感を高め、行動力を引き出すことが重要です。
上位3割は元々行動力があるため結婚もできますが、真ん中の4割が行動すれば、合計7割が動く社会になります。これが実現すれば社会は大きく変わるでしょう。政府は中間層の手取りを増やすとともに「消費をしよう」「消費すれば手取りが増える」という経済循環の構造を伝えていくべきです。

自己肯定感を高めるためには、まず経済的な余裕が必要です。お金がなさすぎると何もしたくなくなる状態は不健康です。昔の20代は普通に遊びに行って楽しめる程度の経済的余裕がありましたが、今はそれが削られています。
また、若者が達成感を得られる機会を増やすことも重要です。例えば自治体が抱える課題に若者が関わり、達成感を得られるプロジェクトを企画する方法があります。空き家再生のボランティアに若者が集まり、そこで出会った男女が結婚したという実例もあります。共同で何かを作り上げる経験が、「この人となら一緒に何かを作っていける」という感覚を育み、結婚につながるのです。

人口減少は避けられません。どんなに対策しても出生率は1.2〜1.3程度までしか回復しないでしょう。子育て支援を充実させれば1.8になるという話は「大嘘」です。重要なのは、減ることを前提に、どう緩やかにしていくかを考えることです。
また、独身生活者が増える社会も必ず来ます。結婚したくない人もいれば、配偶者と死別して独身になる高齢者も増えます。だからこそ、「結婚か独身か」という二項対立ではなく、様々な生き方を認め合える社会が必要です。
税金や社会保険料を見直し、若者の実質的な手取りを増やすことが重要です。しかし、「国民負担を増やさないと社会を支えられない」という前に、若い世代が経済的に疲弊しすぎている現状を何とかする必要があります。
また、大きな政府モデルはもう通用しません。「1万円あげて1万円取る」という無駄な循環をやめ、効果的な政策に集中すべきです。何より大切なのは、経済を活性化させ、中間層が前向きに消費でき、自己肯定感を持って行動できる社会にすることです。そうすれば恋愛も結婚も相対的に増え、子どもも増えていくでしょう。