政策超分析
人生を賭け挑む「医療費4兆円削減」の具体案
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2025年4月5日

杉村太蔵氏をレギュラーコメンテーターに迎え、「政策」をどこよりも深く徹底分析する番組。今回のテーマは「医療費改革」。後半では猪瀬直樹が考える「医療費4兆円削減」の具体案について議論を交わした。 <ゲスト> 杉村太蔵|元衆議院委員/実業家/タレント 1979年北海道生まれ。2005年9月総選挙で最年...
医師会の「門前薬局」問題で4兆円削減? 猪瀬直樹が語る医療費改革
医療費削減案の核心部分「OTC類似薬」とは何か。元東京都知事の猪瀬直樹氏が語る医療制度改革の要点をQ&A形式でまとめた。

Q: OTC類似薬とは何ですか?
OTC類似薬とは「Over The Counter(カウンター越し)」の略で、本来は医師の処方箋なしに薬局で購入できる薬を指します。成分は処方薬と同等または類似していますが、現在の日本では多くの場合、処方箋がなければ購入できない状況になっています。
この「OTC類似薬」は約7,000種類あり、これらを医師の処方箋なしで購入できるようにすれば、約1兆円の医療費削減が可能と考えられています。
Q: 「霊媒薬局」とは何ですか?
霊媒薬局とはOTC類似薬を処方箋なしで購入できる薬局のことです。「霊媒」という名称は、かつて物を少しずつ小分けして売ることを「霊媒」と呼んでいた古い商業用語から来ています。現在では全国に約100店舗しかありません。
通常の調剤薬局では処方箋が必要とされますが、霊媒薬局では薬剤師が患者の症状を直接聞いて、処方箋なしでも適切な薬を提供することができます。
Q: なぜ日本では薬剤師が多いのに活用されていないのですか?
日本は人口当たりの薬剤師数が世界一多い国です。薬剤師は6年間大学で学び、医師よりも薬についての専門知識を持っています。しかし現状では、その専門性を十分に活かせていません。
多くの調剤薬局では、医師が書いた処方箋に従って薬を袋に入れ、簡単な説明をするだけの業務が中心になっています。猪瀬氏は「薬剤師の本来の役割は、患者の症状を聞いて適切な薬を提案したり、薬の飲み方や効果について詳しく説明したりすることだ」と指摘しています。

Q: 「門前薬局」の問題点は何ですか?
門前薬局とは、病院やクリニックの近くに立地する調剤薬局のことです。大きな病院の前には複数の調剤薬局が並ぶ光景がよく見られます。猪瀬氏はこれを「お寺の前にお土産屋が並ぶ門前町と同じ」と表現しています。
問題点は、これらの薬局が単に処方箋に基づいて薬を渡すだけで高額な調剤料を請求していることです。処方箋を受け取ってから薬を渡すまで平均15分程度の待ち時間がありますが、その間に調剤基本料、薬剤調整料、調剤管理料、服薬管理指導料など様々な料金が加算されます。
例えば「お薬手帳」を持っているかどうかを聞かれるだけで、持っていなければ590円、持っていれば450円が加算されるケースもあります。こうした料金体系によって調剤薬局が非常に儲かる構造になっています。

Q: 医薬分業の歴史的背景は?
1970年代頃まで、日本ではクリニックの中で医師が直接薬を渡す「院内処方」が一般的でした。しかし、医師が薬の販売で利益を得ることへの批判が高まり、医師と薬剤師の役割を分ける「医薬分業」が進められました。
欧州では元々医薬分業が一般的でしたが、日本ではこの制度を浸透させるために薬剤師に様々なインセンティブ(調剤料など)が与えられました。その結果、現在では処方の7〜8割が医薬分業による「院外処方」となっています。
Q: 猪瀬氏が提案する医療費削減策は?
猪瀬氏は合計4兆円の医療費削減を提案しており、その第一歩として「OTC類似薬の処方箋なし販売」で1兆円の削減を目指しています。
具体的には:
1. OTC類似薬を処方箋なしで購入できるようにする(約1兆円削減)
2. 薬剤師の能力を活かし、軽症の場合は医師の診察なしで薬剤師が適切な薬を提案できるようにする
3. 「大納負担」の導入 - 高齢者でも資産や収入がある人には2割・3割の負担を求める(残り3兆円削減の一部)
現在75歳以上の高齢者の7割以上が1割負担ですが、実際には現役世代より収入や資産が多い高齢者も少なくありません。猪瀬氏は「年金収入に加えて株式収入などがある人は、負担能力に応じて支払うべき」と主張しています。

Q: この改革案の実現可能性は?
猪瀬氏によれば、2月に薬機法改正が閣議決定され、むしろOTC類似薬を処方箋なしで販売することを制限する方向に動いています。改革案を実現するには、この流れを逆転させる必要があります。
6月の「骨太の方針」にどれだけ具体的に記載されるかが一つの目安になるとのことです。ただし医師会や薬剤師会といった圧力団体の抵抗も予想されます。
猪瀬氏は「問題は高額療養費制度の見直しで失敗したように、削減の方法を間違えること」と指摘しています。例えば高齢者だけに適用される「外来特例」を見直すだけで3,400億円削減できるのに、がん患者を含む全体に一律に適用しようとして批判を招いたと述べています。
Q: 医療費削減の本質的なポイントは?
「質を落とさずに無駄を削る」ことが本質だと猪瀬氏は強調しています。それには医師と薬剤師の役割分担(タスクシフティング)が重要です。
海外では、薬剤師が簡単な注射もできるなど、医師と薬剤師の間には「グレーゾーン」があります。これをタスクシフティングと呼び、「400mリレーのバトンゾーンのような重なり」が必要だと猪瀬氏は説明しています。
また猪瀬氏は「世論の関心が低いのは昭和16年の敗戦前と同じ」と警鐘を鳴らしています。医療制度改革の問題は複雑で難しいため、メディアも政局ばかりを報じて本質的な問題に切り込めていないと指摘しています。