政策超分析
医師会・薬剤師会は圧力団体(前編)
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2025年4月4日

杉村太蔵氏をレギュラーコメンテーターに迎え、政局よりも重要な「政策」に焦点を当て、どこよりも深く徹底分析する番組 <ゲスト> 杉村太蔵|元衆議院委員/実業家/タレント 1979年北海道生まれ。2005年9月総選挙で最年少当選を果たす。厚生労働省委員会、決算行政監視委員会に所属。労働問題の改善に取り...
「このまま行くと医療費で敗戦を迎える」猪瀬直樹が語る医療費削減と若者の未来
現役世代は「血だらけ」になっている——。日本の医療費問題について、作家で日本維新の会参院幹事長の猪瀬直樹氏が国会で医師会と薬剤師会を「圧力団体」と名指しで批判し、医療費改革の必要性を訴えた。医療介護産業は公金市場として保険と税金で成り立っており、このままでは日本は「医療費で敗戦を迎える」という警鐘を鳴らしている。

Q: 猪瀬直樹氏が国会で訴えた医療費問題とは?
猪瀬氏は国会質疑で医師会と薬剤師会を「圧力団体」と名指しで批判した。医療介護産業は公金市場として保険と税金で成り立っているが、メスが入らないために現役世代が「血だらけ」になっていると指摘した。現在の予算の半分以上が社会保険料関係費となっており、このまま医療費が増え続ければ日本は「敗戦」を迎えると警鐘を鳴らしている。
猪瀬氏は「350万円の世帯で7万円の税金を払っているが、社会保険料は50万円も払っている。雇用主側もさらに50万円、合計で100万円の社会保険料を負担している」と指摘。「4兆円の医療費を削減すれば現役世代の社会保険料負担を6万円減らせる」と訴えている。
Q: 現在の医療費はどのような仕組みで運営されているのか?
現在の医療保険制度は、現役世代が加入する健康保険からの「仕送り」によって後期高齢者医療制度が支えられている構造になっている。
猪瀬氏は「後期高齢者には15.7兆円の医療費がかかっており、公費で7.9兆円、残りは現役世代からの『後期支援金』として6.5兆円が支払われている」と説明した。本来、医療保険は自分のリスクに対してかけるものだが、現状は「人のリスクにかけている」状態で、これは保険ではなく「仕送り」だと指摘している。

Q: 猪瀬氏はなぜ医療費問題を「昭和16年夏の敗戦」と重ね合わせるのか?
猪瀬氏は著書「昭和16年夏の敗戦」で描いた軍事費の急増と、現在の医療費の増加傾向をパラレルな関係としている。昭和16年に軍事費が急増したのと同様に、現在は医療費が急激に増加している。両者に共通するのは「情報が開示されていない」「国民に理解されていない」点だ。
猪瀬氏は「昭和16年の段階で若きエリートたちが『このまま行くと負けてしまう』と分かっていたことを突き進んでしまった」と指摘。歴史から学び、今回は「医療費の敗戦」を避けるべきだと主張している。
猪瀬氏が石破茂首相に示したグラフでは、昭和16年の軍事費の急増と現在の医療費の増加が重なっており、「このパラレルを理解してほしい」と訴えた。「陸海軍という軍事圧力団体と医師会・薬剤師会という圧力団体は同じ意味で捉えるべき」と述べている。

Q: 医療費はどのくらいの規模なのか?
猪瀬氏によると、医療介護産業は約60兆円の規模で、自動車産業とほぼ同じGDPの約1割を占めている。しかし両者には大きな違いがある。
自動車産業は完全な民間市場であり、経営不振企業は市場から退場を迫られる。一方、医療介護産業は公金市場として保険と税金で成り立っており、生産性革命が起こりにくい構造になっている。
「医療介護産業と自動車産業は雇用者数もそれぞれ約5600万人と同規模。片方は生産性革命しないと市場から退場させられるが、もう片方は生産性革命が起きない世界が存在している」と猪瀬氏は説明する。
Q: 4兆円の医療費削減はどうやって実現するのか?
猪瀬氏は具体策として「OTC類似薬」の活用を挙げている。本来は薬局で普通に買える薬が、処方箋を必要とする形で保険適用されているケースが多い。これを改めることで1兆円の財源が生まれるという。
また「頻回受診」の問題も指摘。高齢者は窓口負担が1割のため、「ほとんどお金がかかった気がしない」ために必要以上に病院に通う人も多い。健康寿命を伸ばし、病院に行く回数を減らすことも重要だと主張している。
「医療の質を落とさずに無駄を削る」という原則で改革を進めるべきで、「ユーザー側にきちんと理解してもらうことが全て」だと強調している。
Q: 猪瀬氏のこれまでの改革実績は?
猪瀬氏は1996-97年に「日本国の研究」を著し、これが小泉構造改革のテキストとなった。当時の改革では、特殊法人である道路公団の民営化を実現。高速道路のサービスエリアにコンビニエンスストアやカフェが入るようになったのも、この改革の成果だという。
また東京都副知事時代には財政改革も実施。現在の東京都の良好な財政状況の基礎を作ったとされる。
猪瀬氏はこれまで手がけた改革と同様に、医療費改革も「供給側ではなくユーザー側の立場で考える」ことを重視している。「ユーザー側の方が人数が多い。ユーザー側に理解してもらうことが全て」と述べている。

Q: この医療費改革の実現可能性は?
猪瀬氏によれば、小泉純一郎元首相が医療費を「数千億円カットする」と言っただけで大問題になったという歴史がある。医療費はまさに「タブー領域」だが、猪瀬氏は「医療の質を落とさずに無駄を削る」という原則で改革を進める意向を示している。
一方で、政府・自民党は2023年末に「2028年までの5年間で1兆円削減」という目標を掲げた。猪瀬氏は「5年間で5兆円増えるのに、5年間で1兆円削減するのでは意味がない」と批判している。
今後6月の骨太の方針にどこまで具体的な医療費削減策が盛り込まれるかが焦点となる。猪瀬氏はユーザー側である国民の理解を得ることが改革成功の鍵だと考えている。「自民党だってユーザー側が味方につけば妥協してくる可能性もある」と述べている。
「改革は難しいけれども、やはり勉強しないとダメだ」と猪瀬氏は強調する。医療費改革が成功すれば、現役世代の負担軽減につながり、日本の未来を変える大きな一歩となる可能性がある。