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日本再興のチャンスは回転寿司にあり
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2025年4月4日

世界180か国への出店を目指す「くら寿司」。創業者・田中邦彦社長へのインタビュー後編では、くら寿司が漁港と進める漁業改革や、海外出店の戦略などにフォーカス。「回転寿司が日本再興のチャンスである」と語る理由とは。 <ゲスト> 田中 邦彦|くら寿司 社長 1951年岡山県生まれ。桃山学院大学卒業後、タ...
「仕事を楽しむ文化」から100カ国展開へ — くら寿司創業者が語る第2創業期のビジョン
くら寿司創業者・田中邦彦社長が、同社の革新的なビジネスモデルと未来のビジョンについて語った対談の内容をまとめました。創業からの歩みと「第2創業期」を迎えた企業の展望、さらには世界進出の戦略まで、深い洞察に満ちた対話を紹介します。

「立ち止まったら終わり」—変化を楽しむ企業文化
Q: 魚の資源が減少し価格が高騰する中で、どのような対策を考えていますか?
くら寿司では10年前から洋食にも手を広げています。しかし、全体のメニューのうち洋食は2割程度です。日本の漁獲量は最盛期の1300万トンから現在は500万トン以下に減少しています。一方で世界の漁業は増加傾向にあり、これは養殖での成功によるものです。
この課題に対応するため、漁師と一体になって改革を進めています。船で水揚げされた魚を全て買い取る「一船買い」の取り組みや、漁協と年間契約を結んで安定した購入をするなど、漁業者の生活を支える取り組みを行っています。
Q: 月に2回行われるミーティングではどのような議論がされていますか?
社長を含めた主要メンバーが集まり、市場の変化や新しいアイデアについて話し合います。現状維持は「毒」という考えのもと、常に変化していくことが当たり前の文化を築いています。「立ち止まったら終わり」というのが基本理念です。新しいアイデアを楽しみながら実践し、失敗を恐れない風土を大切にしています。

「思想と胆気」—人材と企業文化の関係
Q: 企業文化を醸成するために何を意識していますか?
創業時には立派な人材はなかなか来ません。年に1人か2人、志の合う人が入ってくることを大事にしてきました。一方で、会社の思想や方向性と合わない人とは自然に縁が切れていきます。「思想と胆気」は非常に重要で、仕事を楽しむ文化を作ることが創業者の役割だと考えています。
また、「新しい村構想」という考え方を持っています。これは終身雇用制を守り、年を取っても会社が面倒を見られる組織を目指すというものです。終身雇用制は守るべき日本の文化だと考えており、60〜70歳になっても会社にいられる環境を作りたいと思っています。
Q: くら寿司は無借金経営を実現していますが、その秘訣は何ですか?
上場していることが大きな要因です。上場企業だからこそ資金調達が容易で、金利負担がありません。世界展開においても「上場できる国にしか出店しない」という方針があります。これは重要な戦略的判断で、健全な財務基盤を維持するためです。コロナ禍でも借金をせずに経営できたのは、この戦略のおかげです。
「ベルトは夢の川」—回転寿司の革新性
Q: 回転寿司が世界で当たり前になっている現状をどう見ていますか?
これは日本が最高する一つのチャンスです。日本の味覚は世界一であり、この資産を活かして世界展開を進めていきたいと考えています。現在108カ国での展開を目指しており、すべての国にくら寿司を作りたいと考えています。

Q: 「プレゼントシステム」など、回転レーンの革新的な使い方について教えてください。
回転レーンは「夢の川」です。静止しているものと流れているものは全く違う価値を持ちます。例えば、「桃太郎」の桃が道端にあっても驚きませんが、川から流れてくるから物語になります。同様に、回転レーンは単なる効率性だけでなく、「どんなものが流れてくるか」というワクワク感を提供します。
現在開発中の新しい取り組みとして、産地の特産品とその生産者の情報を一緒に流すシステムがあります。例えば和歌山の「南高梅」とその原木、創業者の写真を一緒に流すことで、食材の背景まで伝えられます。また、産地の異なる同じ魚を比較できる「比べるシリーズ」なども計画しています。

「漁師と一体になった改革」—持続可能な水産業への取り組み
Q: 漁業との連携について具体的な取り組みを教えてください。
漁業者の最大の課題は「取っても売れなければ意味がない」という点です。そこで全量買取りの仕組みを導入しています。また、海津市の店舗の隣には市場も設置し、少量しか漁獲できない魚をその場でお客様に提供する仕組みを約10年前から実施しています。
ノルウェーなどの先進的な漁業管理システムも参考にしながら、船ごとの漁獲割当など、日本の漁業を持続可能にするための提案も行っています。これらは民間企業だけでは実現が難しいため、行政との連携も重要だと考えています。
Q: 2030年に向けた「第2創業期」の目標は何ですか?
具体的な売上目標はあまり公表していませんが、日本国内はすでに成熟市場であると認識しています。一方、アメリカでは現在70店舗ありますが、今後100店舗以上に拡大する計画です。国内でも年間10店舗程度の出店を続ける予定です。
特に都心部での出店に力を入れており、プレゼントシステムなどの革新的なサービスが、新たな出店のきっかけになっています。今後も「お客様が拍手するようなサービス」を次々と生み出していきたいと考えています。
「お客様が拍手するサービス」—未来への挑戦
Q: 今後どのようなチャレンジをしていきたいですか?
「お客様が拍手するような様々なサービス」を提供することが目標です。例えば、2025年の大阪・関西万博でも新しい試みを計画しています。食材の産地や生産者の情報を視覚的に伝える取り組みや、異なる産地の同じ魚を比較できる企画など、回転レーンの特性を活かした独自のサービスを展開していきます。
当社のコンセプトは「回転寿司」から「回転レストラン」へと進化しています。単にお寿司を提供するだけでなく、食の文化や背景も含めた総合的な体験を提供することで、世界中の人々に喜んでもらえる場所にしていきたいと考えています。
お客様、特に子どもたちが目を輝かせて「どんなものが流れてくるか」とワクワクする体験を大切にしながら、くら寿司は革新を続けていきます。