
今さら聞けない税金の基礎知識【自営業者・フリーランス編】どこまで経費?
フリーランス・自営業者が知るべき税金の基礎知識と不動産投資の税金対策
税金の知識は複雑で分かりにくいものですが、特にフリーランスや自営業者にとっては避けて通れない重要な問題です。今回は税理士の高橋創さんに、経費の考え方から不動産投資、そして相続税対策まで幅広く解説していただきました。

経費の判断基準は?「曖昧なものこそ根拠が大事」
Q: フリーランスや自営業者にとって、最も相談が多いのは経費の判断だと思いますが、基本的な考え方を教えてください。
経費の判断は曖昧なことが多いです。個人の支出は基本的に3つに分けられます。1つ目は明らかに経費になるもの(例:お店の仕入れ)、2つ目は明らかに生活費でしか使わないもの、そして3つ目が「どちらとも取れないもの」(専門用語では家事関連費)です。
この3つ目のカテゴリーが難しく、法律上は基本的に経費として認められません。しかし条件を満たせば経費にできます。その条件は2つ。まず帳簿にきちんと記録していること、そして金額の根拠があることです。
例えば、自宅で仕事をしている場合、「3部屋あって1部屋を仕事用に使っているから家賃の1/3を経費にした」というように説明できる根拠があれば認められやすくなります。
Q: 車や携帯電話のような、プライベートと仕事の両方で使うものはどう判断するのですか?
これも同様に使用割合の根拠が重要です。例えば「週5日働いていて、その間は仕事でしか使っていません。週末は家族で乗っています」という説明があれば、5/7を経費にすることができます。
携帯料金も同様で、仕事とプライベートの使用割合を明確に説明できることが大切です。税務調査が来た時に「なぜこれが経費なのか」を説明できるかどうかが重要なポイントです。
意外と難しい「衣料品」の経費判断
Q: YouTuberやインフルエンサーなど、衣装や服装が仕事に関わる人の場合はどうですか?
衣料品は判断が難しいケースが多いです。「この服は撮影でしか着ない」と言っても、実際にはプライベートでも着ている場合が多いため、何割かを経費にすることが一般的です。「この服は仕事用として何割使っていますか?」と聞いて、その割合で経費計上します。
ただし、100%経費にできるケースもあります。例えば夜の商売の方の衣装など、明らかに仕事専用で、お店で着替えて使うような場合は全額経費として認められることがあります。

Q: 不動産周りの税金で知っておくべきポイントはありますか?
住居として不動産を考える場合、住宅ローン控除が最も大きなメリットです。これは非常に効果的な節税策で、所得の高い人も低い人も住宅ローンの残額に対して一定の割合(現在は0.7%)を直接税金から差し引くことができます。
住宅ローン控除は「三方よし」の制度とも言えます。金融機関は貸せる、不動産屋は売れる、購入者は家を持てる、という関係者全員が得をする仕組みになっています。
Q: 不動産投資は節税になりますか?
不動産投資は短期的には節税になることが多いです。不動産を購入して誰かに貸すと、そこで収入が生まれますが、これは給与とは別枠の「不動産所得」というカテゴリーになります。
購入した初年度は諸費用や減価償却などで赤字になりやすく、その赤字を給与所得と相殺できるため節税効果があります。ただし、長い目で見ると減価償却も途中で終わり、いずれは利益しか出なくなるため注意が必要です。
また、不動産投資ローンを組む場合、ローンの返済は経費にはならないため、賃料収入があってもローン返済で手元に残らない場合でも税金はかかります。将来的に売却したい場合も税金がかかるので、出口戦略までしっかり考えたプランを立てる必要があります。

Q: タワマン節税とは何ですか?
タワマン節税は相続税の節税のための手法です。相続税は財産の種類によって評価額が異なり、現金よりも不動産の方が評価額が低くなる傾向があります。
特に自分が住んでいる土地については「小規模宅地の特例」があり、評価額がさらに8割引き(2割の評価)になります。タワーマンションの場合、土地の所有権が住民で分割されるため、1世帯あたりの土地所有面積が非常に小さくなり、この特例を最大限に活用できるのです。
タワマン節税が注目されたのは、実際の購入価格よりも相続税評価額が大幅に低くなることが多かったからです。ただし、完全に相続税をゼロにすることはできません(それは脱税になります)が、財産をより税金の低い形に変えることは合法的な節税策と言えます。

Q: 最近話題の金融所得課税の見直しについてどう思いますか?
現在、金融所得に対する税率は一律20%ですが、これを30%に引き上げつつ、所得税の税率(5%〜45%)との選択制にするという案が出ています。
これにより、低所得者は自分の所得税率(5%〜20%)を選べるようになり、高所得者(税率30%以上の人)は30%の金融所得税率を選ぶことができるようになります。
この方向性は基本的に「金持ちからより多くの税金を取る」という世界的な流れに沿ったものです。税金の考え方には、「同じように取る」という平等性と、「生きていける額を残す」という考え方があり、所得の少ない人には負担を軽くするという原則があります。
高所得者への課税強化という流れは今後も続くと予想されます。また、現在の所得税制は基本的に昭和40年の改正からあまり変わっていないため、テクノロジーの発展や働き方の多様化に対応した抜本的な改革が求められています。
Q: 今後私たちが注目しておくべき税金関連のニュースはありますか?
3月末の税制改正後もしばらくは壁の問題や金融資産課税の問題は議論が続くでしょう。多くの人が税金に興味を持ち始めており、選挙の公約などでも税金の話題が増えていくことが予想されます。
税金の使い方についてはなかなか個人では変えられませんが、税金をどう納めていくかについては多くのニュースが出てくるので、しっかり注目しておくことが大切です。最近は壁の問題をきっかけに政治も動き始めており、こうした流れが強くなっていくことを期待します。
