
東大卒プロポーカープレーヤーの新NISA活用術【篠田尚子×木原直哉】
プロポーカープレーヤーが語る新NISA活用法と投資哲学―期待値思考で市場を読み解く
「1/5になるかもしれないけど10倍になるかもしれない銘柄を入れた方が得。これがイーブンだったらめちゃくちゃプラスなんです」―プロポーカープレーヤー兼投資家の木原直哉氏は、新NISAの活用法についてこう語る。ポーカーと投資の世界で培った独自の視点から、リスクとリターンのバランス、メンタルコントロール、そして長期的な投資戦略について話を聞いた。

新NISAはボラティリティの高い銘柄を入れるべき?
Q: 新NISAについてどのように考えていますか?
私は積立はしていませんが、成長投資枠はフルで使っています。新NISAはボラティリティが大きい、1/5になるかもしれないけど10倍になるかもしれないような銘柄を入れた方が得だと思っています。
この考え方は期待値の非対称性に基づいています。1/5と5倍は一見同等に感じますが、数学的には全く違います。100が50になるか200になるかという場合、マイナス50かプラス100という違いがあります。これがイーブンの確率だとしたら、期待値はプラスになります。
また、非課税期間も長期化されていますから、持ち続けることもできますし、下がったところで買い増すこともできます。5年間売れないという感覚で、5年も絶対に持つような銘柄を選ぶことを意識しています。
Q: 投資の分散についてはどう考えていますか?
基本的には保有ポートフォリオの10%程度までしか個別銘柄に投資しないようにしています。極めて有望だと思った銘柄でも、例外的に30%まで投資したことはありますが、それは珍しいケースです。
業種や地域での分散も意識しています。例えば不動産銘柄でも、大阪、東京、名古屋、北九州など地域が分散していれば、地震リスクなどの面でも分散効果があります。
投資におけるメンタルコントロールの秘訣
Q: ポーカープレーヤーとしての経験が投資にどう活かされていますか?
ポーカーと投資は非常に似ています。どちらも次にどうなるかわからない状況でお金を賭けるものです。相手が何を持っているか、他の人がどう思っているか、どれくらいのお金を持っているかなどが見えない中で判断するという点で共通しています。
メンタル面では、負けを小さく、勝ちを大きくすることが重要です。勝率が50%だとしても、損失が小さく利益が大きければトータルでプラスになります。ポーカーの世界では、生き残るプレーヤーは負けが小さいのが特徴です。

Q: 投資での大きな損失をどう乗り越えましたか?
実際に経験した最も大きな損失は、去年の8月1日から5日の3日間で口座全体の63%が減少したことです。レバレッジをかけていたためこれほどの損失になりました。
レバレッジをかける場合は管理を徹底しなければなりません。下落時には損切りをする、つまり上がると思っている銘柄でも売り続けなければならないという鬼のようなメンタルが必要です。これができない人はレバレッジは絶対にやめるべきです。3倍のレバレッジがかかっていれば、20%の下落が60%の損失になります。
一方、レバレッジをかけていなければ、20%の下落で100が80になるだけです。世界的な暴落でも1ヶ月後には回復することが多いですが、レバレッジをかけている人は同じ期間では回復できないことが多いです。

個人投資家の強みを活かす
Q: 個人投資家とプロの運用者の違いは何ですか?
個人投資家の強みは自由度の高さです。企業を分析する順序も自由で、直感で行動することもできます。また、流動性の低い小型株などにも投資できます。
一方、アナリストやファンドマネージャーは証跡を残さなければならなかったり、会社で決められたルールに従わなければならない制約があります。特に公募の投資信託の場合、流動性管理が重要で、日次で基準価格を出す必要があるなど、様々な制約があります。
また、個人投資家は相場が下がった時に即座に買いを入れることができますが、ファンドマネージャーはチームでの合意が必要だったりするため、そうした機動性に欠けることがあります。

Q: 長期投資、特に積立投資についてどう考えていますか?
長期積立投資の考え方として重要なのは、「世界全体の何パーセントを持っているか」という視点です。相場が下がっている時は、同じ金額でも以前より多くの枚数、つまり世界のシェアをより多く購入できます。
例えば、相場が下がっている時は同じ金額で1.5倍の枚数が買えます。つまり、世界全体の中で自分の持ち分比率が着実に上がっているので、円ベースで金額が下がっていても損はしていないという考え方ができます。
特にオールカントリーのインデックスに投資している場合、文字通り世界全体の一部を買っているわけですから、積立投資で着実に世界の持ち分比率を上げていくことができます。
お金との向き合い方
Q: お金に対する考え方はこれまでの人生でどう変わりましたか?
20歳くらいまでは真面目な学生で、お金が動くのも嫌いでした。今でも基本的には同じで、ポーカーや株以外でお金が動くのは好きではありません。
例えば海外のカジノでポーカー以外のゲーム(バカラやブラックジャックなど)でお金を賭けるのはとても嫌です。ポーカーで100万円負けても平気ですが、サイドギャンブルで10万円負けるのは耐えられません。
これはポーカーや株での損失を「過去に勝ってきたお金の一部が減っただけ」と捉えられるからかもしれません。人生トータルで1億円勝っていれば、100万円負けても1億円が9900万円になっただけと考えられます。
ただ、これは過去の成功体験があるからこそできる考え方です。0から減るのと、増やして100になって90になるのとでは全然話が違います。トータルで勝つことがスタートラインで、そうなってから徐々に心理的に楽になっていくものです。
