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定年後の仕事のリアル。月10万円稼げれば十分
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2025年3月25日

シニアの就業率が急上昇している。シニアの仕事のリアルは?どんな種類の仕事があるのか?いくら稼げるのか?リクルートワークス研究所の坂本貴志アナリストに聞いた。 <ゲスト> 坂本貴志|リクルートワークス研究所研究員 一橋大学大学院修了。厚労省にて社会保障制度の企画立案などを担当した後、内閣府でエコノミ...
定年後は週3日、10万円稼げば幸せに暮らせる!70歳まで働く社会の新常識
「70歳、場合によっては80歳まで働くことも十分あり得る」と専門家は指摘する。しかし、それは現役時代のハードな働き方を続けるわけではない。月に10万円程度稼げば十分な生活ができるという現実がある。定年後の仕事とキャリア設計について、新たな視点を探る。

Q:今の日本では定年後も働き続ける人が増えているの?
近年、定年後の就業率は大きく上昇している。男性の60歳時点での就業率は上昇傾向にあり、70歳時点でも約半数が働いている計算になる。特に注目すべきは女性の就業率の急上昇だ。2000年時点では60歳時点で43%だった女性の就業率は、2020年には62.8%まで上昇している。
高齢者の就業率が上がっている背景には、「定年を迎えても引退できるような時代ではなくなっている」という現実がある。多くの人が定年後にどう働くかを悩む時代になってきた。今後は「夫婦で働く」というパターンも増加し、75歳くらいまで共働きを続ける夫婦も増えていくだろう。

Q:定年後の収入はどれくらい減るの?
定年後の収入は大きく減少する。給与所得者の平均給与は50代前半をピークに急減し、60代前半で400万円台半ば、60代後半で300万円台半ばとなる。
定年前後の収入変化を同一人物で追跡したデータによると、全体平均で約2割の減少が見られる。定年前に565万円だった年収が、定年後には446万円になるというパターンが一般的だ。
特に大企業勤務者の場合、落差が大きくなる傾向がある。大企業では定年前に700万円弱あった年収が、定年後は500万円を切る水準になり、約3割の減少となる。多くの場合、役職定年で一度収入が下がり、さらに本定年でも収入が下がるという二段階の減少を経験することになる。
Q:収入が減っても生活はできるの?
収入は減少するが、支出も同時に減少するため、生活を維持することは可能だ。総務省の家計調査によると、家計の支出額は50代でピークを迎え、その後減少する。50代で月額約56万円だった支出が、60代前半では約44.8万円、60代後半以降は約35.2万円、70歳以降は30万円を切るレベルになる。
支出が減少する主な理由は以下の通り:
- 住宅費の減少:多くの人が退職金などを活用して住宅ローンを完済する
- 教育関係費の減少:子どもが独立し、教育費の負担がなくなる
- 非消費支出(税金・保険料など)の減少:所得が減ることで税金が減り、年金は支払う側から受け取る側に変わる
このように、収入と支出は相互に関連しており、収入が減る時期に合わせて支出も自然と減少する仕組みになっている。
Q:定年後はどれくらい稼げばいいの?
60代後半以降、無職世帯の場合の月額赤字は、60代後半で約8.4万円、70代以降で約3~4万円となる。つまり、月に10万円程度稼げば十分な生活ができる計算になる。
多くの人が定年後の働き方として現役時代と同じような働き方を想像し、それに不安を感じるが、実際にはもっと緩やかな働き方が一般的だ。週3日の勤務や、週5日でも午前中だけの勤務など、ペースを落とした働き方に調整していくケースが多い。
これは学生時代のアルバイトに近い働き方と言える。月10万円程度というのは学生のアルバイト収入に相当する金額だ。さらに、夫婦二人が働けば月20万円になり、年金の給付がなくても十分な生活ができる可能性がある。

Q:年金はいつもらうのがお得なの?
年金は「繰り下げ受給」を検討すべきだ。65歳でもらうのではなく、70歳でもらうと給付額が42%増加する(1ヶ月繰り下げるごとに0.7%上昇)。例えば、月20万円だった年金が28万円になる計算だ。
60代後半は小さな仕事で夫婦で働き、その間は年金受給を繰り下げるという戦略が効果的だ。28万円の年金があれば、貯金が少なくても安心して暮らせる可能性が高い。これは個人の家計にゆとりをもたらすだけでなく、社会全体の年金財政にとっても良い影響を与える。
Q:70歳まで働くのはきついのでは?
意外にも、高齢期の労働者は仕事に対する満足度が高い傾向にある。データによれば、仕事の満足度はU字カーブを描き、若年期は比較的高く、50歳頃に最低になり、その後再び上昇していく。60歳時点で仕事に満足している人の割合は45%、70歳では60%まで増加する。
高齢期の方が仕事に満足している理由には以下がある:
- 働き方の違い:無理のない働き方ができる
- 経済的負担の減少:住宅ローンや教育費などの大きな支出がなくなる
- 仕事選択の自由度:嫌な仕事や人間関係から自由に離れられる
仕事におけるストレスも、60歳以上では明らかに減少している。これは、仕事の量や質、対人関係、責任の重さなどによるストレスが少なくなるためだ。高齢期の仕事は「きついと思ったら自由にやめることができる」という特徴がある。
Q:定年後の人は幸福度も高いの?
幸福度も高齢期には上昇する傾向にある。幸福度はU字カーブを描き、中高年期に最も低くなり、高齢期になるにつれて上昇していく。これは多くの国で共通して見られる現象だ。
幸福度が上昇する主な理由は、仕事の負荷が減少することだと考えられる。「稼がなければならない」という重荷から解放されることで、精神的な余裕が生まれる。
Q:どのように長期的なキャリアを設計すればいいの?
現代では職業人生が長期化しているため、全体のキャリアを設計する必要がある。キャリアは以下の3つの時期に分けて考えるといい:
1. 若年〜中堅期(20歳〜50歳頃):
- 右肩上がりのキャリアを中心に考える時期
- 昇進昇格を目指し、給与を増やしていく
2. 中高年期(50歳〜65歳頃):
- キャリアの天井が見え始める時期
- 役職から降りた後、一プレイヤーとして貢献する
- 現役時代より低いパフォーマンス(6〜8割程度)でも十分に貢献できる
3. 高齢期(65歳以降):
- 年金が給付される時期
- 月10万円程度の小さな仕事で十分
- 地域に根ざした仕事など、働き方を変えながら働く
50歳前後の転換点では多くの人が悩むが、その時期を乗り越えれば納得して満足しながら働けるフェーズが来る。70代前半まで働くことを前提に、全体のキャリアを設計することが重要だ。
今後は最低賃金の引き上げも進み、高齢者の就労参加率はさらに上昇する可能性がある。施設管理人や介護保険医療サービスなど、高齢者に人気の職種も多様化している。
