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米国株は高すぎる。右肩上がりの終焉
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2025年3月5日

日米ともに下落が続く株価マーケット。日経平均のレンジは下がったのか?S&P、ナスダックなど米国株式市場はピークアウトしたのか?ピクテ・ジャパンの糸島孝俊シニア・ストラテジストに聞いた。 <ゲスト> 糸島孝俊|ピクテ・ジャパン ストラテジスト 証券系シンクタンクを経て、日系大手運用会社にて国内株式中...
日米マーケットの行方と投資戦略:「忍び寄る不透明感に備えよ」
株価や為替の動向に不安を感じている投資家も多いのではないだろうか。日米のマーケットはどこへ向かい、私たちはどう備えるべきか。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊シニア・ストラテジストに日本株と米国株の今後の見通しと投資戦略について聞いた。

日本株は下落トレンドに?
Q: 最近の日本株市場の状況をどう見ていますか?
日本株は調子が良くありません。これまで日経平均は4万円から3万8000円のレンジで半年間動いていましたが、残念ながら3万8000円から3万6000円のレンジに下落したイメージです。
この下落の原因は大きく2つあります。まず、アメリカ株の上昇が止まってきたこと。そして為替が円安に進みにくくなったことです。この2つのドライバーが今休んでいる状態です。
特に日本株は為替が円安でないと上がりにくい特性があります。また、今回の2025年3月期の業績予想については下方修正される可能性があります。これは為替の影響と関税問題、そして世界経済の不透明さによるものです。企業経営者もアナリストも保守的な予想を立てざるを得ない状況になっています。
円高トレンドの背景とは
Q: なぜ円安が続かなくなったのでしょうか?
日銀の動向が大きいと考えています。これから日銀政策決定会合が続いていきますが、3月については利上げはなさそうです。ただし、5月以降は利上げの可能性があります。
春闘の結果次第ですが、給料の上昇が見込まれ、日銀は利上げをしやすくなるでしょう。また、政治的な要素も大きく、食品価格など庶民感覚では「爆上げ」の状態です。こうした物価上昇に対し、政治家からすれば「円安の副作用ではないか」という見方もあり、金利を上げていく方向に舵を切る可能性が高まっています。
今までの円安による企業業績の改善という好循環から、円高に向かい、輸入物価の安定による家計への恩恵を重視する流れに変わりつつあります。これは世界的に金利を下げる方向に向かう中で、日本だけが逆方向に進む形になります。
市場の不透明感の正体
Q: 日本株市場の不透明感は何が原因ですか?
最大の不安材料はトランプ政権の関税政策です。3月初めから関税が上がり始め、4月中旬には総合関税も出てきます。メキシコ、カナダ、中国に対しては20%の追加関税となる可能性もあります。
日本は元々関税が低いので直接的な影響は自動車産業や農業などに限られますが、世界経済全体が悪化すると日本株も下落する可能性があります。この関税問題の全貌は4月中旬以降に見えてくるでしょう。そのため、少なくとも5月頃までは3万6000円から3万8000円のレンジで推移すると予想しています。
また、参議院選挙も市場に影響を与える要素になります。特に国民が経済や生活に安心感を持てるかどうかが重要です。インフレで政権が長続きした例は少なく、政権のブレインにも気づきが必要な時期に来ています。

米国株はピークを過ぎた?
Q: 米国株市場の見通しはどうですか?
個人的な見解ですが、アメリカ株は高すぎると思います。もう上値追いは終わった可能性は51%程度あると考えています。
NVIDIA(エヌビディア)の例を見ても、良い決算結果を発表したにもかかわらず、その後株価は下落しています。これは市場の期待が高すぎたことを示しています。半導体関連株を筆頭に、これまで上昇を引っ張ってきた銘柄が調整し始めました。
関税問題に加え、デジタル税の導入も世界経済の成長鈍化リスクとなります。アメリカが「一人勝ち」で上昇してきた流れが、調整局面に入る可能性が高いと見ています。
企業業績は上がっていますが、その上昇ペース(モメンタム)が鈍化しています。株価は成長の角度が維持されることを前提に高くなっていますが、その角度が下がってくると、通常のバリュエーションに戻る「ヘルシーな調整」が起きるでしょう。
国際情勢の影響
Q: ウクライナ・ロシア情勢の停戦は市場にどう影響しますか?
短期的には、日本やアメリカの市場にとっては「対岸の火事」的な要素が強いです。一方でヨーロッパ市場には大きな影響があります。和平に向かえば復興需要によってヨーロッパ株が上昇する可能性があります。
また、地政学的リスクが和らぐと、金のような安全資産は一時的に売られるかもしれませんが、中長期的には魅力が続くと思います。
ただし、米中関係を含めた世界的な分断の問題は続く可能性があり、中長期的には市場に影響を与え続けるでしょう。

これからの投資戦略
Q: 投資家はこれからどのような戦略を取るべきですか?
今後は「戻り売り」の考え方が重要になります。株価が戻った時点で利益確定していくことを検討すべきです。特に日本株については、3万6000円前後は買いでも、3万8000円前後になると利益確定を考える時期でしょう。
アメリカ株については、既に多くの比率で保有している方は保有比率を減らすことも検討すべきです。アメリカ株は日本株より慎重に対応し、戻りが限定的になる可能性を考慮して、トントンでも逃げる覚悟が必要かもしれません。
債券については、金利の方向性次第ですが、ある程度の比率で持っていても良いでしょう。金は10〜20%程度の比率で持ち続けることをお勧めします。
これまでのように「買っておけば良かった」時代は終わり、より高度な投資判断が求められる局面に入ったと考えています。特に個人投資家も、これまで以上に勉強し、様々な意見を聞いてバランスの取れた判断をすることが重要です。
Q: NISA(少額投資非課税制度)などの積立投資はどうすればよいですか?
短期的には、今までのような右肩上がりの成功体験が崩れる可能性があります。しかし、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の本来の目的は10年、20年、30年先を見据えたものです。
むしろ今後株価が下がるなら、長期投資家にとっては「安く買える」好機とも言えます。積立投資を続けながらも、短期的な利益を目指す部分については、利益確定のタイミングを意識することも大切です。
投資を始めたばかりの方は現在の戦略を続け、すでに資産が膨らんでいる方は、一部利益確定やポジション調整も検討する時期と言えるでしょう。
収益を安定させる方法
Q: 安定的に収益を上げるにはどうすればよいですか?
安定収入(インカム)を狙う場合、景気敏感株よりも景気に左右されにくいディフェンシブな高配当株の比率を増やすことを検討すべきです。ただし、全部をディフェンシブにするのではなく、インカム投資内での分散を意識することが重要です。
リート(不動産投資信託)については、日本の金利上昇環境では調達コストが上がるため、純粋な不動産投資とは異なることに注意が必要です。
また、米国や日本だけでなく、ヨーロッパや新興国の株式にも目を向けることで、投資機会を広げることができるでしょう。
今後は、単に「持っていれば良い」という状態ではなく、より細かなメンテナンスが必要になります。これまでと異なる相場環境の中で、個人投資家もより高度な判断力を身につけ、市場の変化に対応していくことが求められる時代に入ったと言えるでしょう。