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維新は医療費を4兆円削減できるか? 中医協という医療版インナー
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2025年2月24日

日本維新の会が掲げる「医療費4兆円削減」。具体的にどう4兆円を削減しようとしているのか?その中核となる改革は何か?医師、厚生官僚、WHO、マッキンゼーを経て、衆議院議員を務める阿部圭史氏に話を聞いた。 <ゲスト> 阿部圭史|日本維新の会 衆議院議員 北海道大学医学部卒業。国立国際医療研究センター病...
「低価値医療」削減からマイナンバー活用まで、日本維新の会が提唱する医療制度改革
医療費の急増と人口減少に直面する日本社会において、医療制度改革は避けて通れない課題となっている。特に「低価値医療」の削減や医療分野のデジタル化など、これまでタブー視されてきた改革案が真剣に議論されるようになってきた。そこで今回は、日本維新の会の衆議院議員で厚生労働部会長を務める阿部圭史氏に、医療制度改革の最前線について話を聞いた。


医療制度改革の中核は「現役世代の負担軽減」
Q: 日本維新の会が掲げる医療制度改革の一番のポイントは何ですか?
医療は国民生活に最も密着した分野だ。その質をきちんと守りながら、社会保険料を払い続けている現役世代の負担をどう軽減していくかが中核テーマになっている。
社会保障費は税金と違って、給与から自動的に天引きされるため、負担感が見えにくい。しかし実際には非常に重い負担になっており、現役世代を苦しめている。そのため、医療の質を確保しつつ社会保険料を下げることが重要だ。
Q: 「4兆円削減」という話も出ているようですが、具体的にどこから削減するのですか?
まず「低価値医療」と呼ばれる分野の削減がある。例えば湿布やOTC類似薬(市販薬と同等の医療用医薬品)などの見直しを進めている。
また、医療費の窓口負担の所得区分の見直しも重要だ。現在は給与所得だけで判断しているが、金融所得なども含めた実態の所得をきちんと把握し、本当に払える人に適切に負担してもらう仕組みが必要だ。
さらに、医療分野のデジタル化を徹底することも大きな柱だ。日本の医療はデジタル化が遅れており、ここに大きな改善余地がある。

医療分野のデジタル化が生み出す大きな可能性
Q: 医療分野のデジタル化について、どのような課題がありますか?
現在の医療システムでは、病院ごとにデータが分断されており、患者が複数の医療機関を受診すると同じ検査を何度も受けることになる。例えば整形外科でMRIを撮り、大病院に行くとまた同じMRIを撮るという無駄が生じている。
また、患者が違う病院に行くと処方履歴がわからないため、同じ薬を何度ももらえてしまう状況も起きている。これは医療費の無駄だけでなく、薬の相互作用による健康リスクにもつながる。こうしたことはデジタル化で解決できる問題だ。
Q: 「1国民1カルテ」という構想もあるようですが、これはどのようなものですか?
マイナンバーに紐づけたパーソナルヘルスレコードを作り、どの医療機関でも患者の医療情報を共有できるようにする構想だ。これにより重複検査や重複処方を防ぎ、医療資源の効率的な活用が可能になる。
特に重要なのは、薬の相互作用のチェックだ。現在は病院内でしか薬の組み合わせによる副作用のアラートが出ないが、データを共有することで安全性を高められる。このシステムの実現にはマイナンバーカードの普及が不可欠であり、その推進が必要だ。
医療資源の再配分と「タスクシフト」の課題
Q: 医師の負担軽減のための「タスクシフト」も課題のようですが、どのような状況ですか?
地方では医師不足が深刻化しており、人口減少よりも速いペースで医療従事者が減っている。そのため、医師がやっていた業務を他の医療職に移行していく「タスクシフト」が避けられない。
日本は医師に業務が集中しすぎている。例えば看護師や薬剤師も基本的に医師の指導のもとでしか動けない。アメリカなどでは特定の資格を持つナースが独自に判断できる領域があるが、日本ではそうした制度が進んでいない。
このタスクシフトをめぐっては「医療の質が低下するのではないか」という懸念もあり、議論が進みにくい面もある。しかし、医療資源の効率的な活用のために避けて通れない課題だ。
医療費配分の決定機関「中医協」の改革が必要
Q: 医療制度改革を進めるうえで「中医協」(中央社会保険医療協議会)の存在が重要と聞きました。これはどのような組織ですか?
中医協は日本の医療費の配分を決定する重要な組織だ。税金の使い道については財務省や自民党税制調査会などが議論するが、社会保険料の使い道を決めるのが中医協だ。実は社会保険料は国民が払っている税金よりも大きな負担になっているケースも多い。
中医協は三者構造になっており、医療費を受け取る側(医療側)が7名、支払う側(保険者側)が7名、そして公益委員として学者が6名参加している。この20名が医療費の配分を決めるわけだが、例えば外科手術と眼科手術のどちらに高い点数をつけるかなど、非常に重要な決定を行っている。
この中医協の決定が日本の医療費全体のあり方を左右するため、ここでの議論は非常に重要だが、一般にはあまり知られていない。

Q: 中医協の改革についてはどのようにお考えですか?
医療分野の改革を進めるためには、個別の政策だけでなく、医療界全体のガバナンス改革が必要だ。中医協は医療費の配分という非常に重要な役割を担っているが、その決定過程はあまり知られていない。
より透明性の高い議論と決定プロセスが必要であり、医療制度全体の改革において中医協の改革は避けて通れない課題だと考えている。
業界団体から独立した政策立案の重要性
Q: 日本維新の会は医療改革を進めやすい立場にあるのでしょうか?
維新の会は業界団体とのしがらみがなく、忖度なく政策を立案・主張できる点が強みだ。他の政党では医師会などの業界団体との関係から言いにくいことでも、維新は正面から言うことができる。
実際、他の政党の議員からも「必要性はわかっているが、選挙のことを考えると言えない」と言われることがある。しかし必要な改革は進めなければならない。維新は正面から必要な政策を訴えていく政党だ。
現在の国会はどの政党も単独で過半数を持っていないため、政策ごとに賛同する政党と組んで改革を進めるプロジェクトベースの政治が求められている。医療改革もそうしたアプローチで進めていく必要がある。

安心と安全のバランスを考えた改革が必要
Q: 高額療養費制度の見直しなど、患者に直接影響する改革については反発も大きいですが、どう対応していますか?
高額療養費制度は日本の皆保険制度の中核であり、この部分の変更は慎重に進める必要がある。患者団体と対話を重ね、彼らの声に耳を傾けることが重要だ。
改革を進める際には「安全」と「安心」を区別することが重要だ。医学的なエビデンスに基づいて、本当に必要な医療(安全)を確保しつつ、人々の不安に寄り添った説明(安心)を行う必要がある。
冷徹に制度を議論するだけでは人々の理解は得られない。様々な感情に寄り添いながら、なぜこの改革が必要なのか、どのような効果があるのかを丁寧に説明していく姿勢が大切だ。
Q: 医療制度改革はいつまでに結論を出す必要がありますか?
今の国会が医療改革を大きく進めるチャンスだと考えている。この6月までの国会で何らかの成果を出したい。特に予算についての議論が3月に山場を迎えるため、そこでの議論が重要になる。
医療制度改革は20年以上議論されてきたテーマだが、ようやく国民の意識がこの問題に向くようになってきた。改革に向けたモメンタムが生まれている今こそ、大きな改革を進めるチャンスだと考えている。