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トランプはウクライナ支援を止めるのか?
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2025年2月23日

USAID解体により、物議を醸しているトランプ政権。イーロン・マスク率いるDOGE省は次に何を狙うのか?200兆円の削減は可能なのか?社会にどんな負の影響をもたらすのか?経済アナリストのジョセフ・クラフト氏に聞いた。 <ゲスト> ジョセフ・クラフト|経済アナリスト 1986年カリフォルニア大学バー...
ロシア・ウクライナ情勢と停戦交渉の行方〜トランプの戦略とゼレンスキーの誤算
トランプ政権下におけるロシア・ウクライナ情勢は新たな展開を見せている。米国による約53兆円のウクライナ支援をめぐる疑惑や、トランプ大統領とプーチン大統領の接近など、停戦交渉の行方に注目が集まる。経済アナリストのジョセフ・クラフト氏が、複雑化する国際情勢と、トランプ政権の真の狙いについて解説する。

トランプはロシア寄りなのか?
Q: ウクライナ支援をめぐる問題が浮上しています。これまで53兆円もの支援が行われ、ゼレンスキー大統領自身がその半分ほどの行方が不明と発言したとも言われています。その中でトランプ政権とロシアの距離が縮まっているようですが、今後のウクライナ支援はどうなっていくのでしょうか?
多額の支援金が行方不明になっているという事態は信じがたいものがある。ウクライナは以前から汚職が多い国として知られており、横流しで資金が流出している可能性は否定できない。こうした状況が、停戦合意を進めようとしている微妙なタイミングで表面化したことで、トランプ政権から「無駄な資金を払いすぎた」という批判が強まっている。
メディアではトランプがロシア寄りと報じられることが多いが、実際はそう単純ではない。トランプはロシア寄りでもウクライナ寄りでもなく、とにかく停戦合意を実現して自分の手柄にしたい、できればノーベル平和賞を獲得したいという動機が強い。そのためにはどちら側に寄るということではなく、停戦実現のための戦略を採っている。
バイデン政権下では3年間プーチンと一度も直接対話が行われなかった。停戦交渉を進めるには、まずプーチンを交渉のテーブルにつかせる必要がある。そのためにはある程度プーチンの要求、例えばウクライナのNATO加盟を阻止するといった点で譲歩して、交渉の糸口をつかむ必要がある。

トランプの対ロシア戦略
Q: トランプはロシアに寄り添うような発言をしていますが、実際の戦略はどうなっているのでしょうか?
表向きはロシアに歩み寄るような姿勢を示しながら、裏では経済的にロシアを締め付けるような動きも同時に進めている。例えば、先週インドのモディ首相がアメリカを訪問した際、関税を材料に交渉し、インドが今後はロシアではなくアメリカから原油やLNGを輸入する合意を取り付けた。これはロシアの主要な収入源を減らすことになり、間接的にロシアに打撃を与える戦略だ。
トランプが本当にロシア寄りなら、このような裏での締め付けは行わないはずだ。現在の問題は、こうした戦略をゼレンスキーにきちんと説明していないことにある。「こういう戦略があるから心配するな、正式な交渉の場には必ず入れるから」と一言伝えておけば、ゼレンスキーも不安にならずに済んだはずだ。この意思疎通の欠如が現在の混乱を招いている。

ゼレンスキーの誤算
Q: トランプとゼレンスキーの関係は現在どうなっているのでしょうか?
ゼレンスキーとトランプの関係は現在悪化している。ゼレンスキーが不安のあまりトランプを公に批判し始めたことで、トランプの怒りを買ってしまった。トランプは批判されることに非常に敏感であり、批判した相手を敵視する傾向がある。
最大の問題は、ゼレンスキーがトランプを公然と批判したことで、トランプがウクライナを軽視するようになり、それがプーチンの思う壺になっていることだ。表向きの批判ではなく、水面下で粘り強く交渉することがトランプとうまく付き合うコツである。ゼレンスキーはこの点で失敗をしてしまった。
今後ゼレンスキーがうまく関係修復できなければ、アメリカがさらにウクライナから距離を置き、ロシア有利な状況に傾く可能性がある。そうなるとゼレンスキーの辞任にも繋がりかねない深刻な事態だ。
Q: トランプはウクライナの資源をよこせという「ディール」を始めているという情報もありますが、これはどう評価すべきでしょうか?
ウクライナの資源開発をめぐるトランプの提案は、一概に悪いものとは言えない面もある。ウクライナには豊富な資源があっても、それを掘削するための資金がない。アメリカがその資金を提供して開発を行うのであれば、現在眠っている資源を活用できるようになる可能性がある。
問題なのはトランプの言い方の露骨さだ。これまでの支援の見返りとして資源を要求するかのような言い回しが、印象を悪くしている。しかしうまく交渉すれば、ウクライナにとってもアメリカにとっても利益になる可能性を秘めている。ただしこの件でもゼレンスキーはトランプを批判すべきではなく、水面下で交渉を進めるべきだった。
停戦合意の見通し
Q: ロシア・ウクライナ情勢の最善のシナリオは何でしょうか?停戦合意は可能なのでしょうか?
停戦合意は簡単ではない。最大の課題は領土問題だ。2014年のクリミア併合前の領土には戻れないだろうし、かといって現在の戦線をそのまま国境線にすることもできない。ロシアは現在の占領地域を手放したくないし、ウクライナはそれを認めたくない。落とし所は両者の中間にあるはずだが、どこが双方にとって受け入れ可能な線引きになるのか、現時点では誰も分からない。
交渉を進めるには、まず両者がテーブルにつき、様々な条件をめぐって駆け引きを行うプロセスが必要になる。この交渉は容易ではなく、成功確率は高くないが、ゼロではない。
重要なのは、ロシア経済も疲弊しており、北朝鮮兵に頼らざるを得ないほどロシア軍も消耗している点だ。一方、ウクライナもアメリカの支援がいつまで続くか不透明な状況にある。双方にとって長期戦は厳しく、停戦合意の必要性は高まっている。
停戦交渉の枠組み
Q: 停戦交渉にはどのような国々が関わるべきなのでしょうか?
アメリカから見て最もクリーンな交渉の枠組みは、アメリカが仲介し、ロシアとウクライナという3者で進めることだ。ヨーロッパをこの枠組みに入れると、合意形成が極めて困難になる。
NATO加盟国は26カ国もあり、それぞれ異なる立場がある。ラトビアやポーランドなどロシアとの国境に近い国々は強硬にロシアに対抗する姿勢を崩さないが、ドイツやフランスはより早期の停戦を望み、ロシアに対して譲歩する用意もある。こうした意見の相違があるヨーロッパを交渉に加えると、調整が難航する。
成功の可能性を高めるには、アメリカが仲介役となって、ロシアとウクライナの3者で交渉を進めるのが最も現実的なアプローチだと考えられる。
トランプ政権の真の優先事項
Q: トランプ政権の中で、ウクライナ・ロシア情勢はどの程度の優先度を持っているのでしょうか?
この問題はトランプの中で優先度が高まっている。中東での停戦後にウクライナでも停戦合意が実現すれば、中間選挙を見据えて「バイデンができなかったことを私は実現した」とアピールできる。さらにノーベル平和賞獲得につながる可能性もあり、トランプにとって大きな動機となっている。
しかし、トランプは感情で動く人物でもある。ゼレンスキーによる批判で怒りを買ってしまった現状では、ウクライナへの敵対心からロシア寄りの姿勢を強める可能性もある。これはプーチンの思う壺だ。
現在、キース・ケロッグ・ウクライナ・ロシア特使がウクライナを訪問し、「ロシアの要求通りにはならない」というメッセージを伝えている。しかし、ゼレンスキーがトランプの怒りを買い続ければ、これまでの努力が水泡に帰す恐れがある。
Q: トランプ政権下では、どのような分野の予算削減が焦点になりそうですか?
ウクライナ支援以外にも、教育・医療分野の予算削減が予想される。特に民主党系の政策プログラムは次々と削減されるだろう。また、イーロン・マスクが手をつけたい分野として、軍事予算も焦点になっている。
ただし、軍事予算削減は諸刃の剣だ。トランプは「強いアメリカ」を掲げており、軍事力を重視している。軍事予算を大幅に削減すれば、自らの公約と矛盾してしまう。そのため、ウクライナ支援のような切りやすい部分から削減を始め、徐々に核心部分に迫っていく戦略を取るだろう。
日本の対応戦略
Q: 日本は同盟国としてどのような対応をすべきでしょうか?
日本政府の対応は、ゼレンスキーが見習うべき模範例だ。日本は表立ってトランプを批判することを慎重に避けている。国会では石破首相がトランプのガザ関連発言に反応しない姿勢を野党から批判されることもあるが、これは国益を考えた戦略的な判断だ。
トランプを怒らせて敵視されれば日本の国益にならない。水面下で丁寧に交渉を続けることが、トランプとうまく付き合っていく唯一の方法だ。この点で、先日の日米首脳会談は成功だったと評価できる。関税や為替の話
題も出ず、安全保障におけるアメリカのコミットメントを確認できたという点で、初回の会談としては満点だった。
今後も日本は表立った批判を避け、水面下で粘り強く交渉を続けることで、トランプ政権との良好な関係を維持していくべきだろう。