教育新常識
ゼロから学ぶ子どもの食事と栄養
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2025年2月13日

子育て・教育の新常識を一流講師から学ぶ。管理栄養士・川口由美子さんに、子どもの食事の超基礎を学ぶ。SNSの栄養情報に惑わされなくなります。 <ゲスト> 川口由美子/管理栄養士 一般社団法人母子栄養協会 代表理事 保育士や保育園栄養士に向けての講演会を行う他、『365日のフリージング離乳食』や幼児食...
子どもの食事に必要なのは「これだけ」ではない!栄養士が明かす3つの誤解と市販品の真実
子どもの健康のために、最高の食事を提供したいと思う親は多い。しかしSNSなどで「頭が良くなる食べ物ランキング」「身長を伸ばす食事法」といった情報が溢れる中、何を信じればいいのか迷うことも。実は子どもの栄養に関する「常識」には誤解も多い。管理栄養士の川口由美子さんに、子どもの食事に関する迷信と真実について聞いた。

Q. 「頭が良くなる食べ物」や「身長を伸ばす食べ物」は本当にあるの?
世の中には「魚を食べると頭が良くなる」「牛乳を飲むと身長が伸びる」といった情報が溢れています。確かに魚にはDHAなど脳の発達に良いとされる栄養素が含まれますし、牛乳にはカルシウムやタンパク質が豊富です。
しかし「これだけ食べれば大丈夫」という単一の食品はありません。食べ物は「餌」ではなく、複雑に様々な栄養素が絡み合っているものです。例えば牛乳だけを大量に飲んで他の食事が摂れなくなれば、かえって栄養バランスを崩してしまいます。
また、特定の栄養素ではなく「食材」として考えることが大切です。牛乳には主成分のカルシウムやタンパク質以外にも、様々な微量栄養素が含まれています。同様に野菜や肉、魚などすべての食材には複数の栄養素が含まれているので、特定の食品だけを過剰に取る必要はありません。
「頭が良くなる食べ物ランキング」で順位をつけるなら、すべての食品が「1位」です。バランス良く様々な食材を食べることが最も重要なのです。

Q. 子どもは大人の半分くらいの食事量でいいの?
多くの親が「子どもは体が小さいから、大人の1/3〜1/4程度の食事量でいい」と考えがちですが、実はそうではありません。
3〜5歳の子どもは、エネルギー(カロリー)は大人の約半分必要です。子どもは成長するための余力を蓄え、細胞を活発に作り出しているため、体格の割に多くのエネルギーを必要とします。
体重1kgあたりの必要エネルギー量を見ると、30〜49歳の大人は約38〜39kcalなのに対し、3〜5歳の子どもは約80kcalと倍近くになります。子どもが大人よりたくさん食べることもあるのは、このためです。
また栄養素についても、例えばカルシウムの必要量は3〜5歳児で600mg、大人で650mgとほとんど変わりません。これは子どもが骨を作るために大人と同等のカルシウムを必要とするからです。
したがって「子どもだから少なくていい」という考えは誤りで、むしろ成長期の子どもには十分なエネルギーと栄養素が必要なのです。

Q. 子どもには薄味の食事が良いって本当?
子ども用に特別に薄味の食事を作る必要はありません。子どもと大人の食事バランスや塩分に大きな差はないのです。
「子どもには薄味にしましょう」という言葉をよく耳にしますが、本来は「大人も同じく薄味の食事が理想的」ということです。家族全員が適切な味付けの食事を共有することが望ましいでしょう。
ただし、子どもが食事をしっかり摂るためには味付けも大切です。あまりに薄味で食べないよりは、適度な味付けで食べてもらう方が栄養摂取の観点からは良いでしょう。テーブルで少し味を足したり、工夫して楽しく食べられるようにすることもおすすめです。

Q. 子どもの好き嫌いや反抗期は栄養不足のサイン?
「癇癪や反抗期は栄養不足のサイン」という説を聞いたことがある人もいるでしょう。しかし、これには科学的根拠はありません。
子どもの感情や行動は様々な要因が複雑に絡み合っており、栄養不足だけが原因とは言えません。むしろ子どもが自分の気持ちをうまく言葉で表現できず、不快感を表す手段として癇癪を起こすことの方が多いでしょう。
もし食事で子どもの機嫌を良くしたいなら、栄養素を気にするよりも、子どもの好きな食べ物を用意する方が効果的かもしれません。私たち大人も、気分が落ち込んでいる時に好きなものを食べると元気が出ますよね。
Q. バランスの良い食事って具体的にはどんなもの?
バランスの良い食事の目安として「食事バランスガイド」が参考になります。これは厚生労働省と農林水産省が共同で作成したもので、コマの形で表されています。
上から順に、主食(ご飯・パン・麺類)、副菜(野菜・きのこ・海藻など)、主菜(肉・魚・卵・大豆製品)、牛乳・乳製品、果物となっています。コマの大きさは量を表しており、主食と副菜が多く、主菜、牛乳・乳製品、果物と続きます。また紐のように伸びているのはお菓子で、少量なら楽しみとして良いとされています。
具体的には、学校給食がこの食事バランスガイドに近い理想的な形です。朝食でパン、お味噌汁(野菜入り)、卵焼き、果物といった組み合わせも、十分バランスの良い食事と言えます。
カレーライスのように一見シンプルな料理でも、ご飯(主食)とお肉や野菜(主菜・副菜)が含まれており、牛乳と果物を添えれば立派なバランス食になります。
Q. 牛乳が苦手な子は、カルシウムをどう摂ればいい?
牛乳が苦手な子どもでも、カルシウムを摂取する方法はあります。
チーズやヨーグルトなどの乳製品のほか、小魚(小アジやイワシなど)、豆腐や納豆などの大豆製品にもカルシウムが含まれています。特に日本の伝統食である豆腐や納豆は「パワーフード」と呼ばれ、タンパク質だけでなくカルシウムや鉄分も豊富です。
また、きな粉(栄養士の間では「鉄分パウダー」と呼ばれることも)はカルシウムや鉄分が含まれており、温かいミルクに溶かしたり、ヨーグルトに混ぜたりして取り入れるのもおすすめです。
Q. 鉄分は肉や魚から摂るべき?
鉄分といえば、レバーや赤身魚をイメージする人が多いでしょう。しかし、意外にも野菜や果物にも鉄分は含まれています。
例えば、同じカロリー量で比較すると、マグロの刺身12切れよりもイチゴ6個の方が鉄分量は約2倍も多いのです。これは一般的な「鉄分が多い食品リスト」が100gあたりで計算されていることが多く、実際に食べやすい量で考えると違った結果になるからです。
このように、一般的にクローズアップされない食品にも栄養素は含まれています。バランス良く様々な食材を食べることで、自然と鉄分も摂取できるのです。
Q. 添加物や市販品、冷凍食材は避けるべき?
添加物は必要以上に気にする必要はありません。例えば豆腐も添加物なしでは作れないものです。添加物よりも塩分量の方が注意すべき点です。
また、カット野菜や冷凍野菜の栄養価が低いという心配もあるかもしれませんが、生の野菜も結局は家庭で切って洗って調理するので、食べる時点での栄養価に大きな差はありません。
市販品や冷凍食材を上手に活用することで、忙しい中でも栄養バランスの良い食事を提供することができます。完璧を求めるよりも、継続して様々な食材を子どもに提供することの方が大切なのです。
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子どもの食事で最も重要なのは、特定の「魔法の食べ物」ではなく、バランスの良い食事を楽しく継続することです。成長に必要なエネルギーと栄養素をしっかり摂取できれば、細かいことに神経質になる必要はありません。