PIVOT TALK BUSINESS
現代のシューズは体を蝕んでいる。体にいいシューズ選び
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2025年2月13日

歩くことは本当に体にいいのか?座りすぎはなぜ「新しい喫煙」と呼ばれるのか?本当に体にいいシューズとは何か?「歩く」をテーマに徹底リサーチした、NewsPicksの池田光史氏に話を聞いた。 <ゲスト> 池田光史|経済ジャーナリスト 1983年鹿児島生まれ。東京大学経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。...
「細すぎるつま先が体を蝕む」健康にいい靴選びとは?
日本人の多くが悩む腰痛や膝の痛みは、実は普段履いている靴が原因かもしれない。「足は全身の骨の25%を占める精密機器」と語るNewsPicksの池田光史氏に、健康的な歩行と靴選びについて話を聞いた。


現代の靴はなぜ健康に悪いのか?
Q: 健康だけを考えるとどんなシューズを履けばいいのでしょうか?
現代のシューズが体を蝕んでいる最大の問題点は「つま先が細すぎる」ことです。人間の足の形は前部が広がっていますが、現代の靴はファッション性を優先してつま先を細く尖らせています。これが足を締め付け、本来あるべき足の機能を奪ってしまうのです。
Q: つま先が細い靴はなぜ広まったのですか?
起源は中世ヨーロッパにあります。「プレーヌ」と呼ばれる極端に尖った靴が始まりです。これは富裕層が「労働する必要がない身分」であることを示すためのステータスシンボルでした。実用性よりも見た目を重視したこの傾向が、現代のファッションにも引き継がれています。

Q: スポーツ選手も細い靴を履いていますが、それも見た目だけの理由ですか?
その通りです。アスリートが記録を伸ばすために重視しているのは、つま先の形状ではなくソールの厚さや反発性などの機能面です。細いつま先には機能的なメリットが一切ありません。それでも細いデザインが採用されるのは、純粋に見た目の良さを求めるファッション性の影響です。
健康のために選ぶべき「ベアフットシューズ」とは?
Q: 健康を考えるとクッション性が高い靴と低い靴、どちらがいいのですか?
理想的には薄いソールの方が体にいいですが、現代人の多くは既に従来の靴で足が弱体化しています。いきなり薄すぎる靴を履くと足が痛くなって逆効果になることも。足の状態に合わせて段階的に移行していくのが望ましいです。
Q: ベアフットシューズとはどのようなものですか?
「ベアフットシューズ」あるいは「ミニマリストシューズ」と呼ばれるのは、裸足に近い感覚で歩けるよう設計された靴です。つま先が広く、ソールが薄く、かかととつま先の高低差がない(ゼロドロップ)という特徴があります。代表的なブランドとして「アルトラ」「ビブラムファイブフィンガーズ」「ビボベアフット」などがあります。
Q: それぞれのブランドの特徴を教えてください。
「アルトラ」は2009年頃にアメリカのユタ州で元ランナーによって創業されました。ランニングシューズが原因で怪我に悩む人が多いことに気づき、かかととつま先の高低差をなくした「ゼロドロップ」の靴を開発。1000人への試着テストで怪我が減ったことが分かり、ブランドを立ち上げました。現在はアメリカのランニング専門店ランキングでNikeを超える人気を誇っています。
「ビブラムファイブフィンガーズ」は足の指が5本に分かれたユニークな形状が特徴で、2010年頃に世界的なブームになりました。しかし「健康効果」を強調しすぎたマーケティングが問題となり訴訟に発展した経緯があります。それでも裸足感覚を味わえる点で愛好者が多く、指が分かれていることで足の自然な動きを促します。
「ビボベアフット」はイギリスのブランドで、ベアフットシューズの中でも特にデザイン性に優れています。ソールは薄く、足の形に忠実ながらもファッション性が高いため、見た目を気にする人にも受け入れられやすいでしょう。
ベアフットシューズの効果と選び方
Q: ベアフットシューズを履くとどんな効果がありますか?
まず、足の指が自由に動くようになり、地面を感じられる心地よさがあります。子どもに履かせると「足が痛い」という訴えが減るという効果も。また、足の筋肉が鍛えられます。裸足やベアフットシューズで歩くと、平均して10倍ほど足の筋力がアップすると言われています。
Q: 姿勢の改善や腰痛にも効果はありますか?
姿勢が良くなったという報告は多く、それに伴って腰痛が改善する可能性もあります。現代の厚底シューズはクッション性によって足裏の痛みを感じにくくする一方で、膝や腰に本来より大きな衝撃を与えています。ベアフットシューズはこれを軽減し、体全体のバランスを整える効果が期待できます。
Q: 歩きやすさと健康は関係ありますか?
「歩くのが楽」ということと「健康にいい」ということは、実は真逆の関係にあります。歩くのが楽だということは体を使っていないということ。ベアフットシューズを履いて歩くと最初は疲れを感じますが、それは普段使っていなかった本来の筋肉を使い始めた証です。
Q: 靴下も5本指の方がいいのですか?
5本指ソックスの方が足の指が自由に開くため、体のバランスが取りやすくなります。これは手袋でいうとミトンより指が分かれた通常の手袋の方が機能的なのと同じ理由です。大谷翔平選手も常に5本指ソックスを愛用していることで知られています。

これからのトレンドと実践アドバイス
Q: ベアフットシューズのこれからの展望は?
世界中で新しいベアフットシューズブランドが続々と登場しています。日本でも「ストライド」がベアフットの革靴を開発したり、ドイツの「グラウンディース」はアディダスのスタンスミスに似たデザインで親しみやすいモデルを展開しています。アメリカの「スプレイ」はバンズのようなデザインを採用。ハイブランドのバレンシアガも2023年末にベアフットシューズを投入するという情報もあり、今後ファッション面での抵抗感も減っていくでしょう。
Q: 初めてベアフットシューズを試す人へのアドバイスは?
現在の靴から移行しやすいのは「アルトラ」です。ある程度のクッション性があり、足への負担が少ないため初心者にも履きやすいでしょう。より裸足感覚を求める人は「ビボベアフット」や「ビブラムファイブフィンガーズ」がおすすめです。ファッション性を重視するなら「ビボベアフット」、裸足感覚を最も重視するなら「ビブラムファイブフィンガーズ」が良いでしょう。価格帯は一般的なスポーツシューズと同じく2万円前後です。
Q: いきなり裸足やベアフットシューズで長距離を歩くのは危険ですか?
その通りです。特にロードランニングはいきなり始めないほうが無難です。まずは短い距離から始めて、徐々に距離を伸ばしていくことをおすすめします。足の筋肉が弱っている現代人は、少しずつ歩いて慣れていくのが重要です。
私たちの足は全身の骨の25%を占める精密機械です。しかし現代の靴は、その機能を制限するギプスのような役割を果たしています。健康のために、そして本来の歩く喜びを取り戻すために、足に優しい靴を選ぶことを考えてみませんか。