
世界の環境・競争力の変化【井村俊哉×河北博光】
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2025年2月4日
株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを一流のプロの講義を受けて学ぶMONEY SKILL SETの応用編。日本企業の課題とポテンシャルを井村俊哉と河北博光が真剣対談 <ゲスト> 井村俊哉(個人投資家) https://x.com/imuvill 河北博光(根津アジア・キャピタル・リミ...
中国EV台頭で日本自動車産業の競争力低下?専門家2人が解説する日本企業の課題と可能性
中国の自動車メーカーが急速にシェアを拡大し、世界最大の自動車市場である中国国内で日本や欧米メーカーが苦戦している。なぜこのような状況になっているのか、日本企業の課題と展望について専門家に聞いた。

Q. 中国国内の自動車市場で何が起きているのですか?
中国国内では自国メーカーの販売比率が急激に上昇しており、特に2024年に入ってからその傾向が強まっています。現在は中国国内で販売される車の3台に2台が中国メーカー製となっています。一方で、ドイツ、日本、アメリカなどのメーカーは急速にシェアを落としています。
しかも現地では凄まじい価格競争が起きており、ドイツや日本のメーカーはシェアを守るために大幅な値引きをせざるを得ない状況です。ディーラーは「売れば売るほど赤字が出る」と悲鳴を上げていますが、それでもシェアを守れない状況です。そのため、台数ベースでのシェア以上に、売上高で見るシェアはさらに悲惨な状況になっています。

Q. なぜ中国メーカーがこれほど急速にシェアを拡大できているのですか?
大きな要因はEV(電気自動車)シフトです。中国国内では新エネルギー車の生産台数が急激に上昇しており、自動車全体に占める割合は約半分にまで達しています。中国メーカーが新型EVを次々と市場に投入しているのに対し、日本をはじめとする欧米メーカーはこの需要変化に対応できず、シェアを急激に落としています。
一般的に「中国は赤字上等で価格を下げているからシェアが伸びている」と思われがちですが、実際はそうではありません。例えばBYDはテスラよりも販売台数が多く、収益性を示す粗利率でもテスラより高い水準です。さらに研究開発費率もテスラより高いにもかかわらず、営業利益率もテスラを上回っています。これは単に消費者にとって魅力的なEV製品を提供しているという状況なのです。

Q. 中国メーカーの車の価格競争力はどうなっていますか?
中国国内で販売されているプラグインハイブリッド車(PHV)は驚くほど安価です。例えば160万円から180万円程度で販売されています。以前は日本やドイツのメーカーが大衆車セグメントで250万円程度の価格で車を販売していましたが、BYDなどが180万円程度で提供すれば、消費者の選択は明らかです。
さらにEVはランニングコストが従来車の半額程度と安く、脱炭素という世界的課題への対応にもなることから、消費者にとって選択肢として非常に魅力的になっています。
Q. トヨタなど日本メーカーはなぜ対応が難しいのですか?
トヨタのような従来型メーカーは内燃機関車(ICE)とEVの両方を開発・生産する必要があるため、研究開発費や設備投資が二重にかかります。これに対しBYDのようなEV専業メーカーは、研究開発施設も工場もEV専用に設計されているため効率的です。
また、既存のICE車でシェアを確立している企業は、自社のシェアを脅かす可能性のあるEVへの戦略的転換が難しいという「イノベーションのジレンマ」に陥っています。
Q. 中国のこうした台頭は自動車業界だけの現象ですか?
いいえ、これは中国の典型的な「勝ちパターン」と言えます。まず外資を呼び込んで産業を育成し、その後国産メーカーが参入、そして新しい技術開発もできるようになって国産メーカーが主導権を握るという流れです。
以前は家電、スマートフォン、PC、テレビなどの分野で同様の現象が起きました。シャープなど日本メーカーが強かった時代から、中国メーカーが同じクオリティの製品を安価に提供するようになり、市場を席巻していきました。
Q. ハイブリッド車は日本の強みではないのですか?
ハイブリッド車にもリスクがあります。特にプラグインハイブリッド車(PHTV)の場合、CO2排出量の測定環境によって性能評価が大きく変わります。例えば欧州では23℃の環境で測定していますが、寒い冬の環境では全く異なる結果になり、CO2排出量が大幅に増えます。電気自動車の場合、電力源によって違いはあるものの走行時のCO2排出はゼロですが、ハイブリッド車は測定方法によって評価が変わる不安定さがあります。
また、欧州ではCO2排出規制が厳しく、基準を満たせない場合の罰金も高額です。トヨタなどの大手メーカーでも、規制が10gでも変わると、欧州で120万台販売している場合、1台あたり15万円の罰金で計算すると1000億円から2000億円の負担になる可能性があります。

Q. 半導体産業でも同様の状況ですか?
半導体産業でも中国の台頭が懸念されています。当初は中国が半導体の国産化を進めると言った時、「国際的に相互依存している半導体産業で一国だけで完結することは不可能」との見方が主流でした。
しかし現在、中国は「性能が多少劣っても国産化を進める」という方針で着実に進展しています。最先端の製造は難しくても、設計力を活かして製造面のデメリットを補う形で成長しています。中国のHiSiliconのような企業は世界トップレベルの設計力を持っていました。
さらに中国が「中国製造2025」を掲げ自国生産を強化しようとしたことに対し、アメリカなどが貿易戦争で対抗し、輸出禁止などの措置を取ったことで、中国は自力開発を加速せざるを得なくなりました。
Q. 円安は日本企業に有利ではないのですか?
通常、円安になると日本経済は輸出で稼ぎやすくなるはずですが、現在は自動車や電機という日本の主力産業が円安のメリットを十分に受けられていません。
以前の円高時代に企業は為替リスクを避けるため、現地通貨での取引を増やすなどの対策を進めてきました。その結果、円安になっても思ったほどの恩恵が得られない構造になっています。
Q. 日本企業や日本株にはまだ成長の可能性がありますか?
海外投資家からは「日本は衰退する」と見られがちですが、日本は過去にも困難から立ち直った経験があります。現在は期待値が低いからこそ、改善の余地が大きいとも言えます。
日本は労働生産性がベルギーなどの半分程度と言われています。これを改善するには「倍働く」ことではなく、「働き方を変える」ことが重要です。欧州の国々は日本より短い労働時間で高い生産性を上げています。
また、人口減少も必ずしも経済衰退に直結するわけではありません。現在の日本には生産性の低い分野が多く、そこから生産性の高い分野へのシフトを進めれば、人口が減っても経済成長は可能です。実際、従業員数が減少している企業の方が、増加している企業よりも労働生産性が上がっているケースが多いのです。
Q. 日本が競争力を回復するために必要なことは何ですか?
最も重要なのは「世界標準のルールに合わせること」です。明治時代に国際法を導入し、第二次世界大戦後にアメリカの制度を取り入れた時のように、日本は国際標準に合わせることで急成長してきました。
具体的には、投資や会計の方法を世界基準に合わせることが重要です。政策保有株などの問題も日本基準の会計で行っているから起きている面があります。すべてを世界基準に合わせれば、日本は一気に変われる可能性があります。
また、株価を上げる意識も重要です。企業側も株主である国民全体も、株価を上げていこうという気運を持つべきです。松下幸之助氏が「国家の安定のためには多くの国民が株を持つべき」「株式からの利益だけでなく、投資によって産業が交流して社会が反映する」と述べたように、社会発展と個人の経済基盤安定の両方につながります。
以上のような変化を進めれば、日本企業と日本経済には大きな成長ポテンシャルがあると言えるでしょう。
※こちらは生成AIによるまとめ記事です。
