超予測
新卒一括採用の終焉とキャリア採用の爆増
(59)
6,511回視聴
2025年2月4日

2025年、キャリア採用で成功するためにはどのようなことを気をつければ良いのか。今年のキャリア採用の展望を専門家に聞いた。 <ゲスト> 大澤陽樹|オープンワーク社長 東京大学大学院卒業後、リンクアンドモチベーション入社。中小ベンチャー企業向けの組織人事コンサルティング事業のマネジャーを経て、企画室...
大企業のキャリア採用が変わる!2025年、競争激化の中で勝ち抜く戦略とは
2025年、日本企業のキャリア採用がどう変化するのか。オープンワークCEOの大澤陽樹氏とシンシアードCEOの南雲亮氏が予測する、採用市場の最新トレンドと勝ち残るための戦略を紹介する。


Q. 2025年のキャリア採用市場はどうなっていくのか?
大企業のキャリア採用は爆発的に増加している。採用市場には二つの大きなアンバランスが生まれている。一つは年齢層のアンバランス。早期退職制度によって50代のベテラン人材が労働市場に流出する一方、企業はDX推進などができる20-30代を求めている。
もう一つは働き方のアンバランス。企業は生産性向上のために出社を求める傾向がある一方、求職者はリモートワークを含めた柔軟な働き方を求めている。転職サイトの検索データを見ると、「リモート」「在宅」「勤務地」などのキーワード検索が急増している。
このアンバランスをどう攻略するかが2025年の採用競争の鍵となる。多くの企業が世の中の流れに沿って20-30代のDX人材を求め、出社主義に走るが、そこで採用競争力は失われていく。重要なのは、他社の真似ではなく、自社の事業戦略を成長させるために、このアンバランスをどう攻略するかを考えることだ。

Q. 新卒一括採用の終焉とキャリア採用の主流化について
新卒一括採用主義はついに終焉を迎えつつある。メガバンクでは中途採用の比率が50%前後に達し、総合商社でも40%にまで上がっている。これは経済環境の変化やダイバーシティの流れを受けたものだ。
新卒一括採用で総合職として配属を決めていく従来のやり方では、事業成長やイノベーションが起きないという課題が明確になってきた。新卒採用自体は続くものの、それだけで人材を賄う企業はほぼなくなるだろう。
また、新卒採用でもジョブ型の流れが強まっており、優秀な学生は「企画」「マーケティング」「事業開発」など、配属先を確約してもらえないと内定を受けない傾向が強まっている。これにより、総合職で採用して後から配置するモデルが成立しにくくなり、キャリア採用の重要性がさらに高まっている。
Q. 大企業のキャリア採用で成功している企業と失敗している企業の違いは?
成功している企業は、採用戦略やターゲット設定、そして魅力付けを緻密に設計している。マーケティング戦略や事業戦略でアイシスやアイドマといった手法を使うように、採用においても戦略的アプローチが必要になっている。
これからの採用では「3C4P」の考え方が重要だ。マーケティングの3Cと似ているが、「カスタマー」ではなく「キャンディデート(候補者)」と捉え、候補者とマーケットを理解した上で、企業理念・文化・報酬・働き方などを設計していく必要がある。
また、キャリア採用への人的リソース配分にも大きな差がある。新卒採用には多くの人員を割り当てる一方、キャリア採用は「採用目標50人に対して担当者1人」という企業も少なくない。新卒採用が4泊5日の合宿型インターンシップなどに力を入れるのに比べ、キャリア採用のブランディングや報酬設計に同等の労力をかけている企業は稀だ。
成功企業は、キャリア採用にも新卒採用並みの投資を行い、経営層からの承認も得ている。人事は単なる「コストセンター」ではなく「投資分野」として捉えるべきだ。

Q. キャリア採用市場のどの人材が最も需要が高まっているのか?
転職市場の求人倍率は2019年と比較して2倍以上に膨れ上がっており、特に未経験者とシニア層の採用が伸びている。主に需要が高いのは以下の4分野だ:
1. DX関連人材
2. 新規事業・M&A関連人材
3. 第二新卒層
4. 女性管理職候補
これらの分野は競争が激化している。特に、コンサルファームなども女性マネージャー候補の採用を強化している。
同時に、レッドオーシャン化する若手・中堅層の採用から視点をずらし、50代のベテラン層や地方人材など、これまで注目されなかった層に目を向ける動きも出てきている。

Q. 生成AIは採用をどう変えるのか?
2025年においても、AIはキャリア採用においてあくまで「手段」に過ぎない。AIは過去のデータやオープンデータからの予測や分析が得意だが、採用では「見極め」と「魅力付け」を同時に行う必要がある。現状のAIは特に魅力付けの部分では限界がある。
AIを導入する企業は増えているが、それらは母集団形成がうまくいっている超人気企業が、人事部の生産性向上のために導入しているケースが多い。エントリーシートの自動判定や一次面接の自動スコアリングなどが中心だ。
一方、求職者側の行動は確実に変化している。求職者はChatGPTなどを使って職務経歴書作成のサポートを受け、さらにAIを通じて応募先企業の情報収集も行っている。AIは企業情報が十分に公開されていないと適切な情報を生成できないため、企業は自社の文化や特徴について積極的に情報発信する必要がある。
特に、事業面のプレスリリースは多くても、企業文化や中途採用で入社した人の年収水準などの情報は少ないケースが多い。こうした情報を開示しなければ、AIが誤った情報を伝える可能性もある。
Q. キャリア採用を成功させるために企業が取るべき具体的なアクションは?
まず、自社の競争優位性を明確にする必要がある。例えば、40代技術職の報酬水準が競合と比べてどの程度競争力があるのか、自社の文化がどのような競争優位につながっているのかを語れる企業は少ない。
また、採用サイトの刷新も重要だ。多くの企業は新卒採用向けのウェブサイトに多くの投資をしているが、キャリア採用ページは「おまけ」のような位置づけになっている。これではウェブマーケティングの観点から見ても離脱率が高くなる。
さらに認知向上のために、エージェントやダイレクトリクルーティングツールの活用、YouTubeなどのメディアも積極的に活用すべきだ。最近では「会社名 採用」でGoogleだけでなくYouTubeで検索する求職者も増えており、様々なチャネルでの情報発信が重要になっている。
ポイントは経営戦略と人事戦略の融合だ。これまでは経営企画が経営計画を決め、それに合わせて人事が人員計画を考える流れが一般的だったが、これからは両者を同時に考える必要がある。人事戦略が役員会で議論される企業が増えることが予測される。
採用ができないことで事業成長が止まり、IRでの業績修正理由として「採用がうまくいかなかった」と発表する企業も増えつつある。2025年にはそうした事例がさらに増えるだろう。