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中国不動産バブル、崩壊後の悲惨。中国人の生き方が変わった
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2025年1月29日

不動産バブル崩壊などにより、急減速している中国経済。ピークアウトにより中国の経済と社会はどう変貌したのか?今後の復活はありうるのか?中国経済の裏と表を、『ピークアウトする中国』の著者である、梶谷懐氏と高口康太氏に聞いた。 <ゲスト> 梶谷 懐|神戸大学大学院教授 1970年生まれ。神戸大学経済学部...
中国の不動産バブル崩壊と供給過剰問題の表裏 - 経済専門家が解説
中国経済は「供給市場の低迷による需要の落ち込み」と「EVなどの新産業の急成長と生産能力過剰」という一見矛盾する問題を同時に抱えている。これらは実は同じ問題の表裏だと、神戸大学大学院教授の梶谷懐氏とジャーナリストの高口康太氏は指摘する。長期的な不動産バブルが崩壊しつつある今、中国人の消費行動や価値観も大きく変わりつつある。


Q. 中国の不動産バブルはなぜこれほど重要なのか?
中国の不動産はGDPの重要な部分を占めるだけでなく、家計資産の約70%を占めている。日本の不動産バブルが主に金融機関や事業会社、富裕層に関わる問題だったのに対し、中国では一般庶民も含めた全国民的な問題となっている。
中国の一般家庭は株式投資よりも不動産投資を選んできた。中国の株式市場は過去15年ほど安定した資産形成ツールとして機能しておらず、安定したリターンが期待できる不動産が投資先として選ばれてきた。また、中国ではインフレ率が高く金利が低い状況が長く続いたため、現金で貯蓄するより資産を投資に回す文化が根付いている。

Q. 中国人の不動産購入パターンには特徴があるのか?
中国の中流階級の家庭でも2件目、3件目の住宅を所有するケースが多い。これは子供の将来の住居として事前に購入するためだ。中国では結婚時に住宅を持っていることが重要視され、若い夫婦だけの収入では購入が難しいため、親が事前に購入しておくことが一般的になっている。
また、投資目的で利便性の悪い場所の物件を購入するケースも多く、住宅価格の上昇を前提とした行動パターンが定着していた。このように国全体が不動産価格の上昇を前提とした経済構造になっていた。
Q. 不動産バブル崩壊の現状はどうなっているのか?
現在、住宅販売は急落しており、下落のペースは緩やかになってきたものの、まだ底打ちには至っていない。中国政府は不動産価格を上げるための明確なメッセージを発していない。
さらに問題なのは、建設中のマンションの完成を優先する政策により、供給過剰状態にもかかわらず新たな住宅が完成し続けていることだ。中国の制度では住宅引き渡し前からローン支払いが始まるため、未完成の物件が放置されると社会不安につながりかねない。このため政府は不動産会社が破綻しても建設を継続させようとしている。

Q. 中国政府はなぜ抜本的な対策を打ち出さないのか?
中国政府が直接的な財政支援や金融緩和に慎重な理由はいくつかある。まず、中国政府が得意とする財政政策は投資拡大型に偏っており、消費刺激型の政策が不得手だ。現在の問題は消費者の財布の紐が固くなっていることにあり、投資を増やすとかえって供給能力が強くなりすぎる悪循環を生む。
また、中国の財政支出の約8割は地方政府が担っているが、地方政府の主な独自財源は土地の払い下げによる収入だった。不動産危機で土地が売れなくなり、地方政府は財源不足に陥っている。さらに、地方政府は財政規律を重視するあまり、景気が悪化している時にこそ「緊縮競争」が生じる構造的問題がある。

Q. 中国人の消費行動や価値観はどう変化しているか?
人々の心理は180度変化している。以前は「より大きく、より良いもの」が好まれる消費アップグレードの時代と言われていたが、今では安価でコスパの良いものを求める「消費ダウングレード」の傾向が強まっている。
高級ブランドのスターバックスでさえひっそりと値下げを始め、9.9元均一店(100円ショップに相当)が急速に普及している。かつては不動産投資について語り合っていた人々が、今では住宅ローンの繰り上げ返済による節約法について情報交換するようになった。
Q. 住宅ローンに対する態度はどう変わったか?
以前は「偽装離婚」までして複数の住宅ローンを組もうとしていた人々が、今では一斉に返済に走っている。住宅ローンの繰り上げ返済窓口は3ヶ月先まで予約で埋まっているほどだ。個人のバランスシート縮小志向は経済全体にとって問題となる。
SNSでは「住宅ローンがない部下は恐ろしい。窃盗したら反撃してくる。自分には自動車ローンも住宅ローンも子供もない。だから自分をいじめられる人は誰もいない」といったジョークが流行している。以前は「家と車を持つ人と結婚したい」という価値観だったのが、「住宅ローンがある人とは結婚するな」という価値観に変わりつつある。
Q. 不動産危機の中でも成長している産業はあるのか?
中国には「発動する経済」と呼ばれる現象がある。ある産業が儲かると思われると多数の企業が殺到する状況だ。かつては携帯電話ビジネスでこの現象が見られた。現在、中国の三大輸出品と言われるEV(電気自動車)、太陽光パネル、バッテリーは、この「殺到する経済」によって競争力のある企業が生まれた典型例である。
不動産セクターが低迷する一方で、これらの新興産業は急成長を続けている。これが「不況と成長の共存」という中国経済の不思議な状況を生み出している。