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住宅ローン金利はどこまで上がるか?【牧野知弘 vs.塩澤崇】
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2025年1月28日

日銀の利上げもあり、住宅ローンの変動金利が上昇している。それでも、変動金利が正しい選択なのか?固定金利に切り替える必要があるのか?本当に賢い住宅ローン戦略をテーマに、牧野知弘オラガ総研代表と、住宅アナリストの塩澤崇氏に議論してもらった。
住宅ローンは変動か固定か?専門家が解説する最適な選択とリスク管理
金利上昇時代に入り、住宅ローンの選択に悩む方が増えている。変動金利と固定金利、どちらが賢明な選択なのか。金融と不動産の専門家による見解を紹介する。

Q. 変動金利と固定金利、基本的な考え方はどのようなものですか?
日本経済に対する見方によって最適な選択は変わります。日本経済に対して極端に楽観的か悲観的な人は固定金利を選ぶ傾向があり、中間的な見方をする人は変動金利を選ぶ傾向があります。
悲観的な見方をする人は、「この国はもう駄目だ」と考え、円安が進み、通貨防衛的に金利を上げざるを得なくなるため、固定金利が良いと主張します。
一方、楽観的な見方をする人は、賃金も物価も上がり続け、日本経済が過熱して金利も上昇するため、固定金利が良いと考えます。
真ん中の立場の人は、「賃金や物価は多少上がるだろうが、そこまで金利は上昇しないだろう」と考え、変動金利を選びます。

Q. 日本の金利はこれからどのくらい上がると予想されていますか?
2025年頃には政策金利が1%程度、2026年でも最大でも1.5%程度で止まるという見方があります。その場合、変動金利は現在の0.3~0.4%から1.1~1.5%程度まで上がる可能性があります。
一方、現在のフラット35などの固定金利は1.8%程度です。変動金利と固定金利が逆転するには、現在の金利差1.4%を埋めるため、あと5回程度の利上げが必要となります。それが数年間で続くかどうかは不透明です。
また、仮に政策金利が2%まで上がったとしても、それが35年間続くことは考えにくいです。景気サイクルに連動して金利は上がったり下がったりするはずです。
Q. 過去の金利変動はどのような傾向がありましたか?
日本では、バブル以降、金利が上がった期間は過去2回あり、それぞれ7ヶ月と27ヶ月(約2~3年)程度でした。アメリカでは金利が高くなる期間もありますが、低金利期間が8年間続いたこともあります。このように、金利は上がったり下がったりするサイクルがあり、ずっと上がり続けるというシナリオは非現実的です。
Q. 住宅ローンの返済方法から考えると、金利上昇リスクはどう捉えるべきですか?
住宅ローンの一般的な返済方法である元利均等払いでは、時間が経つにつれて元本が徐々に減っていきます。例えば、3,500万円を35年ローンで借りた場合、1年後には元本が約3,400万円、25年後には約1,000万円まで減ります。
そのため、金利が1%上昇した場合、1年目では年間34万円の金利負担増となりますが、25年目では年間10万円の増加にとどまります。つまり、返済の後期になるほど、金利上昇による影響は小さくなります。
将来の金利の不確実性は高まりますが、同時に元本の減少により金利上昇時の負担額は減少するため、金利リスクはそれほど変わらないという見方もあります。
Q. 変動金利で最も注意すべきポイントは何ですか?
金利が上昇し始めた時に、変動から固定に切り替えようと思っても、その時点では固定金利も大幅に上昇している可能性が高いです。また、金利が上がる時期には不動産価格が下がることが多く、売却を考えても損が出る可能性があります。
特に問題なのは、金利上昇時に返済が厳しくなり破綻するリスクです。変動金利を選ぶ場合は、金利が2%程度まで上がっても返済できるか確認すべきです。

Q. 銀行間の競争はどのような影響を与えていますか?
住宅ローンは「お金に色はない」コモディティ商品であり、銀行間の競争が激しいです。そのため、日銀が政策金利を上げても、銀行が競争上の理由から一方的に金利を上げにくい面もあります。
特に最近はネット銀行とメガバンクの競争状況が変化しています。低金利時代にはネット銀行が優位でしたが、金利上昇局面ではメガバンクが復活しつつあります。ネット銀行は預貸率(預金に対する貸出の比率)が高く、新たな貸出には預金を増やす必要があり、預金金利上昇でコストが上がっているためです。
Q. 将来の日本経済と金利はどうなるのでしょうか?
日本の人口減少は確実で、30~40年後には人口が半分近くになる可能性があります。人口が減る社会では物価は上がりにくいはずですが、一方で日本の食料自給率は36%と低く、輸入インフレの影響も受けます。
通貨防衛のための利上げや、為替差を解消するための利上げなど、様々な要因で金利が上がる可能性はあります。しかし、需要主導型の強い金利上昇は人口減少下では考えにくいという見方もあります。
Q. 住宅ローン選びで最も重要なポイントは何ですか?
最適な選択は個人の状況によって大きく異なります。年収が高く、収入が安定している、または将来伸びると思われる人は変動金利を選んでも問題ないでしょう。
しかし、多くの人にとって重要なのは、借入額を抑えることです。年収の5倍以下、最大でも7倍以下に抑え、固定金利と変動金利の差額(3,500万円のローンなら月2万円程度)を資産運用に回す戦略が有効です。
また、物件選びも重要です。高い価値のある物件を適正価格で購入するのと、元々価値の低い物件を高値で購入するのでは、将来が全く変わってきます。
住宅ローンは長期の債務となるため、「無理をしない」ことが基本です。物件価格と相場を見極め、ローン比率を低く抑え、なるべく短い期間で返済するプランを立てることが重要です。