
社内政治に勝つことより大事なこと
職場のポジショニングと人間関係の極意
会社での立ち位置を確立し、上司や部下と良好な関係を築くために必要なマインドセットとは?高城幸司氏に聞いた社内政治の秘訣と、自分を知ることの重要性について紹介します。

Q. 社内での自分の立ち位置を確立するにはどうすればいいですか?
自分のブランドを作ることが大切です。例えば「牛丼の吉野家」といえば「安い、早い」というイメージがすぐに浮かびますよね。同じように、あなた自身のブランド、言い換えるとハッシュタグのようなものを考えてみましょう。
まずは周囲の人に「あなたといえば何?」と聞いてみることをおすすめします。自分では気づかない特徴や強みがあるかもしれません。単に「優しい」「笑顔が素敵」といった人柄だけでなく、専門性や特徴を言語化できると良いでしょう。
例えば「営業力がある」「日本酒に詳しい」など、少し尖った特徴があると記憶に残ります。ブランドを考える際には、競合の少ないニッチな分野を選ぶという戦略もあります。ワイン好きという人は多いかもしれませんが、日本酒に詳しい人は少ないかもしれません。あるいは、すでに多くの人が持っているタグでも、そこで頂点を目指すという選択肢もあります。
会社の中では、自分だけが持つ専門性や役割を見つけることが重要です。会社は効率化のために業務を標準化しようとしますが、その中でも「この人しかできない」と認識される存在になれば、発言力も高まります。

Q. 自分のブランドやタグを見つけるコツはありますか?
自分の「タグ」を見つける際には、客観的に考えることが大切です。もし周囲の人から特定のイメージで認識されていないとしたら、これからどんなタグを獲得していくか戦略的に考える必要があります。
例えば、営業が強い会社で単に「営業が得意」というタグを持っても、同じタグを持つ人が多ければ埋もれてしまいます。そこで「人事に強い」「マーケティングに詳しい」など、別の分野でタグを取りに行くという選択肢もあります。
タグがないということは、会社の中での存在感や重要性が薄れてしまう可能性があるため注意が必要です。会社の仕事は標準化される傾向がありますが、その中でも「この人にしかできない」と思われる存在になれば、発言力も高まります。そのために自分はどんなタグを付けるべきか考えてみましょう。

Q. 部下から慕われる上司に共通する特徴は何ですか?
部下に関心を持っていることが最も重要です。部下が自分の意見と異なることを言った時、単に「なぜ反対するのか」と腹を立てるのではなく、「なぜそう思うのか」と考え、質問することが大切です。
上司は常に様々な仕事のことを考えており、昨日と今日で言うことが変わることはよくあります。しかし、部下からすると「また違うことを言っている」と映り、信頼関係が損なわれることもあります。
部下の反応に注目し、何か否定的な反応があったときは、その理由を聞くことが重要です。相手が「自分のことを知ってくれている、気にしてくれている」と感じられる関係ができていれば、たとえ意見の食い違いがあっても信頼関係は壊れません。
また、中間管理職は時に「いなくなっても平気な存在」になりがちです。そうならないためには、新しいことに挑戦したり、改善や改革を行うなど、存在価値を示す必要があります。そうでなければ、若い世代から「なぜあの人があの位置にいるのか」と疑問視されてしまいます。
Q. 同僚や上司とうまく付き合うためのコツはありますか?
同世代の同僚との関係では、表面上は仲が良くても、心の片隅では競争意識やジェラシーが生まれるものです。例えば「社長に呼ばれて相談に乗った」と同僚が言えば、表面上は「すごいね」と言いながらも、内心では「負けた」と感じることもあるでしょう。そういった感情があることを認識した上で、同じ立場の人たちの中で自分だけが頭ひとつ抜けている感を出すことは避けた方が賢明です。
上司との関係では、上司が何気なく投げかける質問を大切にしましょう。「最近どう?」と聞かれた時、単に「頑張っています」と答えるのではなく、現在取り組んでいることの良い点と課題点を簡潔に伝えることが重要です。特に上司は通常良いニュースは聞いているので、課題や困っていることを伝えると「ちょっと手伝おう」という気持ちになります。
また、上司は完璧ではないことを理解して接することも大切です。上に行けば行くほど悩みを抱えています。上司が昨日と違うことを言っても、それを一貫性がないと指摘するのではなく、立場の難しさを理解した上で接すれば「こいつは私のことをわかっている」と思ってもらえるでしょう。

Q. 社内での立ち位置を確立しながら、どのようにキャリアを築いていくべきですか?
社内政治を理解し活用することは重要ですが、最も大切なのは自分が何をやりたいのか、どんな志を持っているのかをはっきりさせることです。自分の目標や実現したいことを整理した上で、そのための手段として社内でのポジショニングや人間関係を考えるべきです。
単に社内政治だけをうまくやっても、「何のためにやっていたのか」という本質を見失ってしまいます。自分の志や目標があってこそ、社内での立ち位置確立も意味を持ちます。
会社の中で上に行くほど、言えないことや抱える悩みも増えていきます。そういった立場の難しさを理解することも、上司との関係構築には重要です。例えば「経営者目線が足りていませんでした」と伝え、「経営者目線について教えてください」と質問すれば、上司は喜んで話してくれるでしょう。
社内での自分のブランドを確立し、上司や部下との関係を築きながら、自分自身の志を実現していくことが、最終的に充実したキャリアにつながります。
