PIVOT TALK BUSINESS
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2025年1月16日

莫大な投資が行われるブランディング。しかし、その定義は曖昧で、効果が出ない投資も多い。ブランディングの誤解とは何か?ブランディングの目的をどう定義すればいいのか?Strategy Partners代表の西口一希氏に聞いた。
ブランディングとは何か。それはマーケティングの一部なのか、それとも別物なのか。多くの企業がこの問いに明確な答えを持たないまま、ブランディング活動に取り組んでいる。マーケティングの専門家である西口一希氏は、ブランディングについて最も重要なのは「目的の明確化」だと語る。

マーケティングの定義自体が人によって異なるため、この問いに一概に答えることは難しいです。マーケティングを「価値を作り、提供し、継続的に利益を得て再投資する」という広い意味で捉えるなら、ブランディングはその一つの方法に過ぎません。
一方、マーケティングを「売るための手段」という狭い意味で捉えるなら、ブランディングはその売る手段の一つとなります。
この質問に対しては、組織内で共通の定義を作ることが重要です。特に社内と代理店の間で認識がずれると混乱の元になります。

ブランディングには大きく分けて3つの目的があります。
1. 売上増加のための認知獲得:
潜在顧客に対して、自社の商品やサービスの存在を知らせることを目的とします。
2. 好感度向上による購買促進:
顧客に対して、好きになってもらい購入してもらうことを目的とします。
3. ステークホルダーへの存在価値の訴求:
従業員、学生、株主などのステークホルダーに対して、会社の存在価値やビジョン、パーパスを伝えることを目的とします。これはインナーブランディング、リクルーティング目的、モチベーションアップなどとも呼ばれます。
特に重要なのは、これらの目的をきちんと区別して、どの目的でブランディングを行うのかを明確にすることです。

3つ目の目的は、対象者が顧客ではなく、従業員や潜在的な従業員(学生など)、株主などのステークホルダーである点が特徴です。1つ目と2つ目の目的が直接的に売上を上げることを目指すのに対し、3つ目は間接的なビジネス目的を持ちます。
具体的には、会社のビジョン、ミッション、パーパス(存在意義)などを伝え、「この会社でもっと頑張りたい」「この会社に入社したい」「この会社に投資して応援したい」という気持ちを促進することを目指します。
特にB2B企業では、業績が良くても知名度が低いことが多く、リクルーティングに苦労するケースが少なくありません。そのため、この3つ目の目的によるブランディングは非常に重要です。
ステークホルダー向けブランディングの効果は、目的に応じて以下のような指標で測定できます:
- モチベーションアップが目的の場合:従業員満足度調査など
- リクルーティングが目的の場合:応募者数の増加
- 企業認知度向上が目的の場合:企業名の検索数の増加
例えば、B2B企業がテレビCMを出す場合、直接的な売上効果を期待するよりも、リクルーティングや企業認知度向上という観点で効果を測定する方が適切です。
1つ目と3つ目の目的を同時に達成しようとすると、難易度が大きく上がります。というのも、それぞれの目的によって必要なアプローチが異なるためです。
3つ目の目的(ステークホルダーへの訴求)の場合、企業のミッションやビジョン、パーパスを伝えることが中心となり、経営者の考えを表現するだけでも一定の効果があります。
一方、1つ目の目的(認知獲得による売上増加)を達成するには、顧客がどのような便益や独自性に惹かれるかを深く理解する必要があります。これは単に企業のビジョンを伝えるだけでは達成できません。
しかし、1つ目の目的(売上増加)でうまくいくと、結果的に3つ目の目的(リクルーティングなど)にも良い影響を与えることがあります。実際、成功している広告キャンペーンは、応募者数も大幅に増えるという副次的効果をもたらすことがよくあります。
ブランディングの目的を明確にしないと、以下のような問題が発生しやすくなります:
1. 期待と現実のギャップによる失望:
例えば、3つ目の目的(ステークホルダーへの訴求)で広告を出しても、直接的な売上増加は期待できません。目的を明確にしないまま売上増加を期待すると、成果が出なかった時に「ブランディングは効果がない」という誤った結論に至る可能性があります。
2. クライアントと代理店の認識のずれ:
優秀なクリエイターが3つ目の目的に合った素晴らしい広告を作っても、クライアントが1つ目の目的(売上増加)を期待していると、期待と現実のギャップが生じて関係が悪化する恐れがあります。
3. 効果測定の誤り:
目的が曖昧だと、適切なKPIを設定できず、効果を正しく評価できなくなります。
これらの問題を避けるためには、「この3つのうちどの目的でブランディングを行うのか」を社内や代理店との間で明確に共有することが重要です。

Appleの有名な広告キャンペーン「1984」や「Think Different」は、3つ目の目的(ステークホルダーへの訴求)が主な狙いだったと考えられます。
興味深いのは、スティーブ・ジョブズが「1984」を出した当初は売上増加を期待していた節があるということです。実際、「1984」の後に2作目を制作しましたが、大失敗に終わりました。
一方、「Think Different」キャンペーンは、Appleの業績が悪化している中で強引に実施されました。このキャンペーンは直接的な売上回復には繋がりませんでしたが、私たちの記憶に強く残り、Appleのブランドイメージを形成しました。結果として、優秀なエンジニアがAppleに憧れて入社するなど、3つ目の目的(ビジョニング)において大きな成功を収めたと言えます。
ブランディング活動の成功のために最も重要なのは、3つの目的のうちどれを達成しようとしているのかを明確にすることです。目的によってアプローチが大きく異なるため、目的が曖昧だと効果的なブランディングはできません。
例えば、3つ目の目的(ステークホルダーへの訴求)だけをターゲットにした広告を展開する場合、売上増加は期待しないことが重要です。逆に、売上増加を目指すなら、顧客にとっての便益と独自性を明確に伝える必要があります。
ブランドに関する社内の議論では、「3つのうちどの目的か」を必ず確認することで、大きな問題や後悔を避けることができます。
※こちらは生成AIによるまとめ記事です。