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最新解説:NVIDIAの野望。自動車とロボットでも勝てるのか?
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2025年1月12日

1月7日のCESのオープニングで今後の戦略を発表したNVIDIA。データセンターに続くアプリケーションとして、AIエージェント、自動運転、ロボットはどれくらい可能性があるのか?NVIDIAがトヨタと組んだのはなぜか?グロスバーグ代表の大山聡氏に解説してもらった。 <ゲスト> 大山聡|グロスバーグ代...
NVIDIAの野望とは?半導体業界の巨人が描く未来戦略
CESでのNVIDIAの発表はサプライズというよりも、同社の野望を明確に示すものだった。あらゆる場所でAIが使われる未来に向け、データセンターだけでなく、ロボットや自動車など多様な領域へと影響力を拡大しようとしている。

Q. CESでのNVIDIAの発表をどう評価していますか?
CESでのNVIDIAの発表はサプライズというものではなかったが、同社の野望が明確に示されていた。データセンターに限らず、様々なアプリケーションにAIが使われ、それらすべてにソリューションを提供していくという意気込みが感じられた。ロボットでも車でも物流倉庫でも、AIが使われるところならどこでも関与していくという姿勢が示された。
予想できた道筋ではあるものの、それを明確に示し、実際の製品も発表してきたという点では驚きがあった。
Q. 新しく発表されたRTX Blackwellはどのような半導体ですか?
RTX Blackwellはシリーズの名前で、注目されているB200などの製品がこの中に含まれる。これまで最も売れていたH100 GPUよりもさらにスペックが向上している。価格については、H100が3万5000ドルだったのに対し、B200は約7万ドル(日本円で約1000万円)になるという話もある。
「これが半導体の値段なのか」と思うほどの価格だ。かつてIntelがサーバー向けプロセッサーを1500〜2000ドルで販売していた時代には「とんでもない商売」と思われていたが、それをはるかに超える水準になっている。

Q. なぜそこまで高価な半導体が求められているのですか?
AIには膨大な演算能力が必要だからだ。確かにコストもかかっているが、NVIDIAの決算を見ると粗利が70%を超えているので、それなりの利益率をつけていることがわかる。
パフォーマンスについては、NVIDIAが示す指数関数的に上昇するグラフの通り、処理能力が急速に向上している。ただし、同時に消費電力も上昇していると思われる。
Q. GPUの性能向上はムーアの法則に従っているのですか?
中身から見るとムーアの法則の延長線上にある。GPUはパラレル処理を行い、単体のCPUではなく、100個、200個と横に並べることでパフォーマンスを実現している。ムーアの法則の中で並列処理によって性能を引き出すアプローチを実践していると理解できる。
ムーアの法則の限界については、消費電力の上昇や構造的な問題から、どこかには限界が来るだろう。しかし現時点では、その限界を気にするよりも、NVIDIAが実現するパフォーマンスの向上に注目すべき段階だ。

Q. エージェンティックAIの重要性について教えてください
NVIDIAが示す指数関数的に伸びていく分野の一つとしてエージェンティックAIがある。これは顧客に対して「当社のプロセッサーを使えばロードマップがちゃんと描けます」という主張を示すものだ。
今年はIT業界でAIエージェントが注目されているが、NVIDIAはそのアプリケーションの中心に確実に入っていくという覚悟を示している。NVIDIAのプロセッサーなしにAI環境を語ることはできないほどの存在感を持っており、AIエージェントの普及が進むほどさらに需要が伸びていくことになる。

Q. 自動車業界におけるNVIDIAの戦略はどうなっていますか?
NVIDIAは自動運転領域で存在感を強めている。特にトヨタとの提携を強調していたが、これは自動車メーカーの中でテスラを除けば時価総額も生産台数も最大クラスだからだろう。
テスラは自社でAIプロセッサーを開発しているが、一般の自動車メーカーはそのようなリソースを持っていない。これまでエンジン開発をしてきた自動車メーカーが、AIプロセッサーの開発は難しく、すでにNVIDIAと提携して実証実験を行ってきた経緯もあり、量産品にもNVIDIAのプロセッサーを採用する流れになっている。
Q. 自動車産業の構造はどう変化していくのでしょうか?
自動車産業は「テスラVS NVIDIA連合」という構図になりつつある。テスラは独自開発路線で進み、それ以外の自動車メーカーはNVIDIAと連携する形だ。これはiOSとAndroidのような関係に近くなるかもしれない。
テスラは電池開発から販売まで自社で行う新しい垂直統合モデルを目指している。一方、従来の自動車メーカーはエンジン開発を自社で行わず、モーター、バッテリー、AIプロセッサーを外部から調達する水平分業に近い形を取らざるを得なくなる。
このビジネスモデルの違いが、今後の自動車業界で対照的な形でぶつかることになるだろう。
Q. 自動車産業はスマートフォンやパソコン産業のようになるのでしょうか?
自動運転と電動化が進むと、完全に同じではないにしても、パソコン産業に似た部分が増えてくるだろう。例えば、車を製造する技術を持った工場がAutomotive Manufacturing Service(AMS)のようなサービスを始める可能性もある。
電動化が進むと、これまでのエンジン制御とは異なり、モーター制御はより汎用的になる。自動運転技術についても、ソフトウェアの互換性の問題から、自動車メーカーが独自路線を強く打ち出すことが難しくなる。そのため、半導体の選択もカスタム志向ではなく、標準的なものを採用する傾向が強まるだろう。
Q. トヨタがNVIDIAと組んだ戦略をどう評価しますか?
トヨタがNVIDIAと組んだことはポジティブに評価できる。自力で開発するという選択肢もあったかもしれないが、外部のソフトウェア環境を取り込めるかどうかというリスクを考慮し、現実的に競争に勝つために最強のパートナーと組むという判断をしたのだろう。
ただし、最も重要な駆動系が外部に依存することになると、自動車メーカーはどこで価値を出していくかという課題に直面する。エンジンによる差別化ができなくなるため、付加価値の出し方を変えていく必要がある。
IBMがハードウェア販売からサービス提供へと転換したように、自動車メーカーも「車を売る」ビジネスから「移動というサービス」へと変革できるかが大きな課題だ。トヨタがIBMのようになれるかどうかが問われている。
Q. ロボティクス分野でのNVIDIAの可能性はどうですか?
ロボティクス分野でGPUは選択肢の一つだが、絶対に必要なものではない。AIには学習機能と推論機能があり、学習にはGPUのような膨大な計算能力が必要だが、ロボット本体には推論機能だけを持たせる設計も可能だ。その場合、GPUを内蔵せず、FPGAや通常のマイコンでも対応できる。
ただしNVIDIAはAIソフトウェア資産を多く持っており、GPUの活用を強調している。産業用ロボットの分野も非常に大きな市場であり、今後AIの機能を取り込む流れになれば、NVIDIAの開発環境が産業用端末にも入り込んでくる可能性はある。
フィジカルAIの領域でもNVIDIAは存在感を高めていくだろうが、GPUが常に最適解とは限らないため、データセンターほどの圧倒的な独占にはならないかもしれない。