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3期連続最高益へ。三井住友FGトップが語る、新時代の銀行ビジネス
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2025年1月10日

3期連続最高益へ突き進む三井住友フィナンシャルグループ。 快進撃の理由は何か? 今後、デジタル・AIで銀行ビジネスはどう変わるのか? 弱点の大企業向けビジネスをどう強化するのか? 中島達CEOに聞いた。 <ゲスト> 中島 達|三井住友フィナンシャルグループ 社長 1986年 住友銀行(現・三井住友...
【リスクを取る覚悟、それが銀行員だ】三井住友FG社長が描く「AIアバター」が変える銀行ビジネスの未来
SMBCグループが変革期を迎えている。3期連続最高益更新、年間1兆円を超える純益を見込む中、中島達社長は「10年でナンバーワンになりたい」と語る。デジタル化とAI活用で銀行ビジネスはどう変わるのか。

Q. 社長に就任して1年、どのような1年だったか
忙しい1年だった。急な就任だったため準備期間がなく、通常なら3ヶ月前に発表があり引き継ぎや挨拶回りをする時間があるものだが、それがなかった。走りながら仕事をしなければならず、最初の半年は特に忙しかった。夏頃からようやく余裕が出てきて、考える時間も持てるようになった。
Q. 銀行トップの仕事の特徴は
これまでも歴代の社長や会長と一緒に仕事をしてきたので大体わかっていたつもりだが、実際にやってみると違う。まず時間がないことと、全ての事象について自分が前面に立たなければならないという緊張感がある。
Q. 1日のスケジュールはどのようなものか
朝7時頃に出社し、9時からの打ち合わせまでの2時間で前日読めなかったメールや書類、その日の新聞や雑誌などをチェックする。9時からは会議や顧客との面談が夕方まで続き、夜は会食に行く。特に年末は忙しく、週に7〜8回の会食があり、木曜日や金曜日は2件入ることもある。土日も顧客のイベントなどで1日使うことが多い。体力がなければ務まらない仕事だ。
Q. 銀行の業績が好調な理由は
現在の利益には「下駄を履いている」部分がある。政策投資株式の売却による売却益が大きく、日経平均が4万円近い高値で推移していることから、株の売却で大きな利益が出ている。それを除いても、ここ1〜2年は本業でもしっかりと増益になってきている。
特に国内の企業取引と個人顧客との取引が強い。これは日本経済が良くなってきて再成長を始めている証拠だ。企業は積極的に買収戦略を考えたり、新たな設備投資を検討したりしている。これは金融機関にとってビジネスチャンスになる。
個人顧客も「資産運用立国」の流れの中で投資活動が盛んになっており、ビジネスチャンスが増えている。本業がしっかり伸びていることに株の売却益が加わり、当期純利益は1兆1600億円の目標を超える見込みだ。

Q. 10年前、20年前の銀行と比べて最も変わった点は
デジタル化が進んだことだ。ビジネスが拡大する中で人員は減っている。これはデジタル化によって省力化を図ったからで、生産性が大きく向上した。
例えば、昔は駅前の目抜き通りにある銀行の支店では30〜40人の行員が働いていたが、今はショッピングモールに出店している小型店舗では6〜7人で済むようになった。顧客自身がスマホで取引するようになり、店舗に来る顧客は半分以下になった。来店した顧客の手続きもデジタルで処理できるようになり、大幅な軽量化が進んだ。
マイナス金利が続き苦しい時代にこれを進めたことで、今、金利が上がって預金でも収益が上がるようになり、その間にコストベースも下げたので、収益性が向上している。

Q. AI活用とアバターについての構想は
AI活用に非常に期待している。グループの従業員全員が必要に応じてChatGPTのようなAIを使えるようにしている。金融機関なので情報が外部に流出しないよう、内部で閉じたAIを用意した。顧客への提案資料作成や会議の議事録自動作成など、個別のAI活用はかなり進んでいる。
次はビジネスモデル自体をAIで変えていきたい。例えば個人顧客への資産形成相談では、今は人手をかけてアドバイスしているが、AIを活用すればもっと効率的にできるだろう。
ここでアバターが強力なツールになると考えている。投資信託などの金融商品は理解するのが簡単ではないため、最後は信頼している銀行員のアドバイスで「背中を押してもらう」というビジネスになっている。AIがテキストだけでアドバイスしても顧客は動かないかもしれないが、アバターならどうだろうか。
アバターを継続的に使うことで親近感が生まれ、「このアバターが言うなら」と顧客が動いてくれる可能性がある。AIで強化されたアバターが顧客にアドバイスし、その裏側で銀行員が10体のアバターを監視して、必要なら介入するというモデルを構想している。そうすれば1人で10人の顧客に対応でき、ビジネス効率が大幅に向上する。

Q. オリーブなどのアプリ開発の成功要因は
以前の銀行アプリは使い勝手が良くなかった。そこで外部からデザイナーを招き、顧客視点でUI/UXを向上させて、日本の銀行界で最も使いやすいアプリを作ることに注力した。三井住友カードも同様に、ナンバーレスカードなど顧客視点で進化させてきた。これまで銀行やクレジットカード会社で積み重ねてきたノウハウやスキルが結集し、オリーブが実現した。
オリーブではSBI証券と提携し、三井住友カードのカードを使ってSBI証券で投資信託の積立ができるサービスを始めたところ、月間で100億円、年間で1兆円の積立が行われるようになった。しかも人手をかけずに、オリーブ上で顧客が自ら手続きしている。これは非常に大きな成果だ。
Q. 大企業向けビジネスの強化策は
三井住友銀行は3メガバンク体制の中で大企業取引の規模が小さかった。この20年で相当挽回してきたが、まだ顧客数や貸出金の量で他のメガバンクに及ばない。ここを強化するには王道を行くしかない。それは顧客のためにリスクテイクし、資金を提供することだ。
現在、日本の大企業は海外投資やデータセンター建設、研究開発など様々な形で資金需要がある。そこでしっかりとリスクテイクして資金を提供していく。地道にこれを積み上げることで他行との差は縮まっていくだろう。「10年でナンバーワンになりたい」という目標を掲げて取り組んでいる。
Q. 銀行員のイメージはどう変わるべきか
銀行員は元々、顧客のためにリスクを取り、産業発展や日本の成長発展に貢献するものだった。しかし、バブル崩壊後の20年間で銀行が保守的になり、銀行員のイメージも変わってきた。
これからの銀行員はよりオープンな人間になっていく必要がある。様々なビジネスを理解し、多様な人々と付き合いながら人間としての幅を広げていくことが求められるだろう。