超予測
【2025年超予測:規制改革(前編)】第二のTSMCを作る。令和の立地政策で地方への投資拡大
(50)
5,997回視聴
2025年1月7日

103万円の壁に議論が集中した2024年の政策論争。2025年に注目すべき規制改革は何か?自民党・衆議院議員で環境副大臣を務める小林史明氏に聞いた。 <ゲスト> 小林史明|衆議院議員 上智大学工学部卒業後、NTTドコモに入社。2012年衆院初当選。 デジタル副大臣や内閣府副大臣、総務大臣政務官など...
2025年の規制改革の行方 - 地方投資活性化と人口減少時代の事業再編が柱に
小林史明氏が語る「令和の立地政策」と1万条項の規制見直しがもたらすビジネスチャンス

Q. 2025年の規制改革において、最も重要な柱は何ですか?
地方への投資促進が最も重要な柱となる。特に熊本のTSMC工場のような成功事例を踏まえ、「令和の立地政策」として地方経済活性化に向けた取り組みを強化していく。この政策は外資企業だけでなく、日本企業の地方進出も促進するもので、科学や素材など大きなプラントや工場を必要とする日本の強みを活かせる分野を中心に展開する。
かつて日本には化学コンビナートや製鉄所などの「立地政策」があった。公安の整備や上下水道インフラの整備をセットで行い、産業集積を促進していた。これを令和時代に合わせて復活させることが目標だ。

Q. 地方投資を促進するための具体的な規制改革はどのようなものですか?
2つの大きな規制改革がある。1つ目は所有者不明土地問題の解決だ
。日本には相続登記がされていない土地が多く存在し、工場建設などの際に一部の土地の所有者が不明だと手続きが進まない。この問題に対し、立地政策の計画があれば政府が所有者を探す作業を代行する仕組みを導入する。
2つ目は市街化調整区域の規制緩和だ。現在、市街化調整区域では建物を建てることができない。これを変更するには市街化区域との面積交換が必要でプロセスが複雑だった。新たな政策では、県と市がエリアを産業成長地域に指定すれば、市街化調整区域でも工場や物流倉庫、宿泊施設などを建設できるようになる。

Q. 人口減少時代に対応するための事業再編やM&Aについての取り組みは?
日本全国に300万社以上の企業があるが、人口減少に伴い経営者不足の時代になっている。そこで積極的に事業統合やM&Aができる体制作りが重要となる。すでに昨年から、年間2社以上連続でM&Aを行った場合、税金の支払いを10年間繰り延べられる制度を開始している。
また、独占禁止法の運用緩和も進めている。従来は企業のホーム部門から独禁法に抵触する懸念が示され、事業再編が進まないケースがあった。そこで積極的にガイドラインを示し、例えば国内市場ではシェアが大きくても国際市場で見れば問題ないケースなど、独禁法の対象外となる基準を明確化している。
Q. アナログ規制の一括見直しについて、その進捗と効果は?
4万の国のルールの中に1万条項あったアナログ規制の見直しを昨年8月末に完了した。これは「目視点検」「実地検査」「定期検査」「有資格者の配置義務」「対面講習」「窓口閲覧」などのアナログなルールを見直すもので、テクノロジーの実装が進む段階に入っている。
規制見直しの方法としては、単に文言を変更するだけで済むものは即時対応し、技術検証が必要なものは実験を行い「技術カタログ」に登録する。このカタログに掲載されれば、以後の実証実験が不要となり、全国での営業が可能になる。行政側も民間側も安心して新技術を調達できるようになる。
こうした規制改革がもたらすビジネスチャンスは非常に大きい。例えば、ハンコや押印の見直しによって電子契約市場は3年で4倍に成長した。1万の規制が変わることで同様の成長が様々な分野で期待できる。
Q. 規制改革によって生まれる具体的なビジネス事例はありますか?
ウェアラブルカメラを使った遠隔検査サービスがある。建設現場の検査に専門家や資格者が現地に行く必要があったが、現場の作業員がウェアラブルカメラを装着して歩くことで、専門家はオンラインで検査ができるようになった。
また、水中ドローンを使った点検サービスも登場している。従来はダイバーが水中に潜って目視で点検していたが、水中ドローンで代替可能になった。こうした技術の量産化が進めば価格が下がり、日本中、世界中に販売することが可能になる。
Q. 日本の規制改革アプローチとアメリカのアプローチの違いは何ですか?
日本とアメリカの規制アプローチには大きな違いがある。アメリカは法律違反に対する執行力が強いため、事前規制が比較的緩い。一方、日本は執行力が弱いため、事前規制を厳しくする傾向がある。
例えば、インターネット上の偽広告や闇バイトは現行法でも罰することは可能だが、十分に取り締まられていない。そのため、プラットフォームに対する規制を強化する議論になりがちだ。
日本が規制を緩和するためには、違反に対する執行力を高めることが重要。警察の能力向上やインターネット上での検知能力強化、罰則の強化などによって、バランスを取ることが長期的に必要となる。

Q. 国と地方の構造改革について、どのような取り組みが検討されていますか?
人口減少時代には、国と地方が同じような仕事を重複して行うのではなく、共同で効率化を図ることが重要だ。例えば、どのような行政サービスでもチャットやコールセンターに問い合わせれば相談ができ、可能な手続きはそのまま完了する仕組みを目指している。
地味な改革に見えるかもしれないが、こうした政府の仕事は重要なインフラ整備だと考えている。2050年に日本の人口が1億人に減少する一方で、世界人口は100億人に増加する。世界の成長を取り込むためには、日本からの輸出を強化することが重要であり、特にコンテンツ産業に注目している。