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【2025年超予測:メディア・エンタメ(後編)】日本の幼児コンテンツが、世界で大ヒットする
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2025年1月5日

【2025年超予測:メディア・エンタメ(後編)】日本の幼児コンテンツが、世界で大ヒットする <ゲスト> 柳瀬博一|東京科学大学教授 1964年生まれ。慶應義塾大学卒業後、日経マグロウヒル社(現・日経BP社)に入社し、記者を経て単行本の編集に従事。「日経ビジネスオンライン」プロデューサーを歴任。20...
上野公園が面白い理由とは?日本の美術館・博物館が生み出す新しいエンターテイメント
幼少期からアニメを見て育った日本人なら、成長段階ごとに好きだったキャラクターの変化を思い出せるのではないだろうか。なぜ日本のコンテンツは世界で愛されるのか、そしてリアルな体験がなぜ今デジタル時代に人気なのか。日本の文化資産と未来について、専門家が語った内容をQ&A形式でまとめた。


Q. 日本の美術館・博物館はどのように変化しているのか?
上野公園は日本で最も美術館と博物館が集まっている場所である。JR上野駅から平坦に移動でき、国立西洋美術館、科学博物館、都美術館、動物園、国立博物館、東京芸大の美術館と、数多くの文化施設が密集している。世界的にもこれほど美術館・博物館が集積している場所は珍しい。
特筆すべきは、これらの施設がどれも人気を博していることだ。例えば2023年11月末時点では、西洋美術館ではモネ展が行列ができるほどの人気だった。科学博物館では鳥展、国立博物館では埴輪展と、ハローキティ展が開催され、いずれも大盛況だった。東京都美術館の田中一光展も入場規制が必要なほどの人気を集めた。
90年代までは平日に美術館に行くと閑散としていたが、今では入場制限がかかるほど人気になっている。この変化は美術館・博物館が経営改革を行い、コンテンツとしての魅力を高めた結果である。学術的な面白さを前提としつつ、物語性やエンターテイメント性を取り入れた展示方法を採用している。

Q. なぜ今、リアルな体験が人気なのか?
デジタル技術やAI、メタバースが発展する時代であるにもかかわらず、リアルな体験への需要が増えている。これは「暇」という観点から理解できる。人類の技術的進歩の本質は「暇を作る歴史」だったと言える。冷蔵庫があれば狩りに行く必要がなくなり、冷房があれば家の中で過ごせるようになった。テクノロジーの進化により寿命も延び、人々は膨大な「暇」を手に入れた。
この「暇」を充実させるために、人々は知的好奇心を満たす体験を求めるようになった。SNSによって様々な情報が手に入るようになり、人々の興味が多様化した。デジタル空間が広がれば広がるほど、その対極としてリアルな体験の価値が高まっている。
例えば、東京科学大学の学生たちに聞いても、意外とネットだけで完結せず、リアルな遊びも重視している。これは単なるVR(仮想現実)ではなく、AR(拡張現実)的な体験を人々が求めていることを示している。実際の場所に行き、そこでデジタル技術も活用するという両方の良さを取り入れた体験が求められている。
Q. 日本の幼児・子供向けコンテンツはなぜ強いのか?
日本の幼児・子供向けコンテンツは、子どもの成長段階に合わせて見事に作られている。0歳から幼稚園に上がるまではアンパンマンが圧倒的支持を受け、幼稚園に入ると女子はプリキュアシリーズ、男子はスーパー戦隊シリーズへと移行する。小学校に上がる頃にはポケモンが人気となる。
これらのコンテンツは子どもの成長段階における心理的な変化と見事に合致している。アンパンマンやしまじろうのような丸くて優しい顔のキャラクターは、幼児の世界認識に合っている。幼稚園に入る頃になると、友達を作り自分が主役になるという意識が芽生え、プリキュアやスーパー戦隊のようなヒーロー性のあるコンテンツが支持される。さらに小学生になると、友達と探検して生き物を捕まえるというポケモンの世界観が子どもたちの心をつかむ。
これらのコンテンツは単なるアニメではなく、玩具や食品など多様な商品展開と結びついており、巨大なキャラクタービジネスを形成している。世界のキャラクタービジネスランキング(2018年)では、1位ポケモン、2位ハローキティ、6位アンパンマンと、日本のキャラクターが上位を占めている。

Q. これらの日本コンテンツはどのように海外展開しているのか?
日本のコンテンツが海外、特に中国市場で人気を博している背景には興味深い経緯がある。かつて中国では知的財産権の意識が低く、日本のマンガやアニメの違法コピーが広く流通していた。例えば「スラムダンク」は1990年代に違法コピーが出回ったことで中国でファン層を形成し、後に正規版が発売された際には日本以上の売上を記録した。
最近では中国にSCLAという会社があり、日本のコンテンツを正式なライセンスで取得し、マーケティングを行っている。ウルトラマンはこの会社とライセンス契約を結んだことで中国各地にエンターテイメントスペースができ、上海にはウルトラマンホテルまで登場した。キャラクタービジネスとしては日本より大きな市場になっているという。
アンパンマンも2020年代前半から中国で本格的な配信が決まり、お菓子やおもちゃなどの商品展開も始まっている。日本で長年愛されてきたこれらのコンテンツは、実は世界の子どもたちの普遍的な成長過程と心理に合致しているため、文化の壁を越えて受け入れられる素地があったのだ。
Q. AIはエンターテイメント産業にどのような影響を与えるか?
AIがエンターテイメント産業に与える影響は分野によって異なる。特にCM制作においては、AIの活用が進むだろう。AIを使った制作物には偶然性や突発的なジョークは生まれにくいが、CMはあらかじめ計画されたデザイン性が重要であり、予期せぬことが起きては困るという特性がある。そのため、CM制作はAIとの親和性が高い。
すでに伊藤園は生成AIの女性キャラクターを使ったCMを制作しており、違和感なく受け入れられている。映画「ヒア」ではトム・ハンクスの10代から80代までの演技をAIで実現した例もある。
AIによって特に影響を受けるのは、有名になっていないタレントたちだろう。すでに有名になった人のデータをAIに取り込み、様々なシチュエーションで活用できるようになる。例えば、声優の声をAIでデジタル化し、さまざまな場面で活用することも可能になる。このような時代においては、「有名になるところまでが仕事」という考え方が重要になってくる。
しかし、ドラマや映画の本質的な部分はAIに取って代わられることはないだろう。人間の偶然性や創造性が生み出す芸術性は、計画されたAIの制作物では代替できない。また、暇が増え続ける現代において、エンターテイメントへの需要は減ることはなく、むしろ増加していくと予想される。