超予測
【永守重信氏に聞く、2025年超予測(後編)】生成AIの次は、健康・アンチエイジング
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2025年1月4日

2025年の日米経済、世界のビジネスはどう動くのか?2025年に注目しているテクノロジー・ビジネスは何か?日本が国力を高めるために必要なことは何か?ニデック創業者でグローバルグループ代表の永守重信氏に聞いた。
永守重信氏に聞く—失敗が大きな成功を導く理由と2025年の展望
成功をしすぎると周囲から妬まれ、いずれ転落する—。企業経営でも投資でも、絶好調の時こそ最も危険な時期かもしれない。創業から50年以上にわたり会社を成長させ続けるニデック創業者の永守重信氏に、混迷の時代を生き抜くヒントを聞いた。
Q. 調子が良い時には何に気をつけるべきですか?
そのような心構えを持つのは言うのは簡単だが実行するのは難しい。人間はどうしても調子が良いと増長してしまう。対策としては、事前に大きな失敗を何回か経験しておくことが有効だ。失敗経験があれば、調子が良くなりすぎることがない。
実際、世の中で最も問題なのは、簡単にお金が出てくると思い込むこと。自分で汗を流してお金を貯めた経験がないケースが多い。損をしても「また融資してくれる」という甘い考えが、成功者を傲慢にさせている。
私の時代は借金するしかなく、担保が絶対に必要だった。家族や親戚全員が破滅するという恐怖感の中で経営していた。アメリカのようにお金が簡単に調達できる環境は日本には当時なかった。
石橋を叩きながら慎重に渡り、うまくいったら次はもっと慎重に進むという反省心が企業を成長させる。誰かの力で大きくなって「見てみろ、自分はこんなに成功した」というのは良くない。私たちはいつも恐怖感の中にいる。


Q. 現代の若者のモチベーションをどう考えますか?
今の若者は夢を持たない。学生に「将来何になりたいか」と聞いても「分かりません」と答える。「どのような人間になりたいか」と聞いてもはっきり答えない。
大学の授業もスマホで調べれば分かるようなことは教えなくていい。教えるべきは「こうやって生きていて、苦しいこともあったが、エネルギッシュだった」という人生を送る方法だ。
楽しい仕事ばかりではなく、嫌なことはたくさんある。しかし苦しんで達成したものは本当に貴重だ。
最近の若者は「偉くなりたくない」「給料はそこそこでいい」「家族とドライブできれば十分」と言う。そういう人に「私と同じように働いてみなさい、違う景色が見える」と言っても「大した景色はないと思います」と返されてしまう。
どうやってモチベーションをつけるかが課題だ。

Q. 小学生や中学生への教育についてどう考えますか?
小学生や幼稚園児は非常に素直だ。私が運営するオルゴール記念館に幼稚園児を招くと「自分もこういうものを作りたい」と言ってくれる。そういう気持ちが大きな人間を育てる。
大学付属の高校・中学は既に作っているが、小学校はまだ難しい。将来的には作りたいと考えている。
教育は本当に楽しい。企業経営は利益を上げなければならないのでしんどいが、教育機関は寄付行為としてより良い教育を提供できる。世の中をもっと明るくして、頑張れる社会を作りたい。
Q. 教育制度を変えられるとしたら何をしますか?
まず大学入試制度を全面的に変える。ペーパーテストだけでなく、人間性を重視した選抜にする。偏差値だけが全てではない。偏差値偏重のため、日本の国がこのような状況になってしまった。
小学校の運動会でも、全員が1位になるように最後で止まらせるような教育はやめるべきだ。試験をして順位をつけることで勉強するようになる。負けた相手に「あいつに負けたくない」という競争心が人を変える。学芸会でも全員が主役になるような教育では日本は変わらない。
Q. 注目している技術や産業はありますか?
健康・アンチエイジングの分野に大きな技術革新が起きると見ている。命はお金では買えない。技術革新によって新しい時代を迎え、社員も私も健康で長く働ける。定年制はもう必要ない。
この分野の研究者に投資して研究してもらうことで、巨大産業になる。日本人は長寿だが、私は酒を飲まずタバコも吸わない。ゴルフもしない。修行僧よりも厳しい生活をしている。それは長生きしたいからだ。

Q. EV(電気自動車)の将来についてどう考えますか?
EVの時代は必ず来る。私は当初、2025年頃に普及が進むと予想して投資した。しかし中国の企業が国の補助金を使って何兆円もの資金を投入し、ダンピング競争になったことは予想外だった。BYDなどの中国企業に日本企業が負けている。
日本企業は損をしてまで競争はできない。適度に競争して何社かが残り、利益を得るというのが健全な姿だ。中国の考え方は全く違う。
EVは今後も成長するだろうが、中国の過剰投資のためにマーケットが不安定になっている。中国としては世界で最も強い産業を持ちたいという思いがあるのだろう。逆に半導体ではアメリカが強すぎて中国が敗れている。
Q. 生成AIのビジネスについてどうお考えですか?
我々も生成AIのビジネスに取り組んでいるが、そう簡単にはいかない。欠点もある。使ってみると「これはヤバい」と思うところもある。一気に普及せず、一度落ち着いて練り直されて、その中から強いものが出てくるだろう。
成功している時は怖い。どこかで一度ガクンと来て、週刊誌に書かれたりする。うまくいけばいくほど周りの人から妬まれる。そしてすぐに「悪」というレッテルを貼られる。
私が50年以上の経営で最も貴重だと思うのは失敗の経験だ。「なぜこんな失敗をしたのか」と考え、そこから始まる。次の次くらいにまた大きな成功がある。それが事業をしている人間の楽しみだ。
Q. 2025年の目標は何ですか?
10兆円を目標にしている。毎年大きな目標を掲げると「夢物語だ」と馬鹿にされるが、実現してきたから面白い。実現しなければ単なる嘘になる。
私は人生50年計画を一度作って実行し、140か所が実現した。次は新50年計画として売上100兆円を目指している。これが実現するのは120歳の時だ。若い人に夢を持ってほしい。