2025年のドル円相場は170円に到達か?円安トレンドが続く理由と対策
円は過去4年間ほぼ最弱通貨の位置にあり、構造的な問題を抱えている。2025年もこの傾向は続き、ドル円相場は170円まで上昇する可能性が高いと予測されている。なぜ円安が続くのか、その背景と個人が取るべき対策について解説する。

Q. 2025年のドル円相場はどうなるか予測は?
2025年もドル円相場の円安トレンドは続く可能性が高い。過去4年間、ドル円相場は平均で約10%上昇しており、この傾向が継続すれば2025年には170円に到達すると考えられる。予想レンジとしては150円から170円程度で、先に上昇した後に調整が入る展開が予想される。
日本円は2021年から2024年にかけて、主要通貨の中でほぼ最弱の位置にあり続けている。一方、米ドルは同期間、主要通貨の中で最強または上位に位置している。これは単なる循環的な現象ではなく、円が構造的に弱く、ドルが構造的に強くなっていることを示している。
Q. 円が構造的に弱い理由は何か?
円が構造的に弱い最大の理由は、実質金利が大幅なマイナスになっていることだ。日本のインフレ率に対して政策金利が低すぎるため、通貨の価値が低下している。
かつてはトルコリラも実質金利が大幅なマイナスで弱い通貨だったが、2023年後半から2024年初頭にかけての利上げとインフレ率の低下により、現在はプラスの実質金利を持つ通貨になっている。その結果、日本円が目立って弱い通貨となっている。
また、2024年は円建ての金価格が40%も上昇した。これは1979年以来の上昇率で、円の価値が大きく下落していることを示している。

Q. 日本はなぜ金利を上げられないのか?
日本が金利を上げられない理由としては複数の要因がある:
1. 金利上昇により円高・株安が急激に進む可能性がある
2. 政府債務が対GDP比で約260%と世界最高水準にあり、金利上昇で利払い負担が大きく増加する
3. 長期間のゼロ金利・マイナス金利環境に経済が慣れてしまい、急な金利上昇に対応できない可能性がある
日本経済は「ぬるま湯状態」に慣れてしまっており、利上げすると経済に大きな打撃を与える恐れがある。しかし利上げをしないまま、インフレ率が高止まりすれば、実質金利のマイナス状態から抜け出せず、円安要因が継続することになる。

Q. 円安のもう一つの要因は?
円安のもう一つの大きな要因は、対外直接投資の流出だ。日本からの対外直接投資が過去最高水準で続いており、2024年10月までの対外直接投資は過去最高だった前年とほぼ同水準となっている。
例えば、ソフトバンクは今後4年間で約1000億ドル(約15兆円)を海外に投資すると発表している。これは一企業の例だが、多くの日本企業が同様に海外、特に米国への投資を増やしている。
一方、これだけ円安が進んでも、対内直接投資はあまり増えていない。TSMCの熊本工場など一部の投資はあるものの、補助金に支えられているケースが多く、実質的な対内投資は少ない状況だ。

Q. 米国の政策変化はドル円相場にどう影響するか?
トランプ次期政権下での米国の政策も、ドル高要因になる可能性が高い。保護主義的な政策により、日本企業がメキシコではなく米国に工場を建設するなど、米国への投資が増加する可能性がある。
次期財務長官に指名されたスコット・ベッセントは、ドルの基軸通貨としての価値を維持する必要性を強調しており、ドル高を容認する政策が続く可能性が高い。
かつては「ドル安で輸出を促進する」という政策もあり得たが、現代はグローバリゼーションから保護主義の時代へと移行しており、為替レートよりも政策や規制で経済を動かす傾向が強まっている。そのため、意図的なドル安政策は取られにくい状況だ。
Q. 個人はどのように対応すべきか?
円安トレンドが続く中、個人の資産防衛策としては、一定程度のドル資産保有が有効だと考えられる。ただし、時間分散して少しずつドルや他の外貨に投資することが望ましい。
企業レベルではすでに「キャピタルフライト」(資本逃避)が起きており、今後は家計レベルでも同様の動きが出てくる可能性がある。一部の企業では従業員の給与をドルで支払うことを検討する例も出始めている。
ただし、極端な円離れは避け、長期的な視点での分散投資が重要だ。米国経済も長期的には様々な課題を抱えており、米ドル一辺倒のリスクも考慮すべきだ。
Q. 円安から脱却するために日本は何をすべきか?
円安から脱却するためには、日本企業が海外ではなく国内に投資したくなるような環境を整える必要がある。現状では、人手不足や様々な制約から、日本企業は海外投資を選択している。
政府が「国内投資を増やせ」と言うだけでは効果はなく、民間企業が自発的に国内投資を選択するような環境整備が重要だ。具体的には、移民政策の見直しや、生産性向上のための投資促進策などが考えられる。
日本企業が「もうアメリカには投資しない」と言えるような環境を作ることができれば、円安トレンドからの脱却も可能になるだろう。
