PIVOT TALK BUSINESS
成人発達理論に学ぶ、「人の器」の磨き方
(227)
1.2万回視聴
2024年12月23日

人の器とは何か?器の大きい人とはどんな人なのか?どうすれば器を磨き、広げることができるのか?オランダで成人発達学を研究している加藤洋平氏と、チームボックスCEOの中竹竜二氏に聞いた。 <ゲスト> 中竹 竜二|teambox代表 早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所勤務後、 早稲田...
「器を磨く」とはどういうことか?人間の発達と成長に関する深い対話
真・善・美のバランスが取れた人格形成が、現代人には求められている。ビジネスやAIの発達によって様々なスキルが代替されていく中で、根本にある「人間としての器」の重要性が増している。


Q. 「人の器」とは何でしょうか?
器とは、視野の広さ、視点の高さ、深さといった要素から成り立っています。それによって感情的な豊かさを持ち、様々な人の悩みを聞き、重要な意思決定ができる複合的な能力のことです。実際の「器」というメタファーが示すように、広く深ければ多くのものを受け入れることができ、包容力も大きくなります。
器の定義には研究者によっても違いがありますが、大きな特徴として自分だけでなく他者や社会全体のことを考えられる範囲の広さがあります。例えば、自分のことだけを考える人は器が小さく、家族、会社、地域社会、国、世界と考える範囲が広がるほど器も大きくなっていきます。
Q. 器が大きい人と小さい人の違いは何ですか?
器が大きい人は物事の捉え方が豊かです。ただ知識や経験が多いということではなく、多様な解釈ができ、それを統合して新しい洞察を生み出す力があります。ネガティブなことをポジティブに言い換えるのではなく、様々な視点が加わっていくことで見え方が豊かになっていきます。
一方で、器が小さい人は視野が狭く、自分の価値観でしか物事を判断できません。しかし、自分の器が小さいことを自覚している人は、それを磨くことができるため、結果的に成長することができます。自己認識が重要なのです。

Q. どうすれば器を大きくできますか?
器を大きくするためには、いくつかの方法があります:
1. 自己認識を深める:自分の器の大きさや特性を知ることが出発点です。リフレクション(振り返り)を定期的に行い、自分の中にある多様な感情や考えに気づくことが重要です。
2. 異なる視点を取り入れる:
- 自分で意識的に視点を変える(自力の道)
- 他者からフィードバックをもらう(他力の道)
- 360度評価などを正しく活用する
3. 多様な環境に身を置く:異質な存在との出会いを積極的に求め、様々な学習コミュニティに参加することで視野を広げることができます。
4. 自分の「美」を磨く:他者の評価を気にするのではなく、自分が本当に美しいと思うものを大切にする姿勢が、結果的に自分らしさを育み、器を磨くことにつながります。

Q. 現代社会において器の大きさはどのように関係していますか?
現代社会では、特にテクノロジーの発展やSNSの普及により、承認欲求が異常に高まり、自己評価が歪みやすくなっています。これは根本的には人間の持つ劣等感から来るもので、劣等感を隠すために優越性を求める傾向があります。
特にエリートと呼ばれる人々の中には、論理的思考は優れていても、感情的な豊かさや他者への配慮が欠けている場合があります。真の意味でのエリートとは、合理性だけでなく、社会や他者を尊重しながらより自他の利益を考えられる人であるべきです。
これからの時代は、真・善・美のバランスが取れた人格形成が重要になります。特に「美」の側面、つまり好き嫌いといった自分らしさの表現や、自分の価値観を磨くことが、現代では軽視されがちですが、年齢を重ねるほど重要になっていきます。
Q. 成功している人の器はどうなっていますか?
成功している人、特にスポーツ界や経営の世界で長く結果を出している人は、単なる合理主義だけでなく、アート的な側面も持っています。例えば、柔道の井上康生氏は人への配慮が素晴らしく、様々な場面で絶妙な判断ができるといいます。
また、渋沢栄一や松下幸之助といった歴史的な経営者も、最初から器が大きかったわけではなく、経験を通じて発達していきました。彼らは自分の利益だけでなく、社会全体を考える視点を持っていました。
興味深いのは、これらの人物が「精錬潔白」だったわけではないことです。器が大きいことと道徳的に完璧であることは別問題です。むしろ人間らしい弱さや欠点も含めて、それを超えていく力が器の大きさを示しています。
Q. ダイバーシティと器の関係はどうなっていますか?
真のダイバーシティとは、単に性別や年齢、障害の有無といった外見上の多様性だけでなく、価値観や世界観の多様性を受け入れることです。しかし、「ダイバーシティ」を唱える人ほど、実は排他的であることも少なくありません。
また、自分の中にも多様な側面(内なる多様な声)があることを認識することが、他者の多様性を受け入れる前提になります。自分の中の矛盾や葛藤に向き合い、それを受け入れられる人ほど、他者の多様性も受け入れられるようになります。
このような真の意味でのダイバーシティを実現するためには、ある程度の発達段階に達していることが必要です。器が大きくなると、自分と異なる価値観を持つ人でも受け入れられるようになるのです。