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トランプ政権 人事と野望
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2024年12月18日

徐々に明らかになってきた第2次トランプ政権の人事。この人事にはどのような狙いがあるのか? イーロンマスクはどのような役割を果たすのか? 経済アナリストのジョセフ・クラフト氏に話を聞いた。 <ゲスト> ジョセフ・クラフト|経済アナリスト 1986年カリフォルニア大学バークレイ校卒業後モルガン・スタン...
トランプ次期政権の戦略展望 - 中東・ロシア・経済の動向と日本への影響
経済アナリストのジョセフ・クラフトが語るトランプ政権2期目の展望と世界情勢への影響について解説します。中東問題からロシア・ウクライナ情勢、対中関係、そして日米関係まで、多角的な分析を紹介します。

Q. トランプ政権の中東政策はどのような方向性になるのでしょうか?
トランプの基本姿勢はアフガニスタン撤退の二の舞を避けたいという考えです。一度介入するとなかなか抜けられなくなるため、最初から関与を避けたいという意向があります。
しかし、トランプが親イスラエル・反アラブという見方は必ずしも正確ではありません。人事面では、娘婿ジャレッド・クシナーの父親が中東担当に任命される一方、アラブ系のアドバイザーも起用されており、バランスが取れつつあります。
特にサウジアラビアとの関係は良好で、モハメド皇太子とも親密な関係を築いています。第1期目でトランプが最初の訪問先に選んだのもサウジアラビアでした。これらの点から、必ずしもイスラエル一辺倒ではなく、中東全体とのバランスを模索する可能性があります。
また、トランプにはノーベル平和賞への強い願望があり、中東和平に何らかの形で貢献したい意向も見られます。

Q. シリア情勢とロシアの影響力低下について、トランプ政権はどう対応すると予想されますか?
アサド政権崩壊はロシアの影響力低下を意味するため、アメリカにとっては基本的にポジティブな展開です。しかし、シリア解放機構が実際に統治能力を持つか不透明な部分もあり、トランプ政権は様子見の姿勢を取る可能性が高いです。
シリアを見る上で重要なのはロシアの存在です。最近の情勢から、ロシアは予想以上に経済的に追い込まれている可能性があります。消費者物価指数は約9%と高インフレ状態にあり、通貨ルーブルも大幅に下落しています。さらに株式市場も30%以上下落しており、ロシア経済は深刻な状況にあると言えます。
こうした経済状況から、ロシアはシリア支援を縮小し、ウクライナ問題に資源を集中せざるを得なくなっている可能性があります。
Q. ウクライナ問題について、トランプはどのような対応を取るでしょうか?
トランプは選挙中、「就任初日に戦争を終わらせる」と主張していましたが、ロシアの弱体化が明らかになった今、少し戦略を変える可能性があります。ロシアの経済状況悪化を受けて、もう少しウクライナへの支援を継続し、ロシアが停戦交渉に応じやすくなるまで待つという選択肢も出てきています。
停戦交渉の成功にはウクライナとロシア双方が納得できる条件が必要です。これまではロシア寄りの条件を提示するのではないかと懸念されていましたが、ロシアの弱体化を受けて、より公平な条件を模索する可能性があります。
ウクライナ・ロシア特使に任命されたケログ氏は元軍人で、軍事面に詳しい人物です。外交交渉の経験は豊富ではありませんが、国務省や国防省、シンクタンクなどのサポートを受けながら交渉を進めていくことになるでしょう。

Q. トランプ政権の閣僚人事から読み取れる方針は?
外交安全保障チームには対中強硬派が多く配置されており、中国との対立が予想されます。国務長官のマルコ・ルビオや国家安全保障担当のマイク・ワルツはいずれも対中強硬派として知られています。
マイク・ワルツ氏は日米協会のメンバーで、配偶者が日本人という背景もあり、日本との関係強化を期待できる人事と言えます。
内政・司法チームには、トランプに忠誠心の強い人材が並び、司法による「復讐」を示唆する発言もあります。トランプは過去4年間、民主党政権下で複数の弾劾裁判や訴訟に直面しており、それに対する「報復」を意図した人事と見られています。
エネルギー部門では化石燃料重視の姿勢が明確で、環境規制緩和を進める方向性が示されています。エネルギー長官にはシェールガス発掘会社の元社長が起用されるなど、化石燃料産業を重視する意図が読み取れます。
Q. 不法移民の強制送還政策は実現するのでしょうか?
トランプは約1000万人の不法移民を強制送還すると主張していますが、実際にはその規模で実施することは困難です。国境警備隊の人員数には限りがあり、アメリカ全土から不法移民を見つけ出して送還することは現実的ではありません。
まずは国境での不法入国を防止することが優先され、その後段階的に強制退去を進めると思われます。バイデン政権と比べれば、より迅速かつ大規模な対応になることは間違いないでしょう。
バイデン政権下では、不法移民への対応が甘いというイメージが広がり、多くの移民が押し寄せる事態となりました。皮肉なことに、「壁を作る」と言っていたトランプよりも、実際にはバイデン政権の方が国境の壁を拡張する結果となっています。
Q. 対中政策はどのような展開が予想されますか?
対中強硬姿勢は明確で、議会では中国のPNTR(恒久的正常貿易関係)指定を剥奪する法案が早くも提出されています。これが実現すれば、トランプ就任後すぐに中国に対する関税を課すことが可能になります。
ただし、関税は一気に60%といった高率にはならず、段階的に10%、25%、40%と引き上げていく可能性が高いです。これは中国との交渉カードとして使われると見られています。
中国企業のアメリカ進出については、トランプの最終目的はアメリカでの雇用創出であるため、中国企業でもアメリカに投資するならば歓迎する可能性もあります。ソフトバンクの孫正義会長が1000億ドルの投資を表明したように、アメリカへの投資を約束することでトランプの支持を得る戦略も有効かもしれません。
Q. イーロン・マスクの影響力とテスラの展望は?
イーロン・マスクの個人資産は大統領選以降、大幅に増加し、約66兆円(4000億ドル)に達しています。これはテスラ株やSpaceXの株価上昇、さらにはドージコインなどの仮想通貨価格上昇によるものです。
テスラにとってトランプ政権は追い風となる可能性があります。テスラは政府補助金に頼る必要がなく、むしろ補助金がなければ国内のライバルメーカーに対して競争力を発揮できます。また、テスラの最大の脅威は中国のBYDなどの電気自動車メーカーであり、トランプが中国に関税をかければ、アメリカ市場でのテスラの優位性が守られることになります。
Q. 日本はトランプ政権とどう向き合うべきでしょうか?
トランプ政権と良好な関係を築くためには、「こちらから行け」というぐらいの姿勢で、トランプが食いつくようなパッケージを用意することが重要です。先手を打って提案することで、日米関係を有利に進められる可能性があります。
トランプ政権の中東政策は民主党政権よりも実効性が高い可能性があります。オバマ政権やバイデン政権は中東諸国との関係構築に苦戦していましたが、トランプはイスラエルのネタニヤフ首相とも親密で、サウジアラビアやUAEとの関係も良好です。このため、中東のキープレイヤーはトランプの言葉に耳を傾ける可能性が高いと言えます。
西側諸国の多くが政治的に不安定な中、アメリカのトランプ政権は比較的安定した政権となる可能性があり、国際政治における影響力は大きいでしょう。
