PIVOT TALK BUSINESS
日本の40、50代がリストラされやすい理由
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2024年12月12日

好業績にもかかわらず、リストラを行う大企業が増えている。なぜリストラが恒常化しているのか?どんな人がターゲットになるのか?再就職で給料は維持できるのか?「新型リストラ」のリアルを、リストラの専門家である岡井敏氏と、雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏に聞いた。 <ゲスト> 海老原嗣生|雇用ジャーナリス...
日本の定年制度はなぜ必要?650万円給与でずっと働ける「欧米型」雇用制度への転換が日本を救う
日本の雇用システムでは、年齢とともに給与が上昇し、その後リストラや定年退職という形でキャリアが途切れる構造になっている。この「日本型雇用」の問題点と、欧米のように年齢に関わらず給与が一定で長く働ける制度への転換について、専門家たちが語った内容をQ&A形式でまとめた。


Q. 日本の雇用システムの問題点は何か?
日本の雇用システムでは、正社員の給与は年齢とともに上昇する仕組みになっている。30歳時点と比較すると、50歳では約1.8倍まで給与が上がる。この上昇は、管理職になった人だけでなく、平社員のままでも起こる現象だ。
これが日本の雇用における多くの問題の根源になっている。企業にとって、実務に疎くなった高齢社員の人件費が高くなりすぎるため、リストラや早期退職の対象になりやすい。一方で若い人材は安く使えるため、新卒一括採用で大量に採用する傾向がある。
この給与構造は、長時間労働の常態化、ワークライフバランスの悪化、女性のキャリア中断、非正規雇用の問題など、日本の労働環境における様々な問題を生み出している。
Q. 欧米の雇用システムはどのように異なるのか?
欧米では、エリート層を除く大多数の労働者の給与は生涯ほとんど変わらない。フランスの例では、大卒者の給与は30歳時点で約480万円、50歳でも約600万円と、20年間で100万円程度しか上昇しない。事務職や製造業の労働者はさらに変化が少ない。
アメリカも同様で、30歳を起点とすると40歳で1.28倍、50歳で1.34倍、60歳で1.37倍と、日本と比べて上昇率が低い。
この給与体系により、高齢になっても若い時とほぼ同じ給与で働き続けることができる。また熟練があり教育投資が不要なため、高齢者がリストラされにくい構造になっている。さらに多くの国では年功序列の考え方があり、リストラする場合は若い人から解雇しなければならないという法律も存在する。

Q. 欧米型の雇用システムのメリットは何か?
欧米型の雇用システムには以下のようなメリットがある:
1. 高齢者も長く働き続けられる
2. 給与が上がらないため、リストラの心配が少ない
3. 労働時間が短く、早く帰宅できる
4. 休暇を取っても昇進に影響しないため、男性も育児休暇を取りやすい
5. ワークライフバランスが充実している
ただし、デメリットとして若年層の失業率が高くなる傾向がある。欧米の若年失業率は日本の3〜4倍で、フランスでは25%(4人に1人)が失業している状況だ。
Q. 日本の雇用システムを変えるにはどうすればよいか?
日本型雇用から欧米型への転換として、以下のような改革が考えられる:
1. 「ノーエリートコース」の導入:管理職にならず平社員のまま、給与は650万円程度で一定というコースを設ける
2. 「トップエクステンションコース」:経営者を目指す人向けに、厳しい試練を与えながら給与も上昇するコース
このような二分化により、ワークライフバランスを重視したい人は給与が上がらなくても安定して長く働けるようになる。管理職になりたくない人が多い現状(アンケートでは53%が管理職になりたくないと回答)を考えると、この改革は多くの人のニーズに合うと考えられる。
また、共働き世帯が増えている現在、夫婦それぞれが650万円程度稼げば合計1300万円となり、十分な生活水準を維持できる。
Q. この改革を実現するための課題は何か?
このような雇用システムの改革には、以下のような課題がある:
1. 企業文化・風土の変革:「給与は上がるもの」という固定観念からの脱却
2. 法制度の変更:高度プロフェッショナル制度を拡大し、年収650万円程度の労働者にも適用できるようにする
3. 社会的認識の変化:年下の上司に管理されることへの抵抗感をなくす
4. 新卒採用への影響:入社時点でコース分けすると、志望者のモチベーションに影響する可能性
既に人材紹介業界などでは部分的に導入されており、成功例もある。例えばリクルートでは現場職として働く人が650万円程度の給与で長く働ける仕組みがあり、そこでの経験を活かして他社でも同様の仕事ができる環境が整っている。

Q. どのような企業がこの改革を先駆けて導入すべきか?
この改革を導入するには、以下のような企業が適していると考えられる:
1. 設立から20〜30年経過し、40〜50代の社員が増えてきた企業
2. メガベンチャー企業(2000年代に成長した企業など)
3. 専門性の高い業種(例:銀行の法人融資担当者など)
特に銀行業界では、社員を10年かけて育成しても50歳でリストラし、また新卒を採用して一から育てるという非効率な仕組みが続いている。650万円程度の給与で長く働ける制度があれば、培った専門性を活かし続けることができる。
こうした改革は、女性だけでなく育児に関わりたい男性にも人気が出る可能性が高く、労働力不足の時代における企業の競争力向上にもつながるだろう。