PIVOT TALK BUSINESS
新型リストラのリアル。45〜55歳がターゲット
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2024年12月11日

好業績にもかかわらず、リストラを行う大企業が増えている。なぜリストラが恒常化しているのか?どんな人がターゲットになるのか?再就職で給料は維持できるのか?「新型リストラ」のリアルを、リストラの専門家である岡井敏氏と、雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏に聞いた。 <ゲスト> 海老原嗣生|雇用ジャーナリス...
「ホワイトカラーのリストラが増える理由と今から備えるべきこと」
多くの大企業が業績好調にもかかわらず人員削減を進めている。なぜ黒字企業でもリストラが増えているのか?特にミドル層のリストラ対象になりやすい理由は何か?リストラに備えて今から何をしておくべきか?リストラ支援の専門家に聞いた。


Q. 黒字企業なのに、なぜリストラが増えているのでしょうか?
今の産業構造が大きく変わる中で、企業は「調子のいい事業」により人とお金を集中させる必要があります。そうでない事業は売却するか、縮小するか、撤退するかの選択を迫られています。これが日本経済の中ではっきりしてきたことが背景にあります。
リストラクチャリングとは本来「事業再構築」という意味で、事業の再編成を行うことです。現在起きていることはある意味、当然の流れといえます。
Q. いつ頃からこのような傾向が出てきたのでしょうか?
日本のリストラには歴史があります。1990年代前半、バブル崩壊後の時期に、外資系企業がたまにリストラを行うようになりました。IBM等が先駆けでした。
転機となったのは90年代後半です。1998年12月頃に株価が最低になり、銀行や証券会社が倒産する事態になりました。景気が悪化し、多くの大手企業が赤字に転落しました。この状況を打開するために、1999年10月に某自動車メーカーがリバイバルプランを発表し、日本で最大の自社工場を閉鎖しました。
これをきっかけに多くの大手メーカーがリストラを始め、一般化していきました。特に2010年代の中盤から後半にかけて急速に加速しています。

Q. なぜ今、ホワイトカラーのリストラが増えているのでしょうか?
大きな要因として、株主構成の変化があります。90年代後半から外資の比率が高まり、株式の持ち合いがなくなり、アクティビストが多く入ってきました。
それまでの日本企業は利益率が低くても問題なく、多角化した事業形態で赤字部門も抱えながら経営することが可能でした。しかし、株主からの圧力で収益性の低い事業を切り離すことを求められるようになりました。
また、リストラを何度か経験した企業では、その手法が確立されてきました。中期経営計画にリストラ(希望退職)の実施が明記されることも増えています。

Q. ホワイトカラーのリストラは、製造業のリストラとどう違うのでしょうか?
元々、リストラは大手製造業の工場閉鎖など、ブルーカラー中心でした。しかし近年は、IT系企業など比較的新しい企業でもリストラが行われるようになっています。
対象となる年齢層も変化しています。以前は50代後半が中心でしたが、現在は50代前半から40代へと若年化しています。
製造業のリストラでは、同じ技能を活かせる仕事への転職が比較的容易でした。一方、ホワイトカラーは職種によって状況が異なります。財務・経理、営業など他社でも求められる汎用的なスキルを持つ人材は転職しやすいですが、社内特有の仕事をしていた人は難しい場合があります。
Q. リストラ対象になりやすいのはどのような人でしょうか?
部門よりも年齢と年収が大きな要素となっています。日本の雇用体系では給与のピークは55歳前後にあり、その手前の45~55歳が最もリストラのターゲットになりやすい層です。
特に45歳から55歳の間は、家庭を持っていれば教育費などでお金がかかる時期であり、次の仕事への適応も難しくなってくる年代です。できれば40代前半の早い段階で転職を考えた方が有利です。
また、実際のリストラでは、企業側は特定の人数を目標にします。たとえば1000人の人員削減を目指す場合、何歳以上の社員が対象か、どの程度の割増退職金を用意するかなど、様々な条件を設定して目標人数に近づけるよう設計します。
Q. リストラ後の再就職の状況はどうなっていますか?
再就職支援会社のデータによると、リストラ後1年で約90%、半年でも70~80%の人が再就職しています。ただし、年収は大幅に下がるケースが多く、例えば年収900万円だった人が600万円程度になることも珍しくありません。
大企業から中堅・中小企業へ移るケースが多く、年収は3~4割下がる傾向があります。特に45~55歳の場合、年収維持できる確率は45歳で準備していれば3割程度、55歳ではほぼないと言われています。
Q. AIの発達で、ホワイトカラーの需要は減るのでしょうか?
労働力不足の状況があるため、急激に減るということはないでしょう。ホワイトカラーの仕事の多くは、人と人とのコミュニケーションが重要な要素を含んでおり、完全にAIに置き換わることは考えにくいです。
例えば経理の仕事も、単純な数字の処理だけでなく、関係者とのコミュニケーションや経営層へのプレゼンテーションなど、AIだけでは完結しない要素があります。営業職も同様に、AIでは代替しにくい仕事です。
ホワイトカラーの仕事の中で、営業職が占める割合は非常に大きく、これらの需要がすぐになくなるとは考えにくいです。
Q. リストラに備えて、今からできることは何でしょうか?
最も重要なのは、自分の市場価値を知ることです。求人サイトに登録して、どのような求人があるのか、自分にどのようなオファーが来るのかを日頃から確認しておくことが大切です。
初めは希望する条件の求人がなくてショックを受けるかもしれませんが、それを知った上で自分に足りないスキルを磨くことができます。小さなリスキリングを自分で行い、市場価値を高めていくことが予防策として有効です。
また、大企業で身につけた仕事の仕組みやノウハウを言語化し、他社でも活用できるようにしておくことも重要です。例えば、営業の売上予測管理や生産性向上の仕組みなど、中小企業にとって価値のあるスキルを持っていれば、転職市場での評価は高まります。
これからはホワイトカラーでもリストラが増えていく時代です。誰にでもリストラはあり得ると考え、早めに準備をしておくことが大切です。