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日本の農業は世界で勝てる。クオリティが圧倒的
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2024年12月12日

衰退が続く日本の農業。しかし、品質、美味しさでは世界トップレベルだ。りんごに集中してアジアに輸出し、急成長を遂げている日本農業。そのトップである内藤祥平CEOに、日本の農業の課題とポテンシャルについて聞いた。 <ゲスト> 内藤祥平|日本農業 代表 1992年生まれ。慶應義塾大学法学部在学中にイリノ...
「農業を衰退産業から成長産業へ」──内藤祥平氏が語る、日本農業の輸出戦略と未来
日本の農業は輸出産業として大きな可能性を秘めている。株式会社日本農業の共同創業者である内藤祥平氏は、高品質な農産物の海外輸出に取り組み、新たな成長市場の開拓に挑戦している。日本の農産物はアジア市場で高く評価され、特にリンゴ、キウイ、さつまいもなどの輸出が拡大中だ。内藤氏は農業を衰退産業から成長産業へと転換させるための戦略を持ち、農地の集約や大規模生産の促進を提唱している。
Q. 政治家に何でも政策を提案できるとしたら、何を実現してほしいですか?
農業の輸出促進を最重要課題として位置づけるべきです。新しい需要を開拓することが商売において最も重要で、輸出はとにかく大事だということを前提に政策を構築することが必要です。その上で、農地の集約及び大規模な生産をより活発に促進すること、さらにそれをつなぐ物流網の構築が重要です。
シンプルに言えば、ゲームのルールを変えて、これまでの衰退産業のルールに使っているリソースを成長産業のゲームに使うリソースに振り替えることが何よりも重要だと考えています。
Q. 日本の農業の強みはどこにあるのでしょうか?クオリティだけで勝てますか?
クオリティで勝てます。品質を上げるのは、目先のことだけでやっても費用対効果が合わないものです。新しい品種や栽培方法で生産性を上げる技術は誰でも真似できますが、品質向上は資本主義の世界では整合性が取りにくい分野です。
日本の農家はこだわりを持って50年、60年と長年品質向上に取り組んできました。海外も品質向上に多額の予算を投下していますが、日本の強みはまだ10年、20年は続くでしょう。日本人は美味しいものが大好きで、美味しいものを食べて育つと味の感性が磨かれます。そういう消費者が多い国で、その舌を喜ばせるために育種から様々な技術を培ってきたのが日本の農業であり、世界で戦える貴重な資産だと思っています。

Q. 現在はどのような農産物を輸出していますか?
主にリンゴ、キウイ、さつまいもを輸出しています。リンゴはアジア向け、さつまいもはカナダやドイツなどの欧米向けにも出荷しています。最近では梨や桃の輸出も始めました。
特にキウイは面白い品目です。世界市場ではニュージーランド産が8割以上を占めていますが、ニュージーランドのキウイは保存性が良く9ヶ月ほど持ちます。しかし1月から3月の間はニュージーランド産が市場から消えるため、アジアではキウイが消費されなくなります。この時期に日本産の良質なキウイを供給できれば、大きなビジネスチャンスになると考えています。
Q. 輸出先はどの国・地域が中心ですか?
現在は台湾や香港が中心ですが、今後は東南アジアが有望です。一人当たりGDPで見るとベトナムはそれほど高くありませんが、実際のビジネスでは、ベトナム人が高級フルーツにお金を払ってくれる傾向が強まっています。
さらにインドネシアなど人口が多く、富裕層が増えている国々からの需要も今後増えていくでしょう。リンゴについてはアジアに特化し、さつまいもはカナダやドイツなど欧米向けにも出荷しています。欧米では店頭で焼き芋にして販売したり、アジア系の人々が自宅で様々な調理法で食べたりしています。
Q. アジア市場での需要は今後も拡大すると見ていますか?
需要は永続的に拡大すると思います。グローバルでの需要サイドで言うと、アジアの人口増加と一人当たりGDPの上昇は確信できるトレンドです。フルーツへの需要は伸び続け、供給側でも日本は良い状態にあります。
アメリカなどでは人件費の高騰により、時給3000円でないと農場で人を雇用できなくなっています。大規模化が進んでいても価格は上昇していく一方です。日本は品質が良く、価格を安定させる努力をしていけば、「美味しいのに高すぎない」というポジションを確立できます。アジア市場の拡大に合わせて供給していけば、少なくとも20年単位では強固なトレンドになるでしょう。

Q. 御社の現在の規模と今後の展望を教えてください
現在、従業員は約180人で、半分が生産現場でオペレーションを回すメンバー、残り半分が販売や事業開発を担当するメンバーです。リンゴの取扱量は年間2万トン程度で、青森県全体の生産量40万トンの約5%です。
今後5年で10%から20%のシェアを目指しています。そのレベルまで拡大できれば、輸出を中心に新たな需要を開拓するビジネスとして、衰退産業から成長産業への転換が実現し、産地の人々の生活も変わっていくでしょう。
Q. シェア拡大のために何が必要ですか?
このビジネスは掛け算ではなく足し算のビジネスです。1万を2万にするのと2万を4万にするのは同じ倍率でも、積み上げ型の世界なので成長速度を維持するのは徐々に難しくなります。頭を使って、一つ一つやるべきことをしっかりと実行していくことが大切です。
青森などの生産地ではどんどん耕作放棄地が増えているので、そこを引き取って実績を出していけば、徐々に着実に規模を拡大できると考えています。
Q. 農協との関係はどうなっていますか?
農協は農家の所得を上げることを重視する組織で、輸出は所得向上のための重要な手段です。私たちは農協が集荷した農産物を仕入れて輸出したり、農協の設備を活用させてもらうなど、様々な取り組みを行っています。
農協は日本の農業を形作ってきた先輩であり、多くの知見を持つ組織です。助けていただきながらビジネスを進めています。
Q. 農業の古い慣習や関係者とはどのように関係を築いていますか?
結局は結果を出すしかないと思っています。農家さんが私たちにリンゴを出荷するということは、人生をかけてくれているようなものです。私たちが販売に失敗して低い値段でしか売れなかったら、農家の生活に直接影響します。
輸出で販売単価が上がるという理論よりも、実際に1年通して売り切った時の結果をお見せすることが重要です。引き受けた畑をしっかり管理し、預かった農産物をきちんと売り切る、それを毎年繰り返すことで信頼を積み上げていくしかないと考えています。
Q. 農業は株式会社にとって魅力的な産業ですか?今後企業の参入は増えますか?
どんどん参入してきてほしいですし、これから増えると思います。農業は世の中のビジネスアイデアの中で、収益性のランキングでは下の方に位置していたため、これまであまり企業が参入してきませんでした。しかし今、そのランキングは変わりつつあり、他の産業が飽和している中で、農業はかなりの白地図(ホワイトスペース)があります。
徐々に成功事例が出てくれば、農業に対する見方も変わってくるでしょう。ただ、若い人材はまだまだ少ないのが現状です。

Q. ビジネスモデルはどのようになっていますか?
私たちは生産原価を半分に抑えられる収益性の高いビジネスモデルを持っています。しかし100ヘクタールの生産には30億円の投資が必要です。日本農業だけで1000ヘクタール、2000ヘクタールの規模は難しいため、高密度栽培のノウハウを持ち、やりたい農家さんや企業にそのノウハウを提供しています。
自社ですべて生産するのではなく、良い栽培方法や流通の仕組みを皆さんと一緒に取り組むスタイルです。生産もしますし、商社のように皆さんが集めた農産物を販売するプラットフォームの役割も果たしています。
Q. 日本の農業は本当に大きな輸出産業になり得るのでしょうか?
なり得ると思います。そのために必要なのは新しいことというよりも、ゲームのルールが変わったことを認識し、成長産業のルールのもとで意思決定し行動することです。衰退産業の中では規模拡大や生産量増加は得策ではありませんでしたが、需要が増えている今は、大規模化して投資をする、そして政府もそれを後押しするという当たり前のことが重要です。
大規模な産地がいくつか出てくれば大規模選果場も必要になり、そこに技術を導入するという流れが生まれます。ただ、何十年も続けてきたやり方を変えるには強いエネルギーが必要で、そこをしっかりとやり切れるかどうかが最も重要です。
