健康新常識
ハーバード博士が教える「正しい健康情報の見抜き方」/行動と習慣化
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2024年12月10日

健康に関するこれまでの常識を疑い、健康業界のトップランナーが新たな角度から導き出した「新常識」を紹介する新番組。第1回後編はハーバード博士が教える「正しい健康情報の見抜き方」「行動と習慣化」。 <ゲスト> 林 英恵 Down to Earth 代表 <参考書籍> 林 英恵『健康になる技術 大全』...
健康習慣が続かない人へ!専門家が教える「行動と習慣化」のコツ
健康的な生活を送りたい、新しい習慣を身につけたいと思っても、なかなか続かない…そんな経験はありませんか?「意志が弱い」と自分を責めていませんか?実は健康的な行動ができない原因は自分だけにあるわけではないのです。公衆衛生学者の林英恵氏が語る「行動と習慣化」の新常識を紹介します。

Q. 健康情報の「エビデンス」とは何ですか?
健康情報があふれる現代社会で、正しい情報を見極めることは重要です。エビデンスとは科学的根拠のことで、ある科学の方法に則って検証されたデータに基づく科学的根拠を指します。
エビデンスには強弱があり、ピラミッドの形で表現されます。上に行くほどエビデンスの質が高く、下に行くほど質が低くなります。最も質が低いのは「専門家個人の意見」や「動物実験の結果を人間に当てはめたもの」です。
健康の世界で「絶対」という言葉は存在しません。専門家が「絶対」「決して」などと断言している場合は注意が必要です。質の高い研究者はそういった単語を避ける傾向があります。
また、「還元主義」にも注意が必要です。これは一つの原因から結果を単純に決めつける思想のことで、「このお茶を飲めば健康になる」「これを食べれば若返る」といった表現がこれに当たります。実際には、病気になることも健康になることも、複数の要素が重なって起こるものです。

Q. 健康的な行動がとれないのは自分のせいですか?
健康的な行動がとれないのは、決して自分の責任ではありません。アメリカのCDC(疾病対策予防センター)のデータによると、健康を決定する要因のうち、半分以上を占めるのは「社会経済的状況を含む環境」です。
具体的には、どんな仕事についているか、収入はどれくらいあるか、どんな地域・家に住んでいるか、どの程度の教育を受けたかなどが、健康行動に大きく影響します。例えば日本を含む世界各国のデータでは、教育年数が多い人ほど喫煙率が低いことが明らかになっています。
さらに、私たちの日常の選択(例えば今日のランチ何を食べるか)にも、周囲の人間関係や所属する組織の社風などが大きく影響しています。アメリカの研究では、上司の働き方への柔軟性が社員とその家族の睡眠時間やジャンクフードの摂取率にまで影響するというデータもあります。
つまり、自分ではコントロールできない部分が大きいからこそ、コントロールできる部分は戦略的に取り組むことが重要です。例えば、引っ越しや転職、結婚、出産など、環境が変わるタイミングを健康習慣を身につけるチャンスと捉えましょう。

Q. 健康的な行動を続けられない理由は何ですか?
健康的な習慣を続けられない理由には、人間の特性が関係しています。例えば「アフェクトヒューリスティックス」(メンタルショートカット)と呼ばれる特性があります。これは論理的には良くないと分かっていても、感情や直感に基づいた行動をとってしまう傾向のことです。
また「認知不協和」という認知の歪みも影響します。例えば「お酒を控えたい」と思いながらも実際には控えられない時、「今日は飲んだ方がストレス解消になる」「飲んで楽しくした方が健康的だ」などと考えることで、行動と思考のギャップを埋めようとします。
こうした特性は誰にでもあるもので、自分が意志薄弱なわけではありません。大切なのは、そういった思考パターンに陥りそうになった時に一歩引いて客観的に見ること。「あ、私は今こういう風に考えようとしているな」と自分を分析してみることが第一歩です。

Q. 習慣化はなぜ難しいのですか?
習慣化が難しい理由の一つは、楽しさや心地よさが不足していることです。健康的な習慣を身につけるには、その行動自体が楽しいと感じられることが重要です。
また、習慣化には時間がかかります。「21日で人は変わる」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは俗説です。実際には平均2ヶ月ほどかかり、個人差も大きく、半年から1年かかる人もいます。
習慣化のプロセスには4つのステージがあります:
1. 決意する
2. 行動に移す
3. 繰り返す
4. 習慣として形成される
研究によると、決意から行動に移せるのは47%の人だけです。つまり、行動に移せただけでも自分を褒めるべきなのです。
習慣化で最も重要なのは「最初の1ヶ月」です。この期間に集中的に取り組むことで、その後の習慣化が格段に容易になります。例えば運動習慣をつけたい場合、最初の1ヶ月は週5日程度行うことを目標にしましょう。
Q. 習慣化を成功させるコツは何ですか?
習慣化を成功させるコツは、「既存の安定した習慣に新しい習慣をくっつける」ことです。人間の日常生活の約40%は無意識の行動で成り立っています。この無意識の行動に新しい習慣を結びつけることで、習慣化がしやすくなります。
例えば「歯磨きをした後に運動する」「お風呂上がりにストレッチをする」など、必ず行っている行動の後に新しい習慣を組み込みます。その際、時間で決めるのではなく、行動で決めることが大切です。「毎日8時に運動する」と決めると、残業や会食などで予定が狂った時に実行できなくなります。
また、リマインダーを使う、記録をつける、健康的な生活をしている人と繋がる、自分の目標を他人に宣言するなども有効です。
子どもの習慣化も基本は同じで、習慣作りをしやすい環境を整えることが大切です。例えば、子どもが一人で寝る習慣をつけたい場合は、一人でも安心して眠れる環境を作り、成功体験を積ませることが重要です。押し付けるのではなく、子どもがその行動をとりやすい「箱」を作ってあげる意識が大切です。
習慣化は基本的に難しいものだと理解した上で、コツをつかんで戦略的に取り組むことが成功への近道です。