PIVOT TALK BUSINESS
下流化する日本の雇用市場。40歳からのキャリア防衛戦略
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2024年12月4日

労働人口の減少もあり、市場が急成長している採用ビジネス。今後、AIの進化などにより、業界の競争構図はどう変わるのか?勝者と敗者は誰か?『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』の著者である黒田真行氏に、2030年までの採用ビジネスを予測してもらった。 <ゲスト> 黒田真行|転職コンサルタン...
40歳からのキャリアは30代の延長線上になし!35歳定年で「稼げるエッセンシャルワーカー」へ
日本の雇用市場が大きく変わりつつある。中流ホワイトカラーの層が縮小し、テクノロジスト・データサイエンティストなど一部の人材だけが上に伸び、大半は下層へと押し出されていく構造が鮮明になってきた。40歳以降のキャリアはどう考えるべきか、転職のプロフェッショナル・黒田真行氏に聞いた。

Q. 40歳からのキャリアは30代の延長線上にはないのですか?
40代に入ると外部からの見られ方が大きく変化する。30代までは即戦力のプレイヤーとして見られるが、40代になると「将来経営を任せられる人材かどうか」という視点で評価される。
内面的には昨日まで30代だった自分と何も変わらないと感じても、外部からの評価軸は完全に変わる。自己認識と外部評価のギャップが生じやすく、45歳になっても自分では30代のつもりでいる人は多いが、外からの見られ方を理解して対応しないと後で苦労することになる。
Q. 日本の雇用市場はどのように変化していますか?
日本の雇用市場は「卵型のゴムボール」のような形から変化している。中流ホワイトカラー層(年収400〜700万円程度)がぎゅっと絞られ、下層部分が膨らむ構造に変わりつつある。一部のテクノロジスト、データサイエンスに強い人材だけが上部へ伸び、大半は下方へ押し出されていく。
この傾向は2000年代以降、日本の製造業の国際競争力低下とともに徐々に進行してきたが、近年のAI技術の進展でさらに加速している。大手メーカーでのリストラや希望退職の動きはこの20年以上続いているが、まだ終わっていない。
Q. エッセンシャルワーカーは本当に稼げるのですか?
エッセンシャルワーカー=低報酬という図式は既に崩れつつある。例えば、定年を控えた人が転職する場合、ホワイトカラー職では年収が3割下がるケースが一般的だが、エアコン取付などの技術職に就くと逆に年収が上がることもある。
エッセンシャルワーカーの具体例としては、タクシードライバーや物流・宅配関連の仕事、ビル管理などがある。特に人手不足の分野では単価が上昇しており、フルタイムで働いた場合の年収は「中途半端なホワイトカラー」よりも高くなっている。
ボイラーのメンテナンス資格など、特定の技術資格を持っているとさらに付加価値が上がる。そして多くの資格は3級レベルなら1ヶ月以内、数ヶ月程度の講習で取得可能なものも多い。

Q. 40代後半で世代交代の波が来るというのは本当ですか?
ほとんどの企業では、実際には30代のうちに選別は終わっている。しかし企業はできるだけ社員のモチベーションを保つため「いつか出世のチャンスがある」と言いながら引っ張り、40代後半になってようやく「ポジションを部下に譲ったらどうか」という話が出てくるパターンが多い。
終身雇用が機能していた時代はこれでも良かったが、現在のように45歳以上で希望退職が募られるような状況では「裏切られた」という感情が生まれる。近年は早めに「セカンドキャリアを考えたら」と言ってくれる企業も増えてきたが、それでも遅い。
本来は35歳くらいで全員一度定年にして、そこから残るか残らないかを決めさせる方が、個人にとっても社会全体にとってもフェアだろう。35歳からまだバリバリ働ける人が適切な場所に移動することで、日本全体の生産性も向上する。

Q. 40歳からのキャリア防衛戦略はどうすればいいのでしょうか?
1. 会社以外に稼ぐ方法を持つ:40歳になった時点で、会社以外に稼ぐ選択肢を自分で作っておくことが重要。副業も単なる小遣い稼ぎではなく、将来本業になり得るものをテストするという意味で取り組むべき。
2. 雇われずに生きていける選択肢を持つ:誰かに雇われないと働けないという考え方にロックされていると、雇用機会が減った途端に恐怖を感じ自信を失う。これが中高年の自殺問題にも直結している。精神的な余裕を持つためにも、雇われずに生きていける道を考えておくべき。
3. インプットを継続する:自分のポテンシャルを引き出すため、何歳になってもインプットを続ける習慣を持つことが大切。若いうちからの習慣が重要で、インプットし続ける人は何歳になっても自分を変化させていける。
4. 幅広い人脈を構築する:年を取るほど人との繋がりが生命線になる。プラス15歳、マイナス15歳の範囲(親子世代分)の人脈を意識的に作ることで、いざという時の「非常口」の幅が広がる。上の世代だけに頼ると、その人たちが引退していくにつれてネットワークが縮小してしまう。
Q. ホワイトカラーの人はどんな副業や個人事業を考えるべきですか?
職種によってアプローチが異なる。「バーティカル(垂直)な職業」と「ホリゾンタル(水平)な職業」で選択肢が変わる。
バーティカルな職業(メーカーのセールスなど他の仕事に転用しにくい職種)の場合は、業界内のフリーコンサルタントや専門家として独立するケースが多い。
ホリゾンタルな職業(経理、人事など多くの会社に共通する機能)の場合は、例えば経理マネージャーなら「月次決算の業務だけを月10万円で請け負う」といった形で、特定の業務に特化したサービスを複数社に提供するモデルがある。1社で120万円の売上、10社で1200万円になる計算だ。
Q. 35歳までに何をしておくべきですか?
35歳までに一度転職して別の環境を経験することは良い体験になる。これにより環境適応力も高まる。
また、40歳になった時に「50歳になった時点でどんな責任を果たせる人間になりたいか」を決めて、そこから逆算するプランBを持っておくことも重要。30代の延長で考えるのではなく、将来の50代から逆算して考えることで、全く違う視点が得られる。
スタートアップと大企業の両方を30代までに経験しておくと、バランスの良いキャリアを築きやすい。大企業もスタートアップもそれぞれモノカルチャー化しやすいため、異なる環境や異なる世代との「異種格闘技」的な経験が価値を持つ。

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なお、現在のエッセンシャルワーカーへの価値観は徐々に変化している。「3K」や肉体労働というイメージが強いため、まだ多くの人はあまり得ではなくなっているホワイトカラーを選ぶ傾向があるが、実際の収入や需要を考えると、大歓迎され収入も上がるエッセンシャルワーカーの道を選ぶ方が結果的にハッピーになる人も多いだろう。