Deep Interview
高橋弘樹とメディアの未来。折田さん問題、陰謀論、財務省批判、真実と本音
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2024年12月3日

石丸現象、玉木人気、兵庫県知事選。その全てに多大なる影響を与えた、経済メディアの「ReHacQ」リハック。創設者でプロデューサーの高橋弘樹氏は、今のメディアで起きている大変化をどう捉えているのか?直撃インタビューした。 <ゲスト> 高橋弘樹 | 株式会社tonari CEO・経済メディア「ReHa...
政治は面白くあるべき、人の表情までがファクト。高橋弘樹が語るメディアの未来とは
政治コンテンツがより多くの人に届き、投票率が上がることは社会にとって良いことだ。YouTubeを中心に新しいメディアが台頭する中、どのようにして政治や社会問題を魅力的に伝えていくべきなのか。リハックの高橋弘樹が語るメディアの未来観とは。

Q. YouTubeは参入障壁が低く、広大なブルーオーシャンと言えますが、今後デジタルを起点としたメディアはどうなると思いますか?
YouTubeのような動画プラットフォームで真面目なメディアをやることは難しい面があります。同時接続ランキングやチャンネル登録者数ランキングを見ると、ゲーム配信やVTuber、エンターテイメント系が上位を占めています。個人の強いメディアはすでに存在していますが、真面目なメディアとして確立しようとすると厳しい側面があります。
エンターテイメントと競争するのは確かに難しいですが、政治をエンターテイメント化することで政治コンテンツを盛り上げることは可能です。実際、最近の選挙では投票率が上がりました。投票率が上がることは非常に珍しく、特に地方選挙では投票率の向上はあまり見られません。これは政治報道が変わってきている証拠かもしれません。
Q. 政治報道はなぜ堅苦しいイメージがあるのでしょうか?
従来の政治報道は真面目すぎたところがあります。また、政権側からの圧力的な説明が強い時には、視聴者としても辛い印象を受けます。バランスの取れた報道があった方が良いと思います。もちろん、政治家の発言に騙されないよう注意することも大切です。
政治報道というよりも「政治コンテンツ」としてお祭り化していくことは良いことだと思います。アメリカの大統領選はまさにお祭りのようなものです。片方では政治家の良いところを淡々と描くメディアも必要です。ただし誹謗中傷ではなく、クリティカルシンキングによる建設的な議論が重要です。
また、もっと深い哲学的な視点も大切です。法治主義、民主主義、資本主義とは何か、それらの歴史的背景や不完全さを理解した上で、どう改善していくべきかを考える視点が必要です。
Q. 最近の財務省批判は行き過ぎではないでしょうか?
「財務真理教」といった言葉が生まれていますが、こうしたキャッチコピーは強力で、正しく使わなければ危険です。物事を見る時には作用と反作用があります。「財務真理教」と言われるのは行き過ぎかもしれませんが、何らかの作用があったからこそ、そうした反作用が生まれているのでしょう。
財務省の職員の99%は優秀で善意でやっていると思います。しかし、1%に問題があれば反作用が出てきます。財務省には財政は見られても経済については見る機能が十分でないのかもしれません。景気対策を打ちにくい構造があるのかもしれません。また、歴史的な経緯で権限の切り離しなどがあり、バランスが崩れている可能性もあります。
財務省が批判されている理由をちゃんと理解するために、財務省の事務次官にインタビューするのも良いかもしれません。
Q. なぜ高橋さんは人の懐に入って本音を引き出せるのですか?
二つのルールを設けています。一つは「生前説」。もう一つは「答えなくてもいい」というルールです。ただし、答えられない理由はなるべく丁寧に説明してもらうようにしています。なぜ理由を説明してほしいかというと、そうしないと陰謀論が生まれるからです。
ビジネスパーソンなら誰でも分かるはずですが、言えないことはたくさんあります。誰かを守るために言えないこともあります。ほとんどの人は自分のことを「いい人間だ」と思っています。だから、言えない理由があるなら、どこまでは言えて、どこからは言えないのか、そしてなぜそれが言えないのかを説明することで陰謀論を減らせます。
陰謀論は危険で攻撃的になりがちです。世の中に陰謀論を信じている人がいるとしたら、それは陰謀論に染まっている人の責任ではなく、メディアや説明してこなかった人の責任です。いや、説明してこなかった人の責任でもなく、説明できる環境を作れなかったメディアの責任だと思います。
Q. 影響力が高まるメディアとして何が大事ですか?
ファクトをしっかり見ながら、フェイクではないものを広げていくことが重要です。ただし、ファクトというのは単に言葉だけではなく、話し手の表情や笑顔など、非言語的な要素も含めて全てがファクトです。
活字だけではなく、実際に話す様子や表情から伝わるものもあります。活字には活字の良さもあり、人の関心を引く強い言葉を作ることもできます。寺山修司の文章のように、文章そのものに価値がある場合もあります。それぞれの良さを使い分けていくべきです。
Q. PR業界の「盛りすぎ問題」についてどう思いますか?
PR業界では経歴を盛ることがあるという問題がありますが、私の見解では「持っている」部分があってもいいと思います。ただし嘘はついてはいけません。
この問題の本質は哲学的な話に関わります。真実は人によって見え方が違います。同じ水色のキャップを見ても、ある人は水色と呼び、別の人は青と呼ぶかもしれません。これは育った文化や教育によって言葉の認識が異なるからです。インドの「青」と英語の「blue」と日本の「青」は微妙に違います。
同様に、選挙の仕事においても、経験の多い選挙プランナーから見れば「これは主体的な仕事ではない」と思われることが、経験の少ない人からは「自分は主体的に関わった」と感じられるかもしれません。これは立場や見え方の違いであり、どちらかが嘘をついているという単純な話ではありません。
物事は見方によって真実が異なりうるという視点で議論した方が、落ち着いて話し合えるのではないでしょうか。
Q. メディアが伸びていく中で最大の敵は何でしょうか?
メディアが伸びていく中での最大の敵は、おそらく満心や自己承認欲求でしょう。スタートアップ企業の多くは、メディアに取り上げられて資金調達に成功し、舞い上がった後に消えていきます。
具体的な失敗パターンとしては、高級マンションを購入したり、派手な生活を始めたりすることです。特に六本木や西麻布のような場所での女性関係も危険です。また、お酒に頼るようになることも危険な兆候です。さらに、日本での成功を待たずに海外に進出しようとすることも失敗要因になります。
日本一になってから世界に出るという順番が大事です。例えば、日本チャンピオンになってからオリンピックに出たり、Jリーグで活躍してからプレミアリーグに行くような段階を踏むべきです。
Q. 本音以上のことを引き出すために、どのような準備をしていますか?
インタビューの準備としては、本などは読みますが、準備しすぎないようにしています。準備しすぎると逆に固くなってしまうことがあります。適度に調べて、あとはインタビューの場で臨機応変に対応するスタイルです。
インタビューでは「なぜ?」と繰り返し質問することが効果的です。「なぜそう思うのですか?」「それはなぜですか?」と掘り下げていくと、自然と深い話になります。また、知らない専門用語が出てきたら、その場で調べることもあります。
Q. 政治家を素材としてインタビューする魅力は何ですか?
政治家は魅力的な存在です。政治家という職業は経済的リターンだけを考えると割に合わない面があります。それでも政治家を目指す人には、社会を良くしたいという強い思いや、何か成し遂げたいという火力のような情熱があります。そうした強い思いがある人は面白いです。
多くの政治家には「これだけは成し遂げたい」という怒りや怨念のようなものがあります。そうした火力がなければ、あのような厳しい世界では生き残れないでしょう。
インタビューでは、相手を肯定しまくることで自分の良いところを自ら話してくれるようになります。自分のいいところを自分でプレゼンしてくれる状況を作ることが大切です。
Q. 20代〜30代前半に届くメディアをどう作ればいいでしょうか?
20代はそれほど深刻な悩みを持っていない人も多いです。恋愛が楽しく、体も元気で、食べ物も美味しく感じられる時期です。社会や政治、ニュースに興味を持つのは、家庭を持ったり、健康や医療費の心配が出てきたりする頃からでしょう。
ただ、20代が興味を持つテーマとしてはエンターテイメントが強いです。また、キャリアや転職、就職活動などのテーマは20代にとって関心が高いかもしれません。
広告価値としては20代が最も高いので、ビジネス的には重要なターゲットです。20代は自分より少し上の世代、30代前半くらいの人をロールモデルとして見る傾向があります。そうした少し先を行く人の姿を見せることで、20代の関心を引くことができるでしょう。