PIVOT TALK BUSINESS
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2024年12月1日

「住みたい街」ランキングはイメージで語られがち。では、実際に住んでみた上で評価の高い街はどこなのか?最新の「住み続けたい街」ランキングを読み解きながら、人気の街の共通点を、池本洋一SUUMO編集長と江口亮介TERASS社長に語ってもらった。 <ゲスト> 池本洋一|SUUMO編集長 1972年滋賀県...
ランキングトップに輝くのは新旧が交差する港町。その魅力に迫る


「住み続けたい街ランキング」は、実際にその地域に住んでいる方々に住み心地を聞くアンケート調査です。これは単なるイメージではなく、実際に住んでいる人の評価に基づいたランキングであり、31万人という膨大な調査対象者から得られたデータを基に作成されています。この調査では、街の魅力を40項目にわたって細かく評価し、例えば「通りの賑やかさ」「自治体の子育て政策」「会えば挨拶を交わす間柄の近所の人がいるか」といった点まで細かく聞いています。
「住みたい街ランキング」は住んでいない人も含めた一般的なイメージに基づく人気投票的な性格が強いため、有名な街や大きなターミナル駅が上位に来る傾向があります。一方「住み続けたい街ランキング」は実際に住んでいる人の評価なので、隠れた名店街のような穴場の良さが反映されやすいという特徴があります。

2024年版のランキングでは、1位がみなとみらい・馬車道、続いて北千住、浜町、東銀座などが上位に入っています。これらはいずれも比較的知名度の高い良い街で、納得感のあるランキングとなっています。特徴的なのは、横浜エリア、中央区の下町エリア、鵠沼海岸・江ノ島エリア、代々木公園周辺などがそれぞれまとまって高評価を得ている点です。
みなとみらいと馬車道が高評価を受けている最大の理由は「新旧両方の魅力」を兼ね備えている点です。みなとみらいはKアリーナの建設や赤レンガ倉庫のリニューアル、ハンマーヘッドといった新しい港湾施設など、開発によって足りないコンテンツを次々に追加しています。一方、馬車道は歴史ある街で、本物のガス灯を英国から取り寄せるなど、明治・大正時代の建物を大切に保存する取り組みがなされています。このように、最新施設と歴史的景観が徒歩圏内で両立しているのが大きな魅力です。
このエリアは企業の1階、2階をミュージアムやパビリオンとして一般公開していたり、週ごとにさまざまなお祭りやイベントが開催されるなど、人々が交流する機会が多く設けられています。また、徒歩15分圏内にさまざまな「顔」を持つエリアが点在しており、好みに合わせて行き先を選べる多様性があります。このような特徴から、住民同士が顔見知りになりやすく、コミュニティが形成されやすい環境となっています。
以前は子育て環境があまり充実していませんでしたが、最近では中学校までの医療費無料化や出産費用の独自助成を始めるなど、自治体が積極的に子育て支援策を打ち出しています。特に注目すべきは2026年度より中学校の全員給食が開始されることで、これまでお弁当持参だったものが給食に変わり、共働き家庭からの評価が上がっています。これらの取り組みにより、子育て評価が徐々に向上してきています。

浜町・三越前エリアも、江戸時代から人が住んでいた地域を現代風にアップデートしている点が評価されています。中央区はワンルームマンションが増えすぎないよう規制を早くから導入し、ファミリータイプの住宅供給を促進してきました。また、浜町公園ではバーベキューやデイキャンプができるスポットがあり、都心にいながら休日の活動を楽しめる環境が整っています。さらに、ニューヨークのブルックリンを思わせるようなおしゃれなフードコートやベーカリーカフェなど、リノベーション物件を活用した新しい飲食店も増えてきています。
浜町マルシェの開催や、江戸時代から続く地区ごとのお祭りなど、人と人が顔を合わせる機会が多いのが特徴です。また、スタートアップのオフィスも増えており、三井不動産による日本橋室町エリアの再開発(COREDOなど)で新しい街づくりが進む一方で、裏には昔ながらの街並みが残っています。このような「下町コミュニティと新しいものの共生」という意味で、ここも新旧の魅力が両立した街と言えます。以前はシニア層が多いイメージがありましたが、最近では若い人も増えてきています。
家賃12万円以下で3LDKが借りられる地域として注目されているのが、「谷保(やほ)」「砂川七番」「南大沢」などです。特に谷保駅は南武線沿線にあり、立川や府中に近く、国立の真南2kmに位置しています。国立駅周辺の家賃と比べると約半額という価格差があり、大学へも自転車で行ける距離にあります。
谷保の魅力は「まちらしさを感じる街並み」「自然がある」「住宅街が美しい」「子育て環境が充実している」「地域に顔見知りや知り合いができやすい」といった点が高く評価されています。具体的には、一橋大学や津田塾大学の学生たちが街の空き店舗を使って実際に出店するチャレンジや、シェアキッチンを通じて飲食店の開業を試せる環境があります。「ふじみだ1000トンネル」という視野型店舗では、地元の人たちが日替わりで店長を務め、徐々に定番商品を増やしていく仕組みも。さらに都市型農園も整備され、地域の子どもたちにも開かれた取り組みが行われています。都心に近いながらも田園風景が残り、様々な世代がチャレンジしやすい環境が整っている点が評価されています。
砂川七番は立川の北側、昭和記念公園に近いエリアです。元々立川は飛行機製造の町で、その広大な跡地を活用した開発が特徴的です。「魅力的な大規模商業施設がある」「駅周辺に必要な施設が揃っている」など、施設面での評価が高い街です。特筆すべきはグリーンスプリングスという複合施設で、低層の商業施設と美しい空間、2500人規模のアリーナやコンサートホールなどが公園側に開かれた形で配置されています。また、ららぽーとや「立飛ビーチ」(砂浜を引いたビーチバレー施設)、スケートボード施設、そして浅田真央さんの「真央リンク」など、スポーツ施設も充実しています。立川の地域開発会社「立飛ホールディングス」が街全体の開発を手がけ、一貫したビジョンで街づくりを進めている点も特徴です。
住み続けたい街に共通する特徴として「顔見知りになれる環境」が挙げられます。例えば、戸越銀座も10位と20位に戸越駅と戸越公園駅がランクインしていますが、長い商店街があり、今も昔も廃れていない点が評価されています。また、テレビロケが多く行われるなど、街が注目される機会も多いことが人気の要因です。商店街は人通りの中心であり、縦に積み上げる商業施設よりも路面店が横に展開されている方が、人々が顔を合わせる機会が多くなります。また、そこに企業があることで、会社帰りに飲食できる場所があるかどうかも重要です。
コミュニティ形成は街の価値に大きく影響します。都市開発では「元々ある町の営みをいかに残すか」が重要であり、新しい高層マンションだけでは交流が生まれにくい傾向があります。縦の構造では交流が難しいため、元々ある交流スペースや商店街をどう残していくかが課題です。最近では、タワーマンションの住民だけでなく周辺住民も呼べるイベントを管理会社や自治体が主催するケースも増えており、コミュニティの価値が認識されつつあります。
必ずしも相関があるわけではありません。不動産価格上昇率のランキングでは、飯田橋や勝どき、有明など湾岸エリアや流山などが上位に入りますが、住み続けたい街ランキングとは必ずしも一致しません。資産性だけで住宅を選ぶ人はいない一方で、居住性だけで選ぶ人も少ないのが現実です。それぞれの価値観で「資産性」と「居住性」のバランスを取ることが重要です。住民が「住み続けたい」と思っていても、必ずしもその街の人口が増え続けるとは限らないため、将来の住環境変化も冷静に見極める必要があります。
これからの街選びでは、自分のライフスタイルや年代、家族構成に合わせた選択が重要です。また、新旧の魅力が両立している街や、特色のある街が人気を集める傾向があります。都心の中心駅から1〜2駅外れた場所で、中核エリアの発展が期待できる街は、価格面でも将来性においても魅力的な選択肢となり得ます。また、若い世代や新しいことに挑戦する人々が集まる街は、住んで楽しい環境になりやすい傾向があります。住民の声を反映した「住み続けたい街ランキング」は、そうした穴場的な良さを発見する手がかりとなるでしょう。