コミュニケーションSS
安西先生から学ぶ心を動かす言葉【三宅香帆】
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2024年11月15日

職場の人間関係、伝える力、聴く技術などコミュニケーションスキルを学ぶ。文芸評論家の三宅氏から言語化するコツを学びます。 <ゲスト> 三宅香帆|文芸評論家/京都市立芸術大学非常勤講師 1994年、徳島県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。 小説、古典文学、 エンタメなど、幅広い...
言語化のカギは「細分化」 - 三宅香帆さんが教える具体的な表現テクニック
SNSへの投稿やビジネスシーンでの説明など、自分の考えを言葉で表現するのが苦手だと感じることはないだろうか。「語彙力がない」と悩む人も多いが、実は問題は別のところにあるかもしれない。三宅香帆さんが語る「細分化」という考え方は、私たちの表現力を大きく変える可能性を秘めている。

Q. 言語化が苦手な人に共通する問題点は何ですか?
多くの人は「語彙力がない」や「難しい言葉を使えない」ことが言語化できない原因だと思っているけれど、実はそれよりも「細分化できていない」ことの方が大きな問題かもしれない。
例えば、スラムダンクの「諦めたらそこで試合終了ですよ」という名言。これが単に「諦めたら終わり」というクリシェではなく、「試合終了」という具体的な表現を使ったことで名言度が上がった。この「細分化」が言語化の鍵となる。
細分化とは、全体を漠然と表現するのではなく、具体的な部分に焦点を当てること。「このお店はいい」より「このお店のこのメニューが美味しい」と言う方が解像度が上がる。「このライブが良かった」より「このライブのあの衣装を持ってきたところが良かった」と言う方が、細かいところまで見ている印象を与える。
Q. 細分化するとなぜ伝わりやすくなるのですか?
細分化すると、自分だけの視点や気づきが表現に現れる。例えば「圧倒的なコンテンツ量、幅広い内容、豪華なゲスト」という抽象的な表現より、「喋っている人を知らなくても面白い内容ばかり」という具体的な表現の方が、その人ならではの視点が伝わる。
また、細分化することで「どこが」良かったのかが明確になり、読者や聞き手が具体的にイメージしやすくなる。例えば「この番組が面白い」より「この番組のここが超面白かったから見てほしい」と言う方が熱量が伝わる。
テレビなどのメディアでも、具体的な例を挙げている人の方が取り上げられやすい。なぜなら、他の誰かも言いそうな表現ではなく、自分だけが言った言葉の方が価値があるから。より細分化されている表現は、熱量があるように感じられ、印象に残りやすい。
Q. SNSなどで発信する際のコツはありますか?
発信する際の最大のポイントは「誰に向かって書くのか」という読者を決めること。例えば、同じ作品のファン向けに書くのか、まだ見ていない人向けに書くのかで、全く書き方が変わってくる。
読者を狭めた方が、伝わりやすい文章になる。例えば「地面師たち」という番組について書く場合、すでに見た人に向けて書くのか、まだ見ていない人に向けて書くのかで内容が変わる。
書き出しも非常に重要。「なぜ野田さんにみんな仕事を頼みたくなるのか」といった問いかけから始めると、読者の興味を引きやすい。例えば「野田さんがいろんなことに邁進しながらも機嫌良さそうで余裕がありそうに見える」という具体的な観察を書くことで、ただの「すごいですよね」というクリシェを避けられる。
Q. ポジティブな感想を表現するコツはありますか?
ポジティブな感想は基本的に「共感」か「驚き」に分けられる。例えば、自分と共通の体験や価値観に共感して「この漫画が良かった」と思う場合と、「こんなバイオレンスな話で面白い話見たことがない」といった驚きで面白いと感じる場合がある。
自分のポジティブな感想がどちらなのかを考えると、言語化しやすくなる。特に「驚き」の場合は、何が今までと違って新しいと思ったのかを細分化すると効果的。「ピボットは内容にフォーカスを当てた番組で、喋っている人を知らなくても面白い」といった具体的な表現になる。
Q. 批判的な意見を伝える時はどうすればよいですか?
批判や怒りを表現する時こそ、細分化が重要。例えば「あなたは良くない」と全体を否定するのではなく、「あなたのここが自分は気になった」と具体的に伝えることで、相手の人格を否定せずに建設的な会話になる可能性が高まる。
夫婦間や友人関係など日常的なコミュニケーションでも同様。「あなたが嫌い」ではなく「あなたのこういうところが自分はこう感じた」と細分化して伝えることで、「じゃあどう直したらいいのか」という建設的な話に発展しやすくなる。
Q. 具体的な例を挙げるとどうなりますか?
例えば、「これはよく覚えておかなきゃ」という抽象的な投稿より、「なぜ株を買うのは10月と思った方は見てほしい」という具体的な投稿の方が、読者の興味を引く。
また、「野田さんの面白すぎる神回です」という一般的な表現より、「偉いおじさんも悩んで成長している、まるで少年漫画のよう。神回。吉本のおじさんにも見てほしい」といった具体的な表現の方が何が面白いのかが伝わる。
SNSで告知する場合も「ピボットまだ見たことないお笑いファンの皆さん、つまらない告知文って嘘じゃないですか?」と問いかけると、読者の興味を引きやすい。
Q. 細分化するための日常的な習慣はありますか?
日常から細分化する癖をつけることが大切。例えば、何かを見た後に具体的にどこが良かったのかをメモしておくだけでも変わる。
忙しくてメモができない場合でも、印象に残った場面だけを思い出して書いたり、プレゼンの最後に「実は私はここが一番良いと思う」と個人的な視点を加えたりするだけでも効果がある。
細分化の良さは、そんな細かいところに注目していた人なんだという、自分の視点の表現につながること。細かくなればなるほど、人それぞれの視点や気になるポイントが違うので、自分だけの表現が生まれやすくなる。