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東京メトロ株は「買い」か?成長のカギは不動産開発
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2024年10月27日

10月23日に東証プライム市場に上場した東京メトロ。上場後の時価総額は1兆円を超え、直近の営業利益率も約2割に達している。東京メトロ株は個人にとって魅力なのか?今後の成長力は高いのか?松井証券の窪田朋一郎マーケットアナリストに聞いた。 <ゲスト> 窪田朋一郎|松井証券 シニアマーケットアナリスト ...
東京メトロ上場が個人投資家に与えた影響とは?松井証券シニアマーケットアナリストが語る注目ポイント
東京メトロが上場し、時価総額1兆円を超えたことで大きな話題となった。今回のピボットマネーでは、松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏に、東京メトロの投資価値や今後の見通しについて聞いた。

Q. 東京メトロの上場によって証券会社にどのような影響がありましたか?
東京メトロのIPO目的で口座開設が5割ほど増加した時期もあり、現在の市場環境においては非常にありがたい存在だった。こういった形でIPO銘柄により口座数が増加するのは、日本郵政やソフトバンクといった限られた銘柄の時だけなので、今回は非常に珍しい状況と言える。
Q. 今回の公開価格と初値についてどう評価していますか?
公開価格は1200円で、初値は1630円、35.8%の上昇率だった。初値が高騰しすぎると、上場後に購入する投資家からすると株価が高くなりすぎてしまうため、今回のように適度に上昇しているのが望ましい。上場初日の終値ベースでの上昇率は44.9%となり、かなり良いところに落ち着いたという印象だ。
Q. 配当利回りの水準はどうですか?
株価が上昇したため、上場初日の終値ベースでは2.3%の水準になった。鉄道各社の中では比較的高い水準にあるが、日経平均の平均的な配当利回りと比較すると標準よりやや高い程度だ。一般的に高配当銘柄と呼ばれるためには3%は欲しいところなので、現状では高配当銘柄からは外れつつある。
Q. 個人投資家にとって東京メトロの魅力は何ですか?
株主優待が非常に魅力的だ。1万株以上保有すると全線乗り放題の乗車券がもらえる点は珍しく、1年中いつでもメトロに乗れるというのは個人的にも魅力的だと感じる。また、優待の最低保有株数を200株に設定していることで、IPOで割り当てられた100株から買い増しを促す効果がある。そして細かい点だが、東京メトロの株主優待ではメトロ構内の店舗で使えるそば上げトッピング券もあり、最低利用額350円のそばを買わないと優待が使えない仕組みになっている。株式投資家はお金にシビアなので、こういった細かい工夫も響く。
Q. 今後の株価動向をどう予想していますか?
参考になるのは2015年に上場した日本郵政グループの株価推移だ。最初は上昇する傾向がある。これは個人投資家の興味が高まることに加え、TOPIXに連動する投資信託やETFへの組み入れが今後行われるからだ。特にTOPIXに関しては、来月買う投資家がいることが分かっているため、その投資家が売るまで持っておこうという動きが生まれやすい。したがって、インデックスファンドへの組み入れが完了するまでは株価が堅調に推移しやすい。
逆に言えば、ファンドの買いが一巡すると下落する傾向にある。例えば当初は配当利回りが2%台半ばになってしまうため、株価が下がって再び配当面で魅力的な水準になるまでは調整する可能性がある。需給的な観点では、この先1ヶ月ほどは魅力的だが、その後は他の銘柄と比較して魅力的な段階になった時に買うという方針が良いだろう。
Q. 東京メトロの乗客数はコロナ前の水準に戻っていますか?また今後の見通しは?
コロナ期からは回復してきているものの、コロナ前のピークからはまだ1割以上下がっている状況だ。リモートワークの増加を考えると、完全にコロナ前の状況に戻ることはないだろう。出社が増える傾向はあるものの、乗客数という面では戻りづらい環境が続くと思われる。
Q. 東京メトロの収益性についてどう評価していますか?
営業利益率が20%弱あり、鉄道各社の中でも収益率は高い。これは東京メトロが昔に敷設したインフラを持ち、限界費用も低いためだ。路線によっては運べば運ぶほど利益になる路線もあり、過去の蓄積が大きく働いている。
Q. 東京メトロの成長戦略として何が考えられますか?
鉄道会社全般で言えば、不動産事業が成長の鍵を握っている。JR九州などでは輸送事業の割合は小さく、不動産やホテル、飲食といったサービス分野で稼ぐ形になっている。東京メトロは輸送事業が8〜9割を占めており、多角化があまり進んでいない点は珍しい。
ただし、東京メトロは東京という人口減少が一番遅い地域に集中しているため、そのポテンシャルは大きい。また、観光客も多いためインバウンド需要も期待できる。不動産開発については、駅中の余白を活用することが比較的取り組みやすく、収益化しやすいと思われる。特に銀座線や丸ノ内線などの立地の良い駅からの開発が期待される。
その他の成長分野としては、ホテル事業も注目だ。東京はホテル不足で宿泊料も高止まりしている状況なので、自社で立ち上げるか、知見のあるディベロッパーと協力するかなど、様々な選択肢があるだろう。こうした成長戦略を早く打ち出すことで、投資家の期待も高まり、株価上昇につながると思われる。
Q. 東京メトロはどのような投資家にお勧めですか?
基本的には長期投資家向けの銘柄だ。鉄道会社のような銘柄は値動きが激しくない部類に入るため、デイトレードで稼ごうとするのは上場直後の値動きが激しい時期だけに限った方が良い。基本的には中長期で保有し、安定的に配当を得るような投資が一般的には適している。
Q. IPO銘柄に投資する際のポイントは何ですか?
グロース市場に上場する銘柄とプライム市場に上場する東京メトロのような銘柄では、全く属性が異なる。東京メトロのような安定的な会社の場合、機関投資家が買ってきやすく、値動きも落ち着いた形になりやすい。また、バリュー銘柄は金利上昇の影響をあまり受けない。
一方、グロース銘柄(急成長中の会社)は、金利動向や個人投資家のセンチメントの影響を非常に受けやすい。グロース銘柄が上がるタイミングは、金融緩和が行われている時期だ。現在はアメリカのインフレがまだ残っていて金利も高く、日本も緩やかながら利上げを続けているため、グロース銘柄にとっては追い風とは言えない状況だ。そのため、グロース銘柄には注意が必要だ。