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「良い開業医」と出会う方法
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2024年10月10日

身近な存在でありながら、そのリアルは知られていない開業医。開業するにはいくらかかるのか?毎月の収支は?平均年齢と平均年収は?どんな日常を送っているのか?『開業医の正体』の著者である小児外科医の松永正訓氏に聞いた。
良い医者との出会い方から患者としての心構えまで
松永正訓医師が語る、医療とのより良い向き合い方とは?医師と患者の関係性構築の秘訣から、子どもの健康に関する現代的な課題まで、経験豊富な小児科医の視点から解説します。

Q. 良い医者と出会うためのポイントは何ですか?
良い医者の定義自体が難しい問題です。また、東京と地方では状況が全く異なります。東京では選択肢が多いため、良い医者を一生懸命探す傾向がありますが、地方では選択肢が限られています。
私は離島の方から相談の手紙をもらったことがあります。お孫さんが重い喘息で、頻繁に具合が悪くなり入退院を繰り返しているというものでした。しかし離島では医療機関が1つしかなく、選択肢がありません。
一番大事なのは、自宅から近いことだと思います。たとえば胃がんになったとき、読売新聞社や朝日新聞社から毎年出版される「いい病院ランキング」では、手術数の多さが指標となっています。確かに医師の実力は経験によるものなので、手術数は良い指標です。
千葉県なら国立がんセンター東病院が高いレベルで知られていますが、私の住む千葉市から車で1時間半かかります。そんな遠いところまで行って手術を受けるかと言えば、私なら行きません。私の自宅から車で20分のところにある千葉大学医学部附属病院はランキングには載っていませんが、胃がんの手術レベルが低いということはありえません。近いことはとても重要です。
Q. 自分に合った医師を見つけるコツはありますか?
良い医師と巡り合うためには、実際に会ってみないと分からない部分があります。まず開業医と出会い、医師とのコミュニケーションが始まります。
私が開業して1年目のとき、風邪を引いた子どもを連れてきた母親が「私は今ドクターショッピングしているんです」と言ったことがあります。様々なクリニックを次々に回って、自分と相性の良い医師を探しているとのことでした。
「ドクターショッピング」は悪いことをしているという意味で使われることが多いですが、最初のうちはありだと思います。自分とうまくコミュニケーションが取れる医師に出会うためには、最初は情報を集めて、話ができる医師、質問ができる医師、自分の質問に誠実に答えてくれる医師を見つけることが大切です。
そして一旦見つけたら、もうドクターショッピングはせず、その医師を信じてみるのが良いでしょう。そこがスタートになります。一度決めたら信じないと、ずっと不安定な状態になってしまいます。
Q. 良い患者であるためにはどうしたら良いでしょうか?
良い患者とは何かを考えるのは難しいですが、患者さんは医師の前で緊張したり遠慮したりすることがあります。しかし、そんな必要はないと伝えたいです。
私のクリニックのように1日に100人以上の患者さんが来ると、「3分診療」のようになってしまい、保護者の方は質問しにくいと思います。しかし、それは違います。質問はいくらしてもいいのです。
患者さんの立場からすると、目の前の医師が忙しそうに見えても、コミュニケーションを取るべきです。医師に言われたことだけを聞いて診療が終わりというのではなく、疑問に思うことは何でも聞いてほしいですし、医師もそれを待っていると思います。
保護者の方は医師に質問することをとても申し訳なく思っているようで、「先生、一つだけ聞いていいですか?」とよく言われます。私はいつも「何個でもいいですよ」と答えます。何個でもいいから聞いてほしいのです。忙しそうに見えても、どんどん聞いてください。
疑問に思っていることを疑問のままに家に帰るのではなく、医師と積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。
Q. 開業医として長く診療されていて、人間的な成長を感じることはありますか?
様々な患者さんと毎日話し、人の命と向き合う生活を続けていると、人間として成熟していくと感じます。
私のクリニックには風邪や胃腸炎、喘息などの一般的な病気の患者さんが来ますが、中には病気ではなく相談をしたいという方もいます。例えば、子どものしつけに悩んでいて、ついつい手が出てしまうという相談や、不登校やリストカットの問題など、医療とは直接関係ない相談も受けます。
若い頃はそういった質問に答えられなかったのですが、62歳になった今は、人間としての総合力が増してきたと感じます。不登校の話やリストカットの話でも、私なりの答え方ができるようになり、それに納得される方も多いです。
開業医の仕事は病気を治すだけではありません。小児科医の場合は、子どもが0歳から15歳になるまでの成長を支え、後押しする役割があります。また、その子を取り巻く家族の歩み、家族の成長も支えます。それが開業している小児科医の仕事だと思います。
病気に関する知識だけでは足りず、人間としての力が必要なのです。
Q. 最近の子どもたちの傾向や病気の特徴について、変化を感じることはありますか?
医師になって38年経ちましたが、その間に日本の経済構造は大きく変わりました。現在は女性の社会進出が進み、様々な理由で女性が働いています。自分のキャリアを伸ばしたい人もいれば、経済的な理由で働かざるを得ない人もいます。
私たちが子どもの頃は保育園があまりありませんでしたが、今は保育園に子どもを預けるのが当たり前になっています。保育園は風邪や胃腸炎などの感染症が流行する場所です。
少子化が進み子どもの数は減っていますが、小児科を訪れる子どもの数は減っていません。クリニックに来る感染症の患者さんの9割は保育園の子どもです。幼稚園の子どもはそこまでではなく、自宅にいる1〜2歳の子どもは風邪をほとんど引きません。
また、昔は3人兄弟、4人兄弟が当たり前でしたが、今は一人っ子が多く、親の子どもに対する愛情の深さや濃さが昔よりも大きくなっています。
さらに、インターネットの時代になり、何かあれば親はネットで調べて、小さな悩みを大きくして「大変なことが起きた」と言ってクリニックに来ます。このような構造は昭和の時代と令和の今では全く異なります。少子化が進んでも小児クリニックを訪れる子どもの数はむしろ増えていると思います。
Q. 子どもの健康のために親として気をつけるべきことは何ですか?
風邪はウイルスによって引き起こされますが、風邪ウイルスは大雑把に言うと200種類ほどあると言われています。おそらく人間は人生の中で200回ほど風邪を引かないと、免疫が完成して風邪を引かない状態にはならないでしょう。
私は1日に100人の子どもを診察していますが、全員風邪を引いているため、風邪ウイルスを浴びているのに全く風邪に感染しないのは、免疫があるからです。
保育園に行っている子どもが風邪を引くのは当たり前です。風邪を引くのは嫌なことですが、肺炎などの重症になるものでなければ問題ありません。1回風邪を引くごとに免疫を1つ獲得し、生物として強くなっていると認識してもらえればと思います。
ただし、無理はしてほしくありません。風邪は基本的に自然に治る病気で、私はあまり薬を出さない医師です。「風邪は自然に治ります」といつも話しています。しかし、無理をすれば風邪は肺炎になります。
無理をしている子どもは誰かというと、保育園に行っている子どもです。親が働いているため、保育園を休むことができないのですが、無理をして通うと風邪は治りにくく、長引き、悪化することがあります。
核家族化がさらに進み、祖父母の協力が得られないと保育園も休めないという事情がありますが、それは本当に難しい問題です。経済と社会の構造が昔と比べて変わってしまったため、子どもの感染症の数や重症度が改善しない部分があるのは、やむを得ない側面もあるのかもしれません。