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住宅ローン金利予測。得な銀行はどこか?
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2024年10月6日

17年ぶりに変動金利の引き上げが決まった住宅ローン金利。今度、どれくらい上昇する可能性があるのか?どの銀行から借りると得なのか?住宅ローンアナリストの塩澤崇氏に聞いた。 <ゲスト> 塩澤 崇/MFS取締役CMO 2006年にモルガン・スタンレーにて住宅ローン証券化ビジネスに参画。2009年にボスト...
住宅ローン金利予測Q&A - 2024年後半から2025年の動向と対策
住宅ローン市場では、2024年10月に変動金利が約17年ぶりに上昇し、金融機関の競争構造にも変化が現れています。今回は住宅ローンのプロフェッショナルである塩澤崇氏に、今後の金利動向や不動産価格への影響、賢い選択について聞きました。

Q. 2024年10月の住宅ローン金利はどのような状況ですか?
変動金利が上昇局面に入っています。過去6年ほどの推移を見ると、変動金利は下落傾向が続き、最安値では0.3%台まで下がりましたが、2024年10月には0.45%程度まで上昇しました。これは約17年ぶりの変動金利上昇です。
一方、固定金利(フラット35など)は1.82%程度で高止まりしています。固定金利が高止まりしている理由は、長期金利が日本国内だけでなくグローバルな金融環境、特にアメリカの金利動向に影響されているためです。アメリカでは利下げが始まったものの、まだ金利水準は高く、それが日本の長期金利にも影響しています。
Q. 金融機関ごとの金利競争はどうなっていますか?
メガバンクとネット銀行の間で激しい競争が続いています。興味深いのは、通常コスト構造が軽いネット銀行の方が金利が低いはずですが、2024年10月にはメガバンクの方が低金利を提供する逆転現象が起きています。
多くの銀行が日銀の政策金利引き上げ(0.1%から0.25%へ)に合わせて0.15%程度の金利上昇を行う中、三菱UFJ銀行やみずほ銀行などのメガバンクは金利を据え置きました。表面金利のランキングでは、三菱UFJが0.345%、みずほが0.375%と上位を占め、SBI新生銀行やauじぶん銀行などのネット銀行は2番手グループになっています。
ただし、実質金利(保障内容も含めた総合的な評価)ではネット銀行の方が優位な場合があります。ネット銀行は三大疾病保障など充実した保険特約を無料で提供しているケースが多いからです。
また、変動金利の水準は金融機関によって大きく異なり、0.3%台から0.6%台まで幅広く分布しています。そのため、住宅ローンを借りる際は複数の金融機関を比較検討することが重要です。
Q. なぜ銀行は低金利競争を続けるのでしょうか?
住宅ローンビジネスが「ストックビジネス」から「フィービジネス」に変化しているからです。
従来、住宅ローンは35年間の長期にわたる利息収入を得るストックビジネスでしたが、現在の超低金利環境ではその収益性が低下しています。代わりに、融資実行時に取得する手数料(元本の約2%)が主な収益源になっています。例えば3000万円の融資であれば約60万円の手数料収入を得られます。
もう一つの理由は「団体信用生命保険(団信)」の問題です。住宅ローンには債務者に万一のことがあった場合に住宅ローンが免除される生命保険が付帯していますが、その保険料は銀行が負担しています。保険料は借入者の平均年齢によって決まるため、新規の若い顧客を獲得しないと既存顧客の年齢上昇とともに保険料負担が増大し、収益を圧迫します。
これらの理由から、銀行は新規顧客獲得のために低金利競争を続けざるを得ない「自転車操業的」なビジネスモデルになっています。
Q. 今後の日銀の金融政策はどうなりそうですか?
日銀は慎重な姿勢を維持しつつ、緩やかな利上げを進めると予想されます。2025年末から2026年初めにかけて、政策金利は現在の0.25%から1%程度まで上昇する可能性があります。
具体的なスケジュールとしては、2025年1月に0.5%、2025年7月に0.75%、2025年末から2026年初めに1%という段階的な利上げが予想されます。この見通しは市場のコンセンサスとも近いですが、市場予測は0.5%から4%まで幅広く分かれています。
日銀が慎重な利上げにとどめる理由は主に2つあります:
1. 為替の影響: 日本が利上げ局面、アメリカが利下げ局面に入ると、金利差が縮小して円高になりやすくなります。急激な円高は輸入物価の下落を通じてインフレ率を押し下げ、企業収益も圧迫して賃上げ余力を減少させる恐れがあります。
2. 株価への配慮: 政府は2024年から新NISA制度を始め、国民の資産を株式投資に誘導しています。高金利政策は一般的に株価を下落させる傾向があるため、新NISA加入者の不満を招かないよう、急激な利上げは避けられる可能性があります。
Q. 変動金利と固定金利、どちらが有利ですか?
現時点では依然として変動金利が有利です。
変動金利が固定金利を上回るには、政策金利が現在の0.25%から1.75%程度(6回分の利上げに相当)まで上昇する必要があります。しかし、先述の通り政策金利は1%程度までの上昇にとどまる可能性が高く、その場合、変動金利は固定金利を下回り続けるでしょう。
また、金利は景気のサイクルと連動して上下するため、仮に上昇したとしても長期間高止まりする可能性は低いと考えられます。
ただし、変動金利を選択する場合、金利上昇リスクに備える必要があります。例えば3500万円の住宅ローンの場合、政策金利が1%上昇すると月々の返済額が約2万円増加する可能性があります。また、変動金利で返済が困難になった場合、一括返済か住宅売却以外に解決策がない点も認識しておくべきです。
Q. 不動産価格は今後どうなりますか?
金利上昇による下落圧力と、インフレや需要による上昇圧力が拮抗し、地域や物件タイプによって二極化が進むでしょう。
理論的には、金利が1%上昇すると不動産価格は約20%下落します。これは月々の返済可能額が同じなら、金利上昇に伴い借入可能額が減少するためです。例えば、元本3500万円、金利0.5%で月々の返済額が9万1000円の場合、金利が1.5%に上昇すると、同じ返済額を維持するためには借入額を3000万円まで減らす必要があります。
一方で、インフレに伴う家賃上昇や、アメリカの利下げに伴う長期金利の低下は、不動産価格を下支えする要因になります。不動産価格は「家賃収入÷利回り」で計算されるため、分子(家賃)が上昇し、分母(利回り)が低下すれば、価格は上昇します。
この結果、立地条件の良い都心部のマンションなど希少性の高い物件は価格が維持または上昇し、郊外の戸建てなどは下落する傾向が見られます。例えば、東京都心のマンションはまだ価格が上昇している一方、八王子の戸建ては下落傾向にあります。
Q. 住宅ローン金利上昇に対する対策を教えてください
1. 家計に余裕を持たせる: 金利が1〜2%上昇しても返済を継続できるよう、余裕のある計画を立てておきましょう。年収の5〜7倍程度の借入額に抑えることが安全です。
2. インフレを味方につける: インフレ環境では現金の価値が年々減少します(2%のインフレ率なら毎年2%の目減り)。長期分散積立投資を通じて資産を成長させることで、インフレに対抗できます。
3. 繰上返済は原則不要: 住宅ローンの金利が資産運用の期待リターン(通常2〜3%)を上回る場合を除き、繰上返済よりも投資に回す方が有利です。
4. 借り換えを検討: 現在の変動金利が0.5〜0.6%程度なら、0.3%台の低金利商品への借り換えでメリットが得られる可能性があります。借り換えは新規借入よりも審査に通りやすい傾向があります。
Q. 2024年後半から2025年の金利予測を教えてください
固定金利はアメリカの利下げによる長期金利低下の影響で若干下がる可能性がありますが、日銀の利上げが下支えとなり、概ね横ばいで推移すると予想されます。
変動金利は日銀の利上げに伴い、2025年春頃には現在の0.4〜0.5%台から0.75%程度まで上昇する可能性があります。それでも変動金利の方が固定金利より有利な状況は続きますが、両者の金利差は現在の1.4%から1.0〜1.2%程度まで縮まるでしょう。
いずれにせよ、金利上昇に備えて家計に余裕を持たせておくことが重要です。