Deep Interview
高市早苗氏に聞く、積極財政による強い経済
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2024年9月23日

日本の国力強化を掲げて自民党総裁選に出馬した高市早苗氏。デフレ脱却まで増税をしないことをはじめ、「日本をもう一度、世界のてっぺんに押し上げる」ための積極財政を中心に話を聞いた。 <ゲスト> 高市早苗|衆議院議員 1961年奈良県生まれ。神戸大学経営学部経営学科卒、松下政経塾卒塾。 経済安全保...
経済成長で日本を「てっぺん」に押し上げる - 高市早苗が語る国力強化と未来への贈り物
高市早苗氏は「経済成長」を掲げて出馬会見を行い、日本の国力強化を訴えている。防衛力、外交力、経済力、技術力、情報力、そして人材力。これら6つの力を強化するためには「経済成長が絶対に必要」と断言する。日本はまだデフレを完全に脱却しておらず、今後数年が勝負になると高市氏は警鐘を鳴らす。現在のような「コストプッシュ型」の物価上昇ではなく、需要拡大による健全な経済成長を目指す姿勢を示した。

Q. 現在の日本経済をどう見ていますか?
今の日本経済はギリギリの状態だ。デフレはまだ完全に脱却していない。物価上昇率だけを見れば2%の物価安定目標を達成したように見えるかもしれないが、それは食料やエネルギーの価格上昇によるもので、本来あるべき姿ではない。
理想的な2%の物価上昇というのは、需要が増え、所得も増え、雇用が安定し、消費が拡大する好循環の中で達成されるべきものだ。今の状況はコストプッシュ型という、最悪の物価上昇の形だ。これを持続的な成長に変えていくためには、供給を超える需要を生み出す必要がある。
日本には現在4兆円の需給ギャップがある。この状況で政府が賢く財政出動して需要を作り出せば、供給側も「需要が増えた」と感じて設備投資や生産性向上に取り組むようになる。その結果、従業員の給料も上がっていく。これがいわゆる「高圧経済」だ。
Q. 財政出動で財政破綻の心配はないのでしょうか?
積極財政をすると将来への負担が増えるという主張がよくあるが、日本の財政状況はそれほど悪くない。日本は債務だけを見る「グロス」での評価をしがちだが、常識的なファイナンス論では債務と資産の両方を見る「ネット」で評価すべきだ。その観点では、日本はG7で2番目に良い状況にある。
将来的に金利が上がった場合の懸念もあるが、新規発行や借り換え時に負担が増えるかもしれないものの、既に発行した国債には影響はない。また、そのような状況になる頃には、経済成長によって税収も増えているはずだ。
需要不足の今、政府が必要な投資をして経済を成長させれば、税率を上げなくても税収が自然に増える。歳入は通常、GDP成長の2〜3倍になると言われている。財政出動によって経済を活性化させ、税率を上げずに税収を増やす状況を作らなければ、次の世代も現在の私たちも苦しいままだ。
Q. 金融政策についてはどのようにお考えですか?
金融緩和路線はもう少し継続すべきだと考えている。金融政策の目的は政府が決めることができるが、手段は独立した日銀が決めるものだ。政府と日銀がしっかりコミュニケーションを取り、どういう経済の姿を作りたいのか、はっきりと目標を立てることが重要だ。
現在の状況で利上げをすれば、若い人が住宅を購入できなくなったり、企業が生産性向上のための設備投資を控えたりする懸念がある。今は日本の経済成長が決まる重要な時期であり、増税、財政出動の抑制、金融引き締めは「禁じ手」だと考えている。
需給ギャップが4兆円ある状態では、通常は金融引き締めをしないだろう。まずは需給ギャップをなくし、需要が供給を超えていく状態を作ることが重要だ。それによって緩やかな物価上昇と賃金上昇が両立する経済を目指すべきだ。
Q. 国力強化のために特に重視している政策分野は?
食料自給率の向上は重要課題だ。G7の中でも日本の食料自給率はカロリーベースで38%と低く、万一安全保障上シーレーンが使えなくなった場合のリスクは大きい。
植物工場や陸上養殖の技術は日本が世界トップクラスにある。完全閉鎖型植物工場はモジュール型で宇宙でも被災地でも設置でき、空き店舗や廃校、空き工場などで通年栽培が可能だ。ただし初期投資が高いため、補助率を高くして普及を促進すべきだ。
陸上養殖も日本の技術は非常に優れている。イカの養殖に成功したり、うなぎの養殖でも進展があったりと、幅広い魚種で技術を確立している。これらは日本の自給率向上だけでなく、輸出産業としても有望だ。
また、日本の米粉は小麦アレルギーの人も食べられる厳格な基準のノングルテン製品で、世界市場でも需要がある。このような食品を国内で加工してパスタ生地やピザ生地、パン生地にして輸出することで、農家の経営基盤も強化できる。
Q. エネルギー政策についてはどうお考えですか?
エネルギー自給率が12.6%という状況は改善が必要だ。AIの普及やデータセンターの増加に伴い、電力需要は今後さらに増大する。安定的に高圧・特別高圧の電力を安価に供給する体制を早急に構築すべきだ。
2020年代はSMR(小型モジュール炉)などの次世代核技術を実装し、2030年代には核融合発電の実用化を目指すべきだ。核融合はウランやプルトニウムを使わず、高レベル放射性廃棄物も出ない。原料は海水から取り出せるため、資源国に頭を下げる必要もない。
G7でも各国がSMRや核融合に取り組むことで合意しており、エネルギーに関する危機感は世界的に高まっている。日本は冷却技術や熱融合技術に強みがあり、省エネ性能の高いデータセンターや各種デバイスの開発・国際展開で世界をリードできる可能性がある。
Q. 経済安全保障の観点から重視していることは?
日本の自立性を確保することが最も重要だ。医薬品原料を中国に依存していたために供給が途絶え、手術延期などの影響が出た経験もある。国民の生存や経済活動に必要なものは国内で調達できるか、同盟国・有志国から即時に調達できる体制を整えるべきだ。
レアアースについては、南鳥島の海域に豊富な埋蔵があるため、早期に採掘・精錬のシステムを確立することが重要だ。海底熱水鉱床からのレアメタル採掘も進めるべきだ。
サプライチェーン調査を継続し、何が海外に依存しすぎていて、何が日本の弱みになっているのかを常に把握することが大切だ。外交力を強化するためには、その裏付けとなる経済力と防衛力が不可欠であり、経済的な揺さぶりを受けない状態を作ることが今の日本にとって最優先事項だ。
Q. 規制緩和についてはどのようにお考えですか?
ビジネスを行う上で具体的な障壁となっている規制があれば、そのタイミングで緩和すべきだ。ただし、安全性の確保は最優先事項だ。
例えばライドシェアについては、車両の安全管理や運転手の信頼性確保が重要だ。許可制とし、責任を持つ主体(タクシー会社や自治体など)がはっきりしていることが条件だ。タクシー会社が責任を持って運転技術の確認や車両整備をし、短時間勤務の形でドライバーを受け入れるなどの形態なら検討できる。
解雇規制の緩和については、労働の流動化が目的なら、現在でも退職の自由は民法で認められている。ただし、現在のようにまだデフレから完全に脱却していない状況で安易に退職した場合、より良い条件で再就職できる保証はない。
社会人が働きながら学べる環境を整備することが重要だ。リスキリング休暇の導入など、新しい技術に対応するための学び直しを支援する制度の充実を図りたい。