MANAGEMENT SKILL SET
爆笑問題 マネジメント大奮闘記【太田光代】
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2024年9月18日

「人材育成」「チームビルディング」などマネジメントの在り方に変化が生まれつつある今、新時代のマネジメントに必要なスキルセットをプロフェッショナルから学ぶ。爆笑問題など数々の人気芸人を輩出してきたタイタン・太田光代氏のマネジメント史を紐解きながら哲学を伺う。 <ゲスト> 太田光代(タイタン代表取締役...
会社創業3日目で「これは転職かも」と思った太田光代が語るマネジメント哲学
世界的に有名なお笑いコンビ「爆笑問題」の所属事務所タイタンの代表・太田光代氏。夫である太田光さんと田中裕二さんのコンビが独立騒動を起こしたタイミングで、芸能事務所「タイタン」を設立。一時は苦境に立たされたものの、爆笑問題を再び成功へと導き、今では数多くの芸人を抱える芸能事務所へと発展させました。創業31年を超える同社の代表として、マネジメントの極意や考え方を語っていただきました。

Q. 太田光代さんは未経験でマネージャーになったとのことですが、きっかけは何だったのですか?
当時私はモデルとしてタレント活動をしていました。爆笑問題とは結婚を控えていたのですが、彼らが所属事務所から独立することになったんです。入籍の日がちょうど彼らが辞めた4日後で、未来が突然見えなくなった状態でした。でも彼らのネタがとても面白かったので、このまま終わらせるのはもったいないと思ったんです。
当時は彼らを引き受ける事務所もなかったでしょうね。独立騒動を起こした芸人を採用すれば、業界内での信用問題にもなりますから。だから結果的に私がマネージャーをすることになりました。
Q. 未経験で会社を立ち上げる際、どのように知識を得ましたか?
会社の作り方が全く分からなかったので、ハウツー本を読み漁りました。特にワニブックスの本が素晴らしくて、20冊以上読んだうちの半分以上がワニブックスでした。
当時は今と違って会社設立のハードルが高く、有限会社なら300万円、株式会社なら500万円の資本金が必要でした。今は1円から会社が作れますが、当時はそうはいきません。お金がなかったので、結婚祝いでもらった着物や、ミスコンで優勝した時にもらった指輪などを質に入れて資金を工面しました。
Q. 爆笑問題の復活のために、どのような戦略を練りましたか?
独立騒動を起こした芸人を使うのは業界では難しいことでした。一つの仕事を取るのに、まず知っている人に会い、その下の方に会い、さらに別の人にネタ見せをして...という流れで、私一人で何度も足を運ばなければならず、非常に効率が悪いと感じました。
そこで考えたのは、ライブを開催して一気に多くの業界関係者に見てもらうという戦略です。ファンもまだいましたし、業界の人たちを招待できるライブを企画すれば、一回で多くの人に見てもらえると思ったんです。
さらに、番組改編期を狙いました。7月31日と8月1日にライブを打ち、2月の改編に間に合わせるよう計画したんです。最初のライブには若手スタッフが来て、面白かったら次にキャスティング権のある人を連れてくるだろうと予測していました。実際、その通りになり、お正月明けには仕事が決まりはじめました。
Q. 太田さんが社長に向いていると思ったのはいつ頃ですか?
会社を立ち上げて3日目くらいには「私、これは転職かもしれない」と思いました。爆笑問題のことを考えていたら、いろんなアイデアが浮かんできたんです。「こうしたらいいんじゃないか」「ああしたらいいんじゃないか」というのが次々に出てきて。
元々、小さい頃から空想するのが好きで、宇宙のことなどをよく考えていました。でも考えすぎて疲れてしまうこともあって。ところが社長になってからは、その「考えすぎる性格」が活きるようになったんです。
ビジネスでは一つのことをやるにもAプラン、Bプラン、Cプランと複数の道筋が浮かびます。それぞれにプラスの部分とリスクの部分があって、私はその中でもリスキーな部分に特に注目するんです。もちろん思った通りにはなかなかいきませんが、事前に様々なパターンを考えておけば、どこかで交差するポイントが出てきて、そこから進み直せる。この考え方に気づいてから、考えすぎることが辛くなくなりました。
Q. 芸能界でのタレント発掘についても興味深いエピソードがありますか?
橋下徹さんとの出会いは特に印象的でした。タイタンが設立10年目の頃、契約書の対応が私一人では手に負えなくなってきたんです。そんな時、テレビ番組「サンデージャポン」で橋下さんを見ました。
彼は生放送中に「イエローカードの状態でしたが、レッドカードだと思った」と言って、突然降板を宣言したんです。これは普通、スタッフが対応すべき問題なのに、ご自身の判断でそうした潔さを見せたことに驚きました。
実は、彼の弁護士としての能力に注目していたんです。私がいろいろな弁護士を紹介してもらおうとしていたところ、橋本さんに連絡が取れました。最初は弁護士としてのお願いでしたが、お会いするうちに彼のタレント性も感じるようになりました。正義感があり、それをしっかり表現できる人だと思いました。
Q. マネジメントにおいて重要だと考えることは何ですか?
マネジメントには「図々しさ」も必要です。例えば、爆笑問題が独立して困っていた時、元の事務所にお花を出してもらえないかとお願いしました。本来なら自分が出すべきものですが、「お支払いは私がします」と言ったら、「いや、うちが出します」と言ってくれたんです。結果的に、会場で一番立派な花が元事務所から届き、それが業界に「彼らは問題ない」というメッセージを伝える助けになりました。
また、必要以上に事実を話すことも大切です。情報が間違っていたら、こちらの落ち度でもしっかり認めます。この姿勢が信頼関係を築く上で重要だと考えています。
Q. 未来のエンターテインメントビジネスについてどう思いますか?
現在はYouTubeやTikTokなど、様々なプラットフォームが出てきて、エンターテインメントのあり方も変わってきています。これからの時代は、よりデジタル化が進み、働き方も変わっていくでしょう。
そんな中で重要なのは、変化を恐れず、柔軟に対応していくことです。私たちタイタンも、時代の流れに合わせて進化し続けています。実は今、専務と常務がロボホームなんです。これからの時代、AIやロボットとの共存も視野に入れていく必要があるかもしれません。
Q. 社長としての資質で最も大切なことは何だと思いますか?
面白いアイデアが湧くことだと思います。特に自分自身が「これは面白い」と思うことができる感覚が大切です。それが社長としての快感でもあります。
また、考えすぎる性格も経営にはプラスに作用します。様々な可能性を考え、リスクを想定しておくことで、問題が起きた時にも冷静に対応できます。私の場合、一度失敗したことでも頭のどこかに置いておいて、後で役立つことがあります。そういった経験の蓄積が、マネジメントの強みになっていると感じています。