PIVOT TALK BUSINESS
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2024年9月16日

リスキリングがブームになっているが、中高年リスキリングの現実は甘くない。40代には三度のクビ、100社の不合格を経験した、後藤宗明ジャパン・リスキリング・プラットフォーム代表理事に、40代リスキリングの現実と賢い進め方を聞いた。 <ゲスト> 後藤宗明 1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。...
中高年のリスキリングが話題となっているが、学ぶだけで転職や新しい仕事に就けるわけではない。40代で100社以上の不採用を経験した人物が語る「定年4.0時代」の生き残り戦略とは。

リスキリングというと個人の学び直しや自己啓発のイメージが強いが、実はそれだけでは不十分だ。リスキリングの本質は「成長分野の仕事に就くためのスキル獲得」であり、単に新しいことを学んだだけでは新しい仕事に就くチャンスはなかなか得られない。
学んだことを仕事で活かして実績を出してこそ、ポテンシャルを見てもらえてチャンスが得られる。特に中高年の場合はこれがさらに難しい状況にある。書類選考で通過できないケースが多く、メンタル面でも厳しい試練となる。
現実は厳しいが、準備をして自分の希望する仕事に就けるよう、今からリスキリングに取り組むことが重要だ。
定年4.0とは、AIやテクノロジーの進化により仕事環境が大きく変わる中で、現在の雇用に頼らない人生とキャリアを自ら創造していく時代を指す。
これまでの定年の概念は大きく変化してきた。定年1.0は年金でのんびり暮らせた時代、定年2.0は老後資金が悩みの種となった時代、定年3.0では「お金・健康・孤独」の3つを考える必要が生じた。そして2022年末にChatGPTが登場し、人間の仕事がAIでできるのではないかという懸念が広がった。
定年4.0時代には、テクノロジーの進化により人間の仕事が自動化され、同時に少子高齢化で労働力不足となる中、ボリューム層である団塊ジュニア世代が定年を迎える15〜20年後には「第2次就職不況」が訪れる可能性がある。シニア時代の雇用獲得競争が激しくなると予想される。
この時代に必要なのは、成長分野に移行するスキルと覚悟だ。テクノロジーの進化に伴い、仕事の質が変わっていく。例えばExcelでのコピペ作業はRPAで自動化され、リサーチ業務はAIがほとんど担えるようになった。成長分野に移るためには、自分が本気で取り組めるマインドセットが必要だ。
日本ではリスキリングと学び直し(リカレント教育)が混同されているが、両者には明確な違いがある。
リカレント教育は生涯学習の実施方法で、個人の関心が原点であり、費用負担も個人が行う。一方、リスキリングは組織の成長産業や成長事業を作っていく中での人材育成であり、組織が主導する。
もうひとつ重要な違いは、リカレント教育は職を離れることが前提だが、リスキリングは現在の仕事をしながら新しいスキルを身につけていく点だ。時間と費用の面から考えても、一般的な個人がリカレント教育に基づいてスキルをアップデートし続けるのは現実的には難しい。
また、アップスキリングとリスキリングも異なる。アップスキリングは現在の仕事の延長線上でより高度なスキルを身につけること。例えば経理部の人がより高度な経理スキルを習得するイメージだ。一方、リスキリングは新しい分野に移るために全く新しいスキルを身につけることを指す。
リスキリングは個人の自己啓発ではなく、組織の戦略上の必須事項であり、すべてのリーダーとマネージャーの責任だ。海外ではこの認識が一般的で、リスキリングは組織のチェンジマネジメント(企業変革)の一環として位置づけられている。
具体的な方法として有効なのは「アプレンティスシップ制度」だ。これは未経験者が給与をもらいながら仕事の場でスキルを身につける機会を提供する仕組みだ。例えば、週に3日は成長分野の座学・研修を行い、1日は新しい分野の仕事に見習いとして従事し、残り1日は元の部署で仕事をするといった形で全社的に事業モデル転換を進める。
これは単なる研修ではなく、会社の将来のビジネスの種を作っていくための先行投資だ。トップダウンでビジネスモデルの転換を明確に示し、従業員がその方向に進む準備ができる環境を整えることが重要となる。
また、AIなどの新分野では、専門スタートアップと大企業が協働し、プロジェクトを通じて大企業の社員がAIスキルを習得するといった取り組みも有効だ。このような外部との連携によるアプレンティスシップは、双方にとってウィンウィンの関係を構築できる。
個人としてリスキリングを成功させるには、類似スキルを起点にキャリアアップしていくことが重要だ。全く違う分野に飛び込むよりも、これまでの経験や知識と関連性のある分野でスキルを伸ばしていく方が現実的だ。
また、テクノロジー分野は海外が先行していることが多いため、英語や中国語などの語学力は大きなアドバンテージとなる。しかし、留学などには時間とお金がかかるため、「リセット留学」という考え方もある。これは定年後に自分の好きなことで個人事業主やフリーランスになることをゴールとし、そのための準備として海外で学ぶという選択肢だ。
リスキリングにおいて最も大切なのは、学ぶことと実際の仕事を一致させることだ。40代でのキャリアチェンジに成功した人の多くは、仕事をしながら新しいスキルを身につけていった。ただし、そのためには仕事のチャンスが必要で、それを得るのは簡単ではない。
リスキリングを進める上では、一緒に取り組む仲間や師匠の存在も重要だ。特に師匠との出会いは、わからないことを具体的に質問できるだけでなく、モチベーションを維持する上でも大きな支えとなる。