
【セリエA展望】新生ユベントスがインテルを打倒する
イタリアセリエA 2024-25シーズンの注目ポイント
"注目はもう妥当インテル。インテルは監督も変わらず戦力も維持したまま補強ができて優勝候補筆頭。その他のビッグクラブがどうインテルを倒すか、そこが注目です。"—垣内一之
Q. 今シーズンのセリエAで最も注目すべきポイントは何ですか?
今シーズンの最大の注目点はインテルです。インテルは昨シーズンから監督も変わらず、戦力も維持したまま補強にも成功しており、優勝候補の筆頭格となっています。他のビッグクラブがどのようにインテルに対抗するかが見どころです。
また、今シーズンから外国人枠のルールが変更され、EU圏外の選手を獲得しやすくなりました。従来は1シーズンで1人のEU圏外選手を自由に獲得でき、2人目を獲得するには既存のEU圏外選手を放出する必要がありましたが、今シーズンからは2人を自由に獲得できるようになりました。EU圏外の選手がいないチームは3人まで獲得可能です。これにより日本人選手などの移籍も容易になり、将来的にはセリエBにも解放される可能性があります。
Q. ユベントスはティアゴ・モッタ監督の下でどう変わりそうですか?
開幕戦を見る限り、ユベントスはティアゴ・モッタ監督の下で大きく変わりそうです。彼は昨シーズンボローニャで好成績を残し、今シーズンはビッグクラブでの初めての指揮となります。
チャンピオンズリーグにも出場するため、練習時間が限られる中でも、開幕戦では多くの戦術的引き出しを見せました。モッタ監督は就任時に「ブラックリスト」を作成し、自分の戦術に合わない8人ほどの選手を戦力外にするなど、ドラスティックな改革を行っています。
モッタ監督のサッカーは、バルセロナ時代のライカルト監督やクライフのサッカーからインスピレーションを得ており、攻撃はアタランタのガスペリーニ監督、カウンターはモウリーニョ、プレスはドイツ代表のレーブ監督やグアルディオラ監督など、様々な指導者の良い部分を取り入れています。
注目選手としては、インテルから加入したテューラム(弟)、若手のユルディスなどが挙げられます。テューラムは193cmの長身でありながら頭の良さを兼ね備え、センターバックが前線でプレスをかけた際に下がって相手のワントップをマークするなど、フィジカルとテクニックを併せ持つボランチとして期待されています。
Q. インテルは今シーズンも優勝候補筆頭ですか?どんな懸念点がありますか?
インテルは優勝候補の筆頭ですが、いくつかの懸念点も存在します。メンバーは昨シーズンとほぼ変わらず、ナポリからゼレンスキー、ポルトからタレミを獲得するなど、主力級の選手を補強しており、ブックメーカーのオッズでも圧倒的な評価を受けています。
しかし、シモーネ・インザーギ監督のマネジメント能力には疑問符が付きます。開幕戦では、コンディションの良くないラウタロ・マルティネスを最後まで起用し、試合終盤に不必要な戦術変更を行うなど、判断に疑問を感じる場面がありました。また、監督自身が「連覇は難しい」と発言するなど、自信のなさが垣間見えます。
さらに、今年5月に親会社が中国の企業からアメリカの投資会社オークツリーに変わったことも影響するかもしれません。投資会社がオーナーになると無理な投資を控える傾向があり、今後は若い選手を獲得して育成・売却するビジネスモデルに移行する可能性があります。
Q. ミランの今シーズンの見通しはどうですか?
ミランはフォンセカ監督に変わりましたが、サッカースタイルは継続的なものであり、補強もある程度成功しています。課題は昨シーズンの失点の多さ(49失点で上位チーム中最多)で、これを改善するために右サイドにエメルソン・ロイヤルを獲得し、フォファナも獲得しました。
開幕戦では、ラファエル・レオンの下にサレマーカーズを起用するなど、バランスの悪い選手起用が見られました。レオンは守備をほとんど行わないため、後方は守備力のある選手を配置する必要があります。フォンセカ監督はポルトガル人で、ローマでの経験がありますが、守備を重視するイタリアのサッカー文化の中でモダンなサッカーを実践するのは容易ではないでしょう。
ミランの強みは左サイドで、パヴロヴィッチがセンターバックの左で優れたパス能力を発揮し、テオ・エルナンデスと連携しています。ミランもアメリカの投資グループがオーナーであり、かつてのベルルスコーニ時代のような大胆な投資は期待できません。
Q. ナポリはコンテ監督の下でどうなりそうですか?
ナポリは現在、ヴィクター・オシムヘンの移籍問題で停滞しています。オシムヘンは2シーズン前のナポリ優勝時に活躍し、多くのビッグクラブからオファーを受けましたが、会長が100億円以上の移籍金を設定し、放出を認めていません。アントニオ・コンテ監督は練習にも彼を参加させておらず、クラブとしての方向性が不明確です。
コンテ監督はロメル・ルカクの獲得を望んでおり、理想的にはオシムヘンとルカクのトレードが最も円滑な解決策ですが、現状では買い手が見つかっていません。こうした混乱がチームの成績にも影響を及ぼしており、開幕戦で敗北を喫しました。
ナポリは強化部門とクラブの一体感に欠け、スポーツディレクターもユベントスに引き抜かれました。クラブとしての一貫した方針がなければ、チームの成績に悪影響を及ぼすことは避けられません。
Q. 今シーズンのセリエAで注目の若手選手は誰ですか?
注目の若手選手としては、パルマのマン選手(ルーマニア人の右ウイング)、ユベントスのテューラム(フランス代表のミッドフィールダー)、ユルディス(トルコ系ドイツ人の若手アタッカー)、インテルのビッセックなどが挙げられます。
マン選手は左利きで、ドリブルとシュートが得意なタイプで、開幕戦でも得点を挙げています。テューラムは193cmの長身ながら頭脳明晰なミッドフィールダーで、ユベントスの中盤の要になると期待されています。
ビッセックはドイツ人の右サイドバックで、16歳でブンデスリーガデビューを果たした才能豊かな選手です。彼はサッカー選手にならなければ医師になりたかったという頭脳派で、U-21ドイツ代表ではキャプテンを務めていました。開幕戦ではペナルティを与えるなど経験不足を露呈する場面もありましたが、今後の成長が期待されています。
Q. 鈴木彩艶選手の活躍と今後の展望はどうですか?
鈴木彩艶選手はパルマの戦術の要となっており、彼からの攻撃展開が重要な役割を果たしています。開幕戦では、初めは緊張した様子でしたが、その後は落ち着いたプレーを見せました。
パルマはステップアップのための最適な環境で、ファンもイタリアで最も品のあるファンと言われています。長い目で見守る雰囲気があり、選手の成長を促すでしょう。また、施設も充実しており、アメリカ人オーナーが投資を行っています。
鈴木選手は4年か5年の契約で、ゴールキーパーは25〜27歳が最も成熟する時期と言われています。この時期にプレミアリーグなどのビッグリーグに移籍できれば、キャリアとしては理想的でしょう。
イタリアはゴールキーパー大国で、コーチングも優れています。パルマのゴールキーパーコーチはアビスパ福岡にも在籍した経験があり、イタリアのトレーニング法で鈴木選手がさらに成長することが期待されます。
鈴木選手は足元の技術が高く、ビルドアップに貢献できるモダンなゴールキーパーとして評価されています。彼は4大リーグで初めてレギュラーを獲得した日本人ゴールキーパーであり、その活躍は日本サッカー界にとっても大きな意味を持ちます。