
ゴールドマン・サックスで勝ち組になる人の特徴【森山博暢】
やりたいことが見つからない人へ、プロが教える「自己分析術」
元ゴールドマンサックス幹部が教える、定量思考とアイデンティティの発見
「やりたいことを見つけたい」という悩みは多くの人が抱えるもの。自分自身のキャリアや人生の方向性に迷った時、どのような視点で物事を考えれば良いのだろうか?今回は元ゴールドマンサックス証券の幹部として活躍し、現在はアイデンティティアカデミー代表を務める森山博暢氏による定量思考と自己分析のアプローチを紹介する。
Q. 成功する人が持つ「定量思考」とは何ですか?
定量思考とは、物事を数値化して分析する思考法で、4つの極意があります。
1. 因数分解思考: 大きな目標や課題を小さな要素に分解すること
2. 逆算思考: 最終目標から逆算して必要なステップを特定すること
3. 可逆と不可逆の区別: 取り返しのつく意思決定と、つかない意思決定を見極めること
4. 残り時間とリスク量のバランス: 人生の前半と後半でリスクの取り方を調整すること
特に金融業界では、再現性のある成果が高く評価されます。例えば、年間100億円を稼ぐトレーダーでも、安定して毎月10億円、30億円と積み上げるタイプの方が、50億円稼ぐ月とマイナス50億円の月があるような不安定なタイプより評価されます。これは「シャープレシオ」という、取ったリスクに対するリターンの効率性を示す指標が重要視されるためです。
Q. 「自分は何者か」を知るためのアプローチ法はありますか?
自分自身を知るための効果的な方法として「自己マッピング」があります。これは多軸の中で自分の特性を可視化する手法です。
具体的には、ロジカル思考、数字の理解力、対人能力、責任感など、様々な軸で自分の能力や特性を図示します。この際に重要なのは、自分だけの視点ではなく、他者からのフィードバックも取り入れることです。
例えば森山氏の場合、数字の理解力や責任感の軸が長く、興味のない人には冷たいといった特性も見えてきました。このように自分の強みだけでなく、弱みも含めて全体像を把握することが大切です。
また、多様な価値観を持つコミュニティに身を置くことも重要です。一軸評価(学歴や年収など)だけのコミュニティにいると視野が狭くなり、自分の多面的な特性を見失いがちになります。
Q. 「やりたいこと」が見つからない時はどうすれば良いですか?
「やりたいこと」を見つけるためには、以下の3つのアプローチが効果的です:
1. ハッシュタグ型: 自分が好きなこと、興味あることをリストアップする方法。カメラ、旅行、読書など、自分の中で認識している興味を羅列していくと、自分の傾向が見えてきます。
2. ドンツ型: 自分がやりたくないこと、向いていないことから逆算する方法。例えば「同じ場所で同じ作業を繰り返すのは苦手」「人と接しない仕事は向いていない」など、自分のネガティブな特性を特定することで、自分の形が浮かび上がってきます。
3. ニーズ型: 社会や周囲から求められていることに応える方法。ただし、これだけでは本当の自分を見失う可能性があります。
また、森山氏は「本能が騒ぐもの」を見つけることの大切さも強調しています。特に「嫉妬」の感情は意外にも重要なヒントになります。誰かの活躍を見て「羨ましい」と感じる対象は、実は自分がやりたいことを指し示している可能性があります。
Q. 年齢とともに変わる意思決定の特性について教えてください
人生の前半と後半では、意思決定のあり方が変わってきます。若いうちは社会的責任が少なく、リスクを取りやすい環境にありますが、年齢が上がるにつれて、家族の存在や社会的立場などの制約条件が増えていきます。
これは、ゴルフの18ホールに例えられます。最初の数ホールでは多少ミスしても挽回の余地がありますが、終盤にミスをすると取り返しがつきません。同様に、人生の前半にはある程度のリスクを取ることが許されますが、後半に大きなリスクを取ることは難しくなります。
そのため、若いうちに様々なことにチャレンジし、自分の適性や「本能が騒ぐ」領域を見つけておくことが重要です。また、定期的に自己マッピングを行い、変化する自分を認識することも大切です。「自分は何者か」という答えは固定されたものではなく、3年後、5年後には変わっていくものだからです。
Q. 金融業界の人は冷たいというイメージがありますが、実際はどうですか?
金融業界、特にトレーダーのような職種では数字への執着が強いことは事実です。しかし、これはプロフェッショナルとして当然のことであり、プロスポーツ選手が打率や得点にこだわるのと本質的には変わりません。
投資した資金に対するリターンが明確に求められる世界では、数字を重視することは避けられません。ただし、森山氏によれば「皆さんが思っているほど冷たい人は多くない」とのことです。むしろ、強い組織においては、メンバーそれぞれの特性(良い面も悪い面も含めて)が明確になり、役割分担ができていることが重要です。
画一的な「こうあるべき」という価値観を押し付けるのではなく、多様な個性を認めた上で同じ方向に向かわせるシンプルなメッセージがある組織こそが、再現性の高い強い組織と言えるでしょう。
Q. リスクを取る訓練はどうすれば身につきますか?
リスクを取る能力は訓練によって身につくものです。特に「可逆」と「不可逆」の違いを見極める力は、経験を積むことでしか培われません。
具体的な訓練方法としては、以下のようなアプローチがあります:
1. スモールスタート: 最初は小さなリスクから始め、徐々にリスク量を増やしていく
2. 身近な投資: 知人のベンチャーに少額出資するなど、結果が見えやすい形でリスクを取る
3. スポーツでの勝負: 勝敗がはっきりするスポーツを通じて、リスク感覚を養う
重要なのは、「不可逆」になるほどの大きなリスクは避け、取り返しのつく範囲でチャレンジを重ねることです。例えば、企業に再挑戦する際に、10億円の資産があるなら全額投じるのではなく、3億円程度からスタートする方が合理的です。
また、意思決定の手数を増やすこと自体が訓練になります。サッカーのPK戦のように、経験を積むことで心理的な耐性も高まっていきます。
結局のところ、リスク管理能力はセンスではなく訓練の賜物です。自分なりの意思決定の手法を確立するためには、実際にリスクを取り、その結果から学び続けることが何よりも大切なのです。
