業界超分析
【業界超分析:エンタメ四皇】年収・働き方/入社できる人の特徴
(51)
4,793回視聴
2024年9月1日

人気業界と、そのトップ企業をよく知る専門家が、元社員と共に徹底分析していく。今回は就活生に人気の「エンタメ四皇」。後編では年収・働き方を分析する。 <ゲスト> 中山淳雄 エンタメ社会学者 / Re entertainment 代表 大澤陽樹 OpenWork CEO
エンタメ業界大手6社の実態・年収・働き方を専門家が分析
Q. エンタメ四畳半と呼ばれる企業とは?
バンダイナムコエンターテインメント、ソニーミュージックエンターテインメント、ポケモン、アニプレックス、バンダイナムコアミューズメント、東宝の6社がエンタメ四畳半と呼ばれる企業群です。これらはエンターテインメント業界を代表する企業であり、それぞれが強力なIPを持っています。
Q. 各社の年収事情はどうなっている?
バンダイナムコエンターテインメントは平均年収が704万円と非常に高水準です。ソニーミュージックエンターテインメントも平均年収802万円と高く、業界内でも上位の給与水準となっています。一方、バンダイナムコアミューズメントはゲームセンター運営などが主体となっており、平均年収は488万円と他社より低めです。
東宝は有価証券報告書によると平均年収897万円で平均年齢は39.3歳ですが、グループ全体では年収が低めになる傾向があります。東宝本社は約400人と小規模ながら、いわゆるエリート集団で構成されています。
ポケモン、アニプレックス、東宝については職種や年代によって年収の幅が大きく変わるため、一概に言えない部分があります。ただし、アニプレックスはアニメ業界全体の中では年収が高い方との評価があります。
特筆すべきは、ポケモン、アニプレックス、東宝の3社は最近業績が好調で、期末賞与が高額になっているケースが多いことです。例えばポケモンでは数百万円単位の賞与が出ているとの情報もあります。
Q. 各社の満足度スコアはどうなっている?
オープンワークのデータによると、バンダイナムコエンターテインメントが最も高いスコアを獲得しています。次いでソニーミュージックエンターテインメントが3.84点と上位23%に入る高評価です。ポケモンも3.51点で上位45%に入る高スコアを獲得しています。
バンダイナムコアミューズメント、アニプレックスがそれに続き、意外なことに東宝は3点を下回る評価となっています。
スコアの推移を見ると、ソニーミュージックエンターテインメントは最近特に評価が上昇しており、直近の口コミではバンダイナムコエンターテインメントを上回るスコアになっています。ポケモンは最近スコアが下がっていますが、これは組織拡大の影響による一時的な現象かもしれません。
東宝は2013年頃には4点近かったのが現在は3点を下回るまで低下しており、組織としての課題が示唆されます。ただし、経営トップの交代や海外展開の強化など、今後変化する可能性もあります。
Q. 各社の社風や特徴は?
バンダイナムコエンターテインメントはオールラウンドに高評価で、特に低い項目がない総合力の高さが特徴です。ソニーミュージックエンターテインメントも全体的に高評価であり、風通しの良さなど日本企業としては珍しい特性を持っています。
ポケモンは風通しの良さや社員の相互尊重の項目が思ったほど高くないのが意外でした。バンダイナムコアミューズメントは待遇面の満足度が低く、年収の低さとの関連が考えられます。
アニプレックスは特筆すべき特徴が少なく全体的に平均的な評価ですが、風通しの良さが平均3点と低めなのが気になります。これは部門間やタイトルごとのセクショナリズムが存在する可能性を示唆しています。
東宝は典型的な日本企業の形態で、法令遵守意識のみが高く、待遇面の満足度は2.2点と非常に低い状態です。年功序列で基本給が上がりにくいという口コミもあり、待遇面の不満が高い要因と考えられます。
Q. なぜ映画業界は古い体質が残っているのか?
映画業界は80年代からあまり変化していない業界の一つです。その理由としては、「バブル」がなかったことが挙げられます。出版やアニメなどは業界の大きな変化を経験してきましたが、映画業界はそうした「確変」が起きなかったため、安定しているものの変化が少ない状態が続いています。
近年、アニメの力を借りることで映画業界も成長していますが、組織文化や働き方の変革はまだ途上にあります。外部環境の激変がなく、また中途採用も少なかったことから、変化を促す要因が少なかったと言えます。
Q. エンタメ業界で働くにはどんな人が向いている?
意外なことに、特定の作品に過度に傾倒している「オタク」タイプよりも、バランス良くエンターテインメントを楽しんでいる一般的な感覚を持った人の方が向いているようです。これは、任天堂でもゲームをやりすぎている人よりもバランス感覚のある人が採用される傾向があるのと似ています。
特にクリエイター以外の職種では、様々な部署を異動することがあるため、一つの作品だけに詳しいよりも幅広い知見が求められます。ラブライブなど特定の作品に熱中しすぎている人は採用されにくい傾向があるようです。
Q. エンタメ企業ではどんな仕事があるの?
ポケモンの場合、アニメの管理、カードゲームのイベント運営、ライセンス管理、モバイルゲームのパブリッシングなど多岐にわたる業務があります。特にライセンス関連の業務は多く、全世界に展開する商品の監修なども重要な仕事です。
東宝では映画のプロデューサーが目立ちますが、実際は映画を制作するというよりも配給や宣伝に強みがあります。近年はゴジラシリーズで注目されるプロデューサーも出てきています。
これらの企業は「消費型」の会社が多く、コンテンツを制作するというよりも、既存IPを展開・管理してビジネスを広げていく役割が中心です。職人的な制作現場よりも、ビジネス的な視点でコンテンツを活用する力が求められます。
Q. エンタメ業界の転職力はどうなっている?
エンタメ業界の転職力は全般的に低めです。理由としては、①年収が比較的高い、②培ったスキルが他業界にポータブルではない、という点があります。結果として、一社に長く勤める人が多くなる傾向があります。
ただし、業界内での転職は近年増えつつあり、特に管理職クラスでの移動も見られるようになりました。例えばバンダイナムコから東宝へ、ポケモンからバンダイナムコへといった動きが出てきています。10年前にはほとんど見られなかった現象です。
一方で、エンタメ業界への転職希望者は多く、特に最近は銀行系など金融業界からの問い合わせも増えています。これは政府がクールジャパン戦略を推進していることや、エンターテインメント産業の成長性が注目されていることが背景にあります。
Q. エンタメ業界で働くキャリアプランはどう考えるべき?
エンタメ業界、特に映画・音楽などのジャンルではキャリアパスが見えにくい傾向があります。「人材の長期育成」の項目で低評価の会社が多いのもその表れです。
コンサルティングや商社などでは、先輩の活躍するロールモデルが明確に存在し、15年後、20年後のキャリアが想像しやすいですが、エンタメ業界ではそうしたモデルが少なく、将来像を描きにくい面があります。
近年は外部からの中途採用も増え、流動性が高まりつつありますが、まだキャリアパスの見通しが立てやすい状態ではありません。ただし、この状況は今後変化していく可能性もあります。
Q. 各社の採用状況や入社のポイントは?
ソニーミュージックエンターテインメントは最近採用を増やしており、新卒で50人程度を採用しています。5年前と比べて社員数が2000人から5000人へと倍増しているにもかかわらず、満足度が高いままなのは驚くべき点です。
ポケモンも現在積極的に採用しており、200人から1000人へと大幅に社員数を増やしています。リクルート出身者が多く在籍しており、役員クラスにもリクルート出身者が多いのが特徴です。
採用されるポイントとしては、バランス感覚の良さが重要です。特定のコンテンツに過度に傾倒せず、一般感覚を持ちながらも業界への理解がある人材が求められています。
なお、映画業界はまだ古い体質が残っており、エントリーシートが手書きだったり、採用情報があまり公開されていなかったりする面もあります。