PIVOT TALK BUSINESS
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2024年8月22日

海外MBAの生活の中で起きた心境の変化や持っておくと良い心構えについて、コロンビア大学経営大学院を卒業した山崎紘彰氏とハーバード大学経営大学院に合格した吉田りか氏に聞いた。
高度な教育と豊富なネットワークを得られるMBAは、キャリアアップを目指す多くの人が憧れる資格だ。しかし、実際に海外の名門ビジネススクールを卒業した後のキャリアパスはどうなるのだろうか?今回は、コロンビアビジネススクール卒業生の山崎紘彰氏とハーバードビジネススクールに進学予定の吉田りか氏に、卒業後のキャリア選択や年収、そしてMBAの価値について話を聞いた。
コロンビアビジネススクールを卒業した山崎氏は、もともとベンチャーキャピタルに強い興味を持っていた。実際にMBAの利点を活かし、東京大学IPC(インキュベーションプラザ株式会社)やグロービスキャピタルパートナーズでインターンシップを経験した。しかし、1年目と2年目で考え方に変化が生まれたという。
「2年目になると、スタートアップに入って、グローバルなIoTプラットフォームを展開する企業で働きながら成長していくことも魅力的に思えてきました。これは私のキャリアにとって重要な変化でした」と山崎氏は話す。
一方、ハーバードビジネススクールに進学予定の吉田氏は、「基本的には退職した前の会社のプラットフォームに戻ることも視野に入れていますが、興味関心としては次世代の教育や女性のキャリアアップ支援に関心があります」と語る。将来的には金融キャリアを活かしつつ、教育事業やフェムテック、女性の活躍支援プラットフォームなどに関わりたいという。
「今のところはソーシャルインパクト企業への投資キャリアを考えていますが、これも2年間で変わる可能性があります。事業運営にも関心があるので、インターンシップやクラブ活動などを通じて、自分の本当の情熱がどこにあるのか検証したいと思っています」
意外なことに、MBAといえば経営者を目指す人たちの集まりというイメージとは異なり、M7(ハーバード、ウォートン、コロンビア、シカゴ、ケロッグ、スタンフォード、MIT)と呼ばれる名門ビジネススクール卒業生の約半数は、コンサルティングファームや投資銀行に就職している。
「特にM7のスクールではその傾向が強いです。約半分近くの人が投資銀行やコンサルティングファームを目指しています」と山崎氏は指摘する。その理由として「アメリカでは約80%が自費でMBAに行っているため、借金を返すためにそういったキャリアを選ぶ人が多い。また、みんながそこを目指すので流されてしまうという面もあります」と説明した。
このデータを見た吉田氏は「多くの人がコンサルや金融に行くのは事実ですが、自分の過ごし方次第だと思います。流されやすい環境ではありますが、立ち止まって自分が本当にやりたいことは何かを考えられる人が、どの分野に行くにしても成功するのではないでしょうか」と述べた。
日本ではマネージャークラスへの昇進に資格が必要とされることは少ないが、海外では状況が異なるようだ。山崎氏によると「国際機関では大学院卒がスタンダードで、学部卒だけだと昇進が難しいという話を聞きます」とのこと。
MBAには大きく分けて2種類あり、「レギュラーMBA」は主に20〜30代のキャリアチェンジを目指す人向け、「エグゼクティブMBA」は35〜40歳くらいの現役エグゼクティブがキャリアに磨きをかけるために通うという違いがあるという。
M7の卒業生の平均年収はサインボーナス(入社時一時金)を含めると約3,000万円程度。ただし、この数字は投資銀行、コンサルティングファーム、大手テクノロジー企業(Google、Amazon、Microsoftなど)に就職した人たちの高収入に引っ張られている面がある。
山崎氏自身は「そこまで年収は変化していない」と述べつつも、「スタートアップの場合はエクイティオプションもあり、金銭的な報酬と経験としての報酬の両方があります。トータルで見ると良い機会をいただけたと思います」と話す。
吉田氏は「お金を稼ぎたいという欲はあまりなく、中長期的な自己投資だと考えています。卒業後は本当にやりたいことをやりたい」としながらも、「授業料をカバーするために、サマーインターン時に内定が出れば2年目の学費をカバーする企業もあるので、それはオプションとして魅力的」と現実的な視点も持ち合わせている。
この質問に対して山崎氏は「人による」と答えた。「MBAに行かなくても本当にやりたいことがあるなら、お金と時間の無駄かもしれません。一方で、自分の殻を破りたいとか、MBAに行かないと叶わないものがあるという目的意識を持っている人には価値があると思います」
また、日本人に向けては「特に社費ではなく私費で行く人こそ挑戦してほしい」と語る。「私費の場合は自分のお金と思いを投資しているので、活動や生活に対する思いや覚悟が強いと思います。円安の時代だからこそ、私費で行く人に頑張ってほしい」と背中を押した。
MBA取得を検討している人へのアドバイスとして、「大学のサイトや日本人が運営しているコミュニティを活用して実際の学生とコーヒーチャットをしてみてほしい」と山崎氏。吉田氏も「少しでも悩んでいる人は挑戦して諦めないでほしい。最終的に助けてくれるのは人との繋がり」と励ましている。
高額な費用と2年間の時間を要するMBA。それが価値あるものになるかどうかは、結局のところ自分次第なのかもしれない。