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不安を感じやすい人がすべき5つのこと【内田舞】
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2024年8月13日

ビジネスパーソンがパフォーマンスを最大限かつ安定的に発揮するために必要なカラダ・心の鍛え方を一流から学ぶ。今回は「職場のメンタルケア」を内田舞さんに解説していただきます。 <ゲスト> 内田舞 小児精神科医/ハーバード大学医学部准教授 マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長 主な著書『ソーシャ...
メンタル崩壊を防ぐ5つの方法とは?「認知の歪み」を知ることでストレスや不安に対処するコツ
精神疾患は「5大疾病」のひとつに数えられており、がんと同等の重要性がある健康問題です。しかし日本では未だメンタルケアを受けることにスティグマ(偏見)があります。どうすれば私たちは精神的な健康を保ち、メンタル崩壊を防ぐことができるのでしょうか?精神科医の内田舞氏に聞きました。
Q. 「認知の歪み」とは何ですか?なぜそれを知ることが大切なのでしょうか?
認知の歪みとは、私たちが無意識のうちに陥りがちな思考のパターンや悪い癖のことです。例えば「ゼロか100か」という白黒思考、相手の考えが分かる気になる「読心術」、ちょっとしたことを大げさに考える「悲劇化」などがあります。
これらのパターンを知ることは非常に重要です。人間は何かを理解したり言語化することで安心感を得られます。認知の歪みに名前がついていると「あ、これはレッテル貼りをしているな」と気づくことができ、それに対応できるようになります。
例えば格闘技では、技に名前がついていると反応しやすくなります。名前がない状態で「こういう感じでこうなった」と説明されるより、「これは腕十字だからこう対処すればいい」と分かる方が対策を立てやすいのです。同様に、自分の思考パターンに名前をつけることで対処法が見えてきます。
Q. 代表的な「認知の歪み」にはどのようなものがありますか?
1. ゼロか100か(All or Nothing):「成功か失敗かしかない」と考える二分法的思考。100点取らなければ失敗と考えますが、人生では80点や70点でも十分なケースがほとんどです。60点でも他の分野でカバーできることもあります。
2. 予言(Fortune Telling):将来について否定的な予測をして不安になること。誰にも明日何が起きるか分からないのに、悪いことが起きるかもしれないと思い込み、今の幸せを感じられなくなります。
3. 読心術(Mind Reading):相手が何を考えているかを勝手に決めつけること。当たっている可能性もありますが、人間の考えは複雑で多様なので、予想だけで判断するのは危険です。
4. 悲劇化(Catastrophizing):小さな出来事を大げさに考えること。例えば「プレゼンで失敗したら、二度とチャンスは来ない→仕事がなくなる→ホームレスになる→人生終わり」と連鎖的に考えてしまうパターンです。
5. レッテル貼り(Labeling):自分や他人、状況に単純なラベルを貼ること。「自分はバカだ」と一度ラベルを貼ると、それが先行してしまいます。相手に「この人はダメな人だ」とラベルを貼ると、良い面が見えなくなります。
6. ポジティブ面が見えない(Discounting the Positive):SNSで100個の良いコメントがあっても1個のネガティブなコメントだけに目が行ってしまう傾向。ネガティブな面だけを見ると心のバランスを崩します。
7. 過度な一般化(Overgeneralization):一つの事例を全体に当てはめること。例えば、一度浮気された経験から「男性は皆浮気する」と思い込んだり、犬に一度噛まれたことから「全ての犬は怖い」と思ってしまうことです。
Q. メンタル崩壊を防ぐための5つのアドバイスを教えてください
1. コントロールできない中での再評価:全てをコントロールできる訳ではありませんが、コントロールできる部分を見つけることが重要です。例えば、職場でハラスメントを受けている場合でも、自分の知識を増やす、人間関係を築く、自分の強みを活かすなど、自分でコントロールできる部分に焦点を当てましょう。
2. 内的評価を育む:外的評価(順位、フォロワー数、お金など)は移ろいやすく、自分のコントロール外のことが多いです。一方、内的評価(自分が大切にしているもの、自分の価値観、努力の意義)は裏切らないものです。外的評価を求めるのは自然なことですが、そこだけに自分の価値を置くと脆くなります。
3. 心理学的オーナーシップ:自分の選択、責任、結果を「自分のもの」として所有することです。フィギュアスケーターの長洲未来選手は、14歳で全米チャンピオンになった後、レールに乗せられた状態から、18歳で「自分で選択して」と言われた時に初めてオーナーシップを持ちました。「スケートは自分がしたいことなんだ」と気づいたことで、負担に感じていたことが変わり、24歳でオリンピックでトリプルアクセルを成功させました。
4. 食事・運動・睡眠を軽視しない:これらは基本ですが非常に重要です。特に睡眠不足はイライラや集中力低下の原因になります。逆に、精神的不調があると睡眠パターンが乱れることもあるので、睡眠の変化に注意しましょう。食事では時に糖質(脳のエネルギー源)を意識的に摂ることも大切です。運動は気分転換になるだけでなく、目に見える成長を感じられる場でもあります。ただし、これらを「しなければならない」と思いすぎるとそれ自体がストレスになるので注意が必要です。
5. 病院に行くことを恥じない:精神疾患は5大疾病の一つであり、がんと同等の重要性があります。アメリカではカウンセリングを受けたことがない人の方が少ないほど一般的です。精神的なケアを受けることに対するハードルを下げ、必要な時には専門家に相談しましょう。
Q. 「メンタルが強い・弱い」という考え方についてはどう思いますか?
「メンタルが強い・弱い」という表現はある種のレッテル貼りです。人間の心はそんな単純なものではありません。うつ病気質や不安が強い気質はありますが、それぞれが自分に合ったメンタルのマネジメント方法を見つけていくものです。
脳も心臓と同じ臓器であり、個人差があって当然です。心臓の機能に個人差があるのと同様に、脳の機能にも違いがあります。その違いが行動や考え方、性格として表れているだけです。「強いから良い、弱いから悪い」という単純な話ではなく、みんな違ってみんなそれでいいのです。
自分の感情を理解し、適切に対処する方法を学ぶことで、誰でもメンタルの健康を保つことができます。大切なのは、自分自身を責めるのではなく、自分に合った方法を見つけていくことです。