MONEY SKILL SET
子どもたちに教えておきたい大切なお金の話【永濱利廣・前編】
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2024年8月12日

EXIT・りんたろー。と国山ハセンが株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを学ぶ。今回は第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣氏が親として知っておきたい子どもの金融教育に役立つスキルセットを伝授。 <ゲスト> 永濱利廣(第一生命経済研究所 首席エコノミスト) <目次> 0:00...
子どもに教えたい!お金の基本 Q&A
なぜ1万円札には価値があるの?「お金は信用」の真意とは何か?お年玉をドルで渡すと子どもの金融リテラシーが上がる理由は?第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏とりんたろー。(EXIT)が、子どもたちに教えておきたい大切なお金の話をQ&A形式で解説する。
Q. お金とは何ですか?お金の機能を教えてください
お金には3つの機能があります。
1. 交換手段
昔はモノやサービスの取引は物々交換でした。お金の誕生によって、スムーズな取引が可能になりました。
2. 価値尺度
お金という共通の尺度があれば、モノやサービスの価値を測ることができます。
3. 貯蓄手段
お金は貯めておくことができます。特に資産運用という観点では重要な機能です。
Q. なぜ紙幣には価値があるのですか?
紙幣自体は紙切れですが、国が「信用」を与えているから価値があります。この「信用」とは具体的に何かというと、納税の際に円でしか納税できないという義務があるからです。納税する時の義務の対価として使えるため、お金の価値が発生します。
また、お金の価値は供給量によっても変わります。世の中に希少価値のあるものは価値が上がり、溢れているものは価値が下がります。お金も同様で、供給されている量が多ければ価値は下がりやすく、少なければ価値は上がりやすくなります。
Q. 円安は日本にとって良いことなのでしょうか?
円安がなぜ起きているかを理解するには、過去を振り返る必要があります。リーマンショック後、アメリカやヨーロッパは世の中にドルやユーロをたくさん供給しましたが、日本はあまり円を供給しませんでした。結果的に円に対してドルやユーロの量が多くなり、円高が進みました。
アベノミクスでは、海外と同様に円の供給量を増やして異常な円高を是正しました。しかし最近では、ロシアのウクライナ侵攻による世界的なインフレにより、海外諸国がインフレを抑えるために金利を上げたことで円安が進んでいます。
経済全体で考えると、実は円安の方が若干プラスです。基本的に自国通貨が安くなる方がGDPは増えます。ただし、輸入に頼る産業や個人消費者にとっては苦しい面もあります。
Q. 良い借金と悪い借金の違いは何ですか?
借金というと一般的に悪いことのように思われますが、良い借金と悪い借金があります。
良い借金は、返済が可能で将来の収入増加や資産形成につながるものです。例えば:
マイホームのローン
教育ローン
事業投資のための借金
若いうちに教育のためにお金を借りてスキルや知識を身につければ、将来たくさん稼げる可能性が高まります。
悪い借金は、ギャンブルや浪費のために使うお金、生活費のための借金、高金利の借金などです。
借金する際は利息が発生します。借り手からすると返済できないリスクが高い人には高い金利がつけられ、返済できないリスクが低い人には安い金利で貸し出されます。高金利の借金はできるだけ控えた方が良いでしょう。
Q. 投資と投機の違いは何ですか?
投資は比較的低リスクで、中長期的な視点で資産の価値向上を目指すものです。短くても数年、普通は数十年という時間軸で考えます。投資対象は株、債券、投資信託、不動産などです。
対して投機は高リスク・高リターンの可能性がある短期間の価格変動を利用して利益を出すことを目指します。数日から数週間という時間軸です。デイトレーダーの株取引やFXなどが投機の例です。
FXはレバレッジ(最大25倍)をかけられるため、儲かる時は大きく儲かりますが、損する時も大きく損失が出るリスクがあります。
Q. 子どもにお金の教育をするには何が良いですか?
子どもの金融教育のとっかかりとして、お年玉をドルであげると良いでしょう。ドルは基軸通貨であり、これによって為替の概念も理解できるようになります。ドルをもらった瞬間に「円安か円高か」という考え方が生まれます。
また、子どもにはお小遣いの管理を通じてお金の価値を教えると良いでしょう。デビットカードのように、銀行の口座に残っているお金までしか使えない仕組みで管理する方法もあります。
Q. 日本人はなぜ投資に無縁だったのですか?
昔の日本はバブル崩壊前まで高度経済成長期の余韻が残り、経済成長していました。普通に働いてお給料をもらっているだけでお給料も増えていったので、資産運用する必要がありませんでした。
バブル崩壊後の「失われた30年」では、デフレで物価が下がるようになりました。お金をそのまま持っていても、物価が下がることでお金の価値が上がっていくという状況が20年ほど続きました。そのため、資産運用のニーズが下がりました。
しかし、最近は日本も海外と同様に物価が緩やかに上がる世の中になりつつあります。現金や普通預金だけにお金を置いておくと、物価上昇によってお金の価値が目減りしていくため、「お金に働いてもらう」というニーズが強まっています。
Q. 初心者にお勧めの資産運用方法は何ですか?
初心者に手軽な資産運用としては、積立NISAがお勧めです。毎月定額を投資することで、長期的な資産形成を目指せます。
もう一つ意外な盲点として、企業に勤めている人なら企業型の確定拠出年金があります。毎月決まった金額を自分の好きな金融商品に投資して老後の資金を運用できます。掛け金は所得控除され、非課税になるメリットがあります。
特に収入が多い人ほど、この確定拠出年金(個人の場合はiDeCo)のメリットは大きいです。60歳になるまで引き出せませんが、老後のお金を心配して積み立てているなら検討する価値があります。
リスクを取りたくない人は、確定拠出年金の中で定期預金を選ぶこともできます。そうすれば元本は減らず、かつ税制優遇も受けられます。
Q. なぜ日本は他の先進国と比べて経済成長率が低いのですか?
日本のGDP成長率はアメリカやユーロ圏と比較すると低い水準です。その最大の要因は個人消費の弱さにあります。
現在の日本では物価が上昇していますが、日本人の多くは「もっと上がる前に先に買おう」ではなく「節約しよう」と考える傾向があります。通常の国では物価上昇により経済が加熱するため金利を上げて抑制しますが、日本の場合は節約思考で景気が良くならないため、金利を上げられない状況です。
物価上昇していて景気が良くない状況を「スタグフレーション」と言います。これは「悪い物価上昇」とも言えます。日本だけの問題と思われがちですが、デジタル赤字についてはアメリカ以外の多くの国が同様の課題を抱えています。