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株式投資は「孫子の兵法」に学べ
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2024年8月12日

かつてファンドマネージャーとして2000億円超を運用し、ベンチマークに勝ち続けてきた窪田真之・楽天証券チーフ・ストラテジスト。「株式投資を学ぶには、本を読むだけでは不十分」と語る窪田氏が作ったのが、クイズを通して株のセンスを磨く「株トレ」。実際の問題を通じて、投資の鉄則を伝授してもらう。 <ゲスト...
株式投資に勝つ鍵は「孫子の兵法」と同じ?25年間のファンドマネージャーが語る売買シグナルの真実
久保田正之氏(楽天証券経済研究所所長兼チーフストラテジスト)が語る、実践的トレーディング術についてのインタビュー内容をまとめました。チャート分析から孫子の兵法まで、プロの視点が詰まった内容です。
Q. 多くの投資本と違う「カブトレ」シリーズの特徴は何ですか?
「カブトレ」シリーズでは、25年間日本株のファンドマネージャーとして何万回ものトレードで身につけた技術を本にしています。世の中の投資本に不満を感じていた点は大きく2つあります。
1つは実際にトレーディングをあまりしていない人の本が多いこと、もう1つは理論だけの本が多いことです。デイトレーダーが書いた本でも、買いシグナルや売りシグナルを暗記するようなパターンが多く、それだけでは勝てるトレーダーにはなれません。
「カブトレ」は2つの点で今までと違う概念で作りました。まず、売買シグナルを暗記することは全く無意味だということ。チャートを見るときに何を考えるべきかは、孫子の兵法と同じ概念です。売り方と買い方が布陣して戦っているのを上空から見て、どちらが勝つかを読むのがチャートの見方です。
また、読むだけでは身につかないため、クイズ形式で実際に売買を疑似体験できるようにしています。ファンドマネージャーとしてやってきた何万回というトレードをクイズ60問を解くことで擬似体験できる構成にしています。
Q. チャート分析で重要なポイントは何ですか?
チャート分析で重要なのは、単にパターンを見るのではなく、売買高の変化を見ることです。例えば「二番底」と呼ばれるパターンでは、下落して一番底をつけた後、上昇し、再び下落して二番底をつけてから上昇するというものです。
しかし、このパターンだけでは判断できません。重要なのは売買高の変化です。下落している間に売買高が減少し、二番底をつけて上昇するところで売買高が増加していれば、そこからさらに上昇する確率が高いと判断できます。
これを孫子の兵法で考えると分かりやすいです。売りと買いの軍隊が戦っていて、最初は売りが勝ちまくり買いは逃げていますが、次第に売買高(戦っている兵隊の数)が減ってきます。売り方が奥地まで攻め込んできているが、その数は少なくなっている状態です。そこで買い方が反撃して一度リバウンドし、また売り方に押し戻されますが、最後に潜んでいた買い方の軍勢が一斉に出てきて大逆転するという状況を、売買高の増加から読み取れるのです。
高値を更新しても売買高が増加していないケースは要注意です。これは、ほんの一部の小部隊が出てきて小競り合いをして買い方が勝っただけの状態で、本軍はまだ隠れた状態にあります。この場合、売買高が増えていないため、あまり意味がありません。
Q. 株式投資で成功するための心構えは?
実際に株式投資をする際、クイズでは答えられるのに実際の売買ではできなくなる要因が2つあります。1つは欲望、もう1つは恐怖です。欲望と恐怖にとらわれると、人は冷静な判断ができなくなります。
そこで重要なのは、欲望と恐怖にとらわれない金額で取引することです。例えば、100万円投資して20%下がったら20万円の損失になります。これで恐怖を感じるなら、100万円でのトレーディングは早すぎます。10万円なら2万円の損失、1万円なら2,000円の損失です。自分が「これくらいなら大丈夫」と思える金額から始めるべきです。
また、買いシグナルで買っても、その直後に悪材料が出て急落することもあります。その場合は強い売りシグナルになるので、すぐに損切りすべきです。70%当たるシグナルでも30%は外れるので、外れたらすぐに損切りするという単純なことが重要です。
シグナルの精度はおよそ70%程度で、これは十分な勝率です。ただし、2回連続で当たる確率は70%×70%で49%になり、半分程度しかありません。この事実をしっかり理解して、外れた時の対処法を身につけることが大切です。
Q. チャートとファンダメンタルズはどう使い分ければいいですか?
チャートとファンダメンタルズは両方見る必要があります。チャートが買いでファンダメンタルズも買いなら迷わないし、両方が売りなら迷いません。問題は両方が逆になる場合です。
強いチャートシグナルが出ている場合は、ファンダメンタルズを無視してシグナルに従うべきです。これはファンドマネージャー時代の鉄則でした。しかし、チャートだけで見ると間違えることもあります。チャートには強い、やや強い、やや弱い、弱いといった段階があり、やや弱いややや強い時はチャートだけでは判断できません。そこでファンダメンタルズも見ることで判断の精度を上げられます。
さらに、関連銘柄のチャートを複数見比べることも重要です。例えば半導体関連株10銘柄のうち5銘柄で売りシグナルが出て、残り5銘柄が中立だとすると、中立の銘柄も崩れてくる可能性が高いと判断できます。
買いの時はチャートで買い、売りの時はファンダメンタルズで判断するといった一貫性のない行動は避けるべきです。強いチャートは絶対に従い、弱い時にファンダメンタルズも見ることでトレーディングの勝率を高めるというアプローチが重要です。
Q. 個人投資家はプロに勝てますか?
プロにどうしても勝てないので自分で学んでも無駄だと思う人も多いでしょう。確かに、アクティブファンドの半分以上がインデックスファンドに負けているという事実もあります。
しかし、個人投資家には有利な点もあります。投資期間を自由に決められることや、小型株への投資の機動力です。プロの場合、いい小型株を見つけても10万株は買わないとポジションとして意味がなく、買うだけで1ヶ月かかってしまうことがあります。個人投資家はそういった機動力の速さを生かして、プロと戦って勝つことができます。
私がファンドマネージャーとして株価指数に勝ち続けられた理由は、ファンダメンタルズを重視しながらも、短期的なテクニカル分析をしっかり見て対応していたからだと思います。