PIVOT TALK TECH
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2024年8月9日

大企業の成長の鍵を握るDX。DX推進にあたって、つまずきがちな問題や採用、さらにはAIの将来性について、yahooやリクルートを経験した、イオンCTO兼イオンスマートテクノロジーCTO山﨑 賢氏に聞いた。 <ゲスト> 山﨑 賢|イオンCTO兼イオンスマートテクノロジーCTO ヤフーで新規サー...
大企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)成功の鍵は何か?ベンダー依存から脱却して内製化を進めるには?7社目となるイオンでCTOを務める山﨑賢氏に、そのポイントを聞いた。
1社目はベンダー企業でした。その後、Yahoo!やリクルート、アソビユーなど、7社ほど経験してきました。大企業とスタートアップ両方を経験してきたCTOは珍しいと思います。
元々キャリアパスとして、ベンチャーのCTOを経験してから大きい企業に行こうと決めていました。世の中や人々の生活を変えたいという思いがあり、自分が長い時間を投資するならやりがいのある仕事がいいと考えていました。ベンチャーでいいものを出すのと大企業でいいものを出すのでは、その接点面積が全然違います。そのタイミングでイオンから声がかかり、ちょうど良いタイミングでした。
ITは集中させないと戦力にならないと感じました。各社が個別にアプリを作ったり、会員基盤を作ったりしていたので、それをいかに集中させるかに力を使っています。また、ベンダー丸投げ依存状態をいかに変えるかということにも時間を使っています。
マインドチェンジが一番大きいです。丸投げは発注する側からすると心地良いものです。明確な上下関係があり、お金での受発注関係があり、指揮命令系統があって心地良いのですが、結局それが損失につながります。ベンダーが作ったものを、そのベンダーがいなくなると誰もメンテナンスできなくなってしまうからです。
発注している側も実はシステムの知識を持っていますが、その心地良さに甘えて自分が踏み込んでいないところがあります。そういった働き方を変えなければならないというマインドチェンジが必要です。
まず、パートナーとの関係性を大切にすることです。巨大なパートナーの力を借りて成り立っている会社が突然内製化に振り切った時に、そのパートナーを否定的なコミュニケーションをすることがありますが、それは絶対にしてはいけません。
リクルートも本当にパートナーと社員がほぼ同じ権限を持って動いているような変わった会社で、そのカルチャーをとても気に入っています。イオンの中でも、パートナー企業には優秀なエンジニアがいて、まっすぐにものづくりをしてくれています。そこといかに協力関係を結ぶかが肝心です。
受発注の契約を一旦SES契約(業務委託契約)に切り替えて、その中に社員も混ぜてもらいます。業務委託の会社はなるべくプロジェクトごとに1つの会社に寄せていき、その中で業務委託の会社の方も新人も入れてもらい、一緒に成長機会を作っていくという会話をしています。
これによって協力的なチームができるので、社員の比率が低くても内製化になっていると言えます。仕様が開示されて、みんなでディスカッションできる状態になっているからです。
覚悟が必要です。ベンダー依存だと障害が起きた時に矛先があります。自分の責任を転嫁しやすいのです。しかし内製化では、特に内製化を推進している私やマネージャーが、自分で責任を負わなければなりません。
例えば、情報漏洩があったり、システムが1週間止まってしまったりした時に、全社的に責任を取らなければならない。その覚悟とセットだと思います。
また、責任を取るという表面的な話だけでなく、誰も対応できなくなった障害には必要であれば自分が入って解決するというスタンスも必要です。直近の大きな問題は大体自分で解決してきていますが、そのくらい現場に必要であれば立つという姿勢が重要です。
外部に出て発信することも重要です。私は元々外に出ることが得意ではなく、あまり意義も感じていませんでした。しかしイオンに入ってからはそれを変えました。
理由は2つあります。1つは、イオンというDX的なIT的な発信力が0に近かったので、自分が「顔」になってでも出ていって変えていかないと外部の認知は変わらないと思ったからです。2つ目は、そういう活動をすることで社内からも認知が得られ、「外でよく見る人」が推進する内製化と、「よく分からない人」が推進する内製化では違いがあるからです。
採用には今でも苦戦しています。これは日本の社会全体がエンジニア不足で、採用に成功していると言い切れる会社は少ないでしょう。需要と供給のバランスが崩れているので、採用が成功しないことを前提条件とした内製化を作っていく必要があります。
採用において、あまり嘘はつかないようにしています。「新しいことができる」「楽しいことができる」とはあまり言わないようにしています。それよりも「エンジニアとして世の中を変えたいなら今だよ」と伝えています。インパクトを与えられる点を強調しています。
AIという言葉が特別扱いされすぎているので、もっとカジュアルに身近に全従業員や全お客様が実感できるようなものとして取り組みたいと考えています。
具体的には、商品画像の自動生成、レシピの自動生成、商品説明の自動生成などがあります。また、カメラを通じてお客様の行動を分析し、商品配置を最適化するといった取り組みもあります。
リテールメディアは、イオンの中長期を決める決定的な要素だと思います。お客様のお買い物情報を活用することで、より広告の生産性を最適化することを目指しています。
広告の配信先はアプリだけでなく、店頭のサイネージなど至るところです。現在は、値札(棚札)のデジタル化も進めています。電子棚札によってダイナミックプライシングが可能になり、夕方になると値段が安くなるなど、柔軟な価格設定ができるようになります。
ただし、値引きシールを見つける喜びなど、ユーザー体験としてどこまでデジタル化していくべきかのバランスは難しい部分です。
人数の違いくらいしかないと思います。ただ、CTOとして必要なのはCTOというラベルにこだわらないことです。刻々と変わる環境と課題に対して自分の動き方を変えられる人でないと立ち回れません。仲間と一緒にコミュニケーションしながら「ここを目指そう」と言えることが大事だと思います。